新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

近くから、頑張れ

12月22日
最終の脚本直しをしつつ
夕方、あるターミナル駅へ向かう。

全く仕事とは関係のない現場に。

そう、昨日クランクインした
戦友というか盟友というか
同じ現場で大変な目にあった同士の
菱沼組が撮影しているのである。
で、昨日、今日とあまり動きのない
我が部隊のM木も手伝いで参加している。

行かない理由が全く思いつかない。

もちろん、無いところから振り絞って
スタッフ人数分の差し入れも用意。
手ぶらで行ったら、ただでさえ邪魔なのに
何しにきたんだこの野郎ってなもんだ。

で、しばらく撮影を見学。


こうして見ると
自分に参加義務の無い現場を見る機会は
思い起こしても数回しかなく
自分が動かない、動けないイライラ感はあるが
人の現場、人の演出を見るのはとても勉強になる。
確かに、何度か現場を一緒にした男である。
どんなタイプの演出家であるかは想像はしていた。
でも、実際見てみるまでは人間わからないもの。
あんなに温厚な男が烈火のごとく怒狂っているかもしれぬ。
助監督を殴る蹴るで、皆顔に痣作っているやもしれぬ。
いや、人間わからないものだ。

いやいや、菱沼はそういう奴ではなかった。
残念ながら。
あえて言ってしまうと、
俺なら確実に殴る蹴るの奴にさえ
本当に優しく対応している。
正に紳士的、彼を映画紳士と呼ぼうかと思う。
呼ばないけど。

まあ、その分、見ていてイライラはつのった訳だが。



で、『仕切ってくださいよ!』と
哀願のまなざしを向けるM木を尻目に
ちょうど顔を出したM監督と喫茶店へ。

M木よ、わかっているくせに。
最後まで面倒を見切れない現場を
たった一日だけ顔だして
仕切ってしまったら、
それはその時はいいかもしれないが
長い目でみると、大変な悪だと思うよ。



M監督と久しぶりに話す。
いや、話すのは久しぶりではない。
電話はちょくちょくしていたし
メールにいたっては
あんた俺の恋人か!ってくらいやりとりが多い。

いや、ちょっと大げさに書いた。
まあいい。

それゆえ近況報告というよりも
あの話しは最近どーなったとか
さっきの話しとか
顔を会わせるのは久しぶりだが
話しの内容は毎日あっている学生のよう。
不思議な関係だ。


で、現場に戻ると
当たり前のように撮影は続いている。
とても大変そうだ。

でも手伝えない。

ただ、頑張れと心の中で言う。




未だ開けられていない
俺からの差し入れ。
忙しさの現れでもある。

がんばれ、菱沼君。
君のブログ、毎日読んでいるぞ!
※リンクにある 「菱沼康介の丸い卵も切りよで四角」です。








そんな他人現場に顔出していると
今度は来週撮影のある、
自分のVPの件で電話が入る。
たった3日の撮影だが
俳優部のてっぱりや
箱物の時間設定など
条件、縛り、ものの話し。
イヤだと言っても仕方ない問題なので
自分に与えられた時間が
どのくらいなのかを計算する。

ワンシーンに対して例えば2時間あるとすると
おおよそ、3分の2は準備に摂られてしまう。
まあ、つまりは40分程度が僕の時間。
カット数にもよるが、この40分をどう使うかが問題だ。
ワンカットにつき5分悩んだら
10カットで50分使ってしまうことになる。
で、時間オーバーでジ・エンド。
あえて数学に置き換えることで
どれくらいの撮影スピードを求められているかを考える。
できるだけ事前の考えつくして対応するしか方法はない。

でも、当日のひらめきや当日の大惨事などで
結局無駄になることも多いのですが。

分かっているのは
焦ったらダメということ。
焦っているのをカンジさせないこと。
不安でも不安を見せないこと。



何気にメンタル部分がしんどいのが
演出という仕事なのであるかもしれない。












さ、明日は確定ロケハン。
いくつか見てきたロケ地だが
実際にカメラマンと現地に赴き
カメラアングルや撮影方法など
細かい部分まで相談しておく。
そうすることで、
また更に自分の時間が増えることにもなるのだから。





人に頑張れとか言っている場合じゃないのだ本来。





俺が、僕が、私が、一番頑張らないとならないのです。







頑張ってみよう、俺。





じゃ!