新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

眠い、ただひたすらに・・・

9月16日
僕は、13日から始まっていた
村本さんのCM撮影に
1日遅れて14日から参加した。

元々、スケジュールが
合わずにいたもんだから
仕事自体を断っていたのだが
1日遅れでもいいから、
どうしても参加して欲しいとの要請を受け
13日の深夜に鎌倉入りしたのだ。

その、13日の深夜から
思い起こすことにする・・・
 
 
 
 
9月13日深夜
僕は最後の打ち合わせを八丁堀でやり
23時頃に鎌倉に到着した。

当然、とういか、
あまりにも忙しくて昼から何も食べていなかった僕は
先発して参加していた 

カッツ君 

にメールした。

『腹が減っています、
  何か近所にありますか?』

『ないです。ここは陸の孤島・・・』


陸の孤島の意味は、
この段階で僕は全く想像していなかったが
”ない”のは事実みたいだから
駅前にあったマクドナルドで
食事をすることにした。
メニューはもちろんビックマックセット。
何を隠そう僕はビックマックが大好き。
あ、あとフィレオフィッシュも大好き。

話を元に戻す。

ビックマックを食べて、
マックの前からタクシーに乗る。
真っ暗な道を延々と走るタクシー。
陸の孤島”っていうくらいだから、
山の中かなんかなんだろうと
あらかたは予想していた。
だから、タクシーが山道を登り、
山の中に入っていった時も
さほどは心配していなかった。

『まあ、こういうことなんだろう』


そして、宿舎に到着してみると。
ホテルでもなんでもない。
旅館とかの類でもなく、
ただの研修施設というか・・・

まあ、そんなこともあり、
タクシーで施設に着くと
どの部屋も電気がついていなく、
山の中のせいもあって、
辺りは真っ暗の状態だった。

ん?ちょっと不安。

タクシーは金を払うなり、
そそくさと帰っていった。
これで、場所を間違えでもしていたりしたら
それこそ、遭難ってことになりかねない。

僕は慌てて、
到着の報告をしようと思って
携帯電話を取り出した。

が、そこに驚愕の事実

待ち受けていた。

そう、ご想像の通り『圏外』
確かに、僕の携帯電話は
ボーダフォンだから
圏外になる範囲も
ドコモに比べて広いことは確かだ。

でも・・・

ここは、宿舎の前だぜ?
明日から撮影だってのに
宿舎前が圏外ってことは、
当然中も圏外なんだろう?

まずい状態だぜ、こりゃ。

つーか、まず、ここが
スタッフの宿泊施設かどうかだ。
ここからして、
間違っていると大変なことになってしまう。

僕は、そーっと真っ暗な
宿舎施設のドアを開けた。
すると、いきなりフロントから 
禿げたおっさんが現れた!

『て、敵か?』

違う。ただのおっさんだ。
僕は名前を告げて、
部屋の鍵を貰った。
そして、カッツのいる部屋を聞き、
まずそこへ向かった。

215号室。
ドアを開けると、村本さんが、
ベットに寝そべって僕を迎えてくれた。

『ういーっす!』

さあ、明日から撮影だ!



9月14日
撮影2日目(僕にとっては初日)
大体、他の仕事だったりすると
周りのスタッフは既に
コミュニケーションができていて
僕が入る隙間がなかったりして
なかなか、打ち解けるのに
時間がかかったりするが
今回は、ほぼ全てのスタッフを知っていたから
スルリと現場になじむことができた。

朝から、会うスタッフ、会うスタッフに

『うおー!来た!』
と、驚かれたり

『何で、昨日いなかったの!』
逆キレされたり

『え?昨日いたっけ?』
僕の登場が理解できなかったり

『主役は遅れて登場ですか?』
と嫌味を言われたり

からかわれた。

僕は、そういうのが
嬉しくてたまらなかった。
何故か、帰ってきたというか
居場所があるというか、
本当に、ほっとする感じがしたんだ。
今回の撮影はアメリカから
栗田さんが登板しに来ていたので
久しぶりの再会を喜んだ。

「お久しぶりっす!」
「長谷くん、久しぶり」

実は、村本監督からメールで
『栗田さんが怒っている』とか
『現場が大混乱している』とか
かなり脅されていたので、
戦々恐々としていたが
にこやかな栗田さんを見て、

少し安心。

が、走りまわってドロドロになっている
カッツ君を見て
これは大変な現場に来たぞと、
少し身構えた。
その身構えは少しも
間違っていなかったのだけど・・・

「太陽が沈む!
  早く早く!準備してー!」

「え、何も間に合ってない?」

日の入りの17:50を中心としたカットの撮影中。
押せ押せで撮影が進行していたために
僕らは、この日の入りの時間という
制約に縛られたままだった。
どんなに押していようが、
巻いていようが、日は沈む。
できれば、巻いて、
準備に入りたかったけど
そうは問屋が卸してくれなかった。

僕自身はすぐに現場に馴染んだけど
香盤を把握して、
段取りを決めてからの参加でなかったので
僕の想像や考えは
ことごとく空回りしていて
改めて、”仕切りなおさないと やばい
匂いがぷんぷんしていた。

案の定、撮影は香盤を1時間近く
押し気味で進行。

でも、太陽の時間の変更はきかない。
すでに、現場移動した時には
太陽はかなり斜光になっていて
どう、逆立ちしても
最高に時間での撮影は不可能だった。

「どうなってんの!」

僕は周りのスタッフから
一斉に罵詈雑言を浴びる。

結果として、僕が参加した以上、
僕のことを知っているスタッフは
僕に文句を言う。

言い訳は沢山あるけど、
言い訳はなんの解決にもならない。
黙って耐えるしかない・・・

で、結局”残”を出す結果に。
あー、CMで香盤から
残を出すなんて久しぶり



9月15日
撮影3日目(僕には2日目)
昨晩、遅くまで制作部と
カッツとで打ち合わせ。
全体の体制を建て直し、
現場をスムーズに進行させるためには
どうしたらいいかを話し合う。
僕が一人入ったからと言って、
劇的に変化が訪れるわけもないので
少しでも良くするために
無駄を省いていく作戦に切り替えた。

ま、とはいえ、前日の夜に起きた
ある事件で、大幅に打ち合わせの時間は取られ
寝ようかなと思ったら、
出発の2時間前だった。

早朝、まだ、太陽が昇ってすぐ。
薄暗い朝の中を、現場に向かって走る。

今日も予報は 晴れ だが
どうも天気が良くない。
雨が降らなければいいてもんじゃないし、
全く雲がないのも面白くない。

そういう意味では
今日はあまりよくない日だ。

でも、昨日の打ち合わせが、
少しは効いたのか
少しずつ撮影ペースが上がってきていて
昼前の段階で、
45分のロスタイムを得ることができた。

「よし!」

僕は内心ほくそえんだ。
このペースならいける。
撮影は終わる。
昨日やおとといの残を撮影しても
尚且つ時間があまるはずだ。

その時、僕は少し気が緩んだのかもしれない。

もう少し、先のことまで考えておけば
良かったのは言うまでもない。
その後にとんでもない事実が発覚したんだから。

「○○じゃないか、
   こんなんじゃ撮影にならない」

「え、え、撮影できないってことですか?」

「うん、そう」

昼食を食べて、すぐ。
ある条件を満たさない現場に、
メインスタッフ全員の意見は

”回さない”

だった。

夜でもないのに、
僕の目の前は真っ暗になった・・・
昼の段階から
明日の撮影が決まったのだから。

だった、もう、
明日からやることあるんだもん・・・

えーい、ままよ!徹夜でいったるがな!





9月16日
本当に徹夜して、
少し遅れて集合場所にいった。
昨日、残した二つのカット。

通常なら昼前には
終わるはずなんだが・・・

気を緩めないで行こう!

いや、緩めたら
死ぬかもしれないっていう
現場だったしね。

あー、本当は、ここからが
すげー大変だった撮影の話をしたいのだけど
都合上、ここには書けず・・・ごめん。

まあ、、とにかく大変だった。

だから、もう眠い、寝る。