新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

そうだ!これが俺の答えなのだ!

8月12日

もはや自信の塊と化した僕は

続々と入ってくるクライアントさんたちを見つめてた。

何人いようが全てが異論を唱えようがぶっ潰す!

それほどの自信がみなぎっていて、

椅子にも踏ん反り返って文句があるなら

かかってこんかーい!

って、とんでもなく

出来上がりに安心して

ない!!

あるはずが無い!

試写を安心して迎えるなんてない。

どれだけ、でかい口を叩いて

直前の寸前まで自信満々でも

ひとたび試写が始まれば

口から、胃そのものを吐き出しそうになる。

出来上がりが気に入れば気にいるほど試写が怖い。

見せたく無い、

このまま永遠に私的なものであって欲しくなる。

自分の名誉のためにも書くが、

決してクライアントさんが怖いわけじゃない。

言われることを恐れている訳でもない。

最もとってもかなり一番最高に

怖いのは

壊されることである

たった一言で壊されるのだ。

僕の望む形は脆い危うい儚い虚しい空々しい…

試写の20数分間、宛の無い視線、

咳払いに心臓が止まり、

ペンのノック音に落胆する…

背中で感じ取ることのできる

ありとあらゆる行動を背中で見る。

そして、その行為をする輩は敵なのか味方なのかを

詮索して、味方であると決めつけながらも

ノックした音が強かった!というちょっとした

主観的な微妙な意見が頭の片隅で生まれて

結局は、敵方であるという判断に落ち着く訳だ。

つまり、結果的に試写が終わる頃には

会場にいる全ての人間が

僕の作った映像に何かしらの文句を言いたいのだ、

と、錯覚に似た、被害妄想に似た、感じになる。

誰が壊しに来るんだ!

お前か!お前か!

そして、帰宅して、今、

オフラインのつなぎ通りに台本を修正して

追加で録りたいナレーションも作って

台本をメールしておいた。

それが3時過ぎの、今だ。

で、ふと今日を振り返っている。

試写で出た意見のほとんどが、

納得のいく意見であるか、

そもそも台本の段階で言って貰わないと

今更修正出来ませんという部分だった。

恐ろしいことに、いくつかの意見では、

一番恐れていた ”壊される” 意見もあり…

昨日、冗談で、

「さすがに納得できない意見を言われたら

 フィルムを縦に切ります!って言ってみますよ、フィルムじゃないけど」

と、プロデューサーと話していたのだ。

笑っていたけれども、

僕が、最終的に壊されると判断したのならば

そのようなことを言いかねないことも

分かった上での笑いであると信じているが。

で、そんなおっかない意見は

なんとか避けながら、

もっとも揺るやかた形で着陸できそうになった。

これはこれでありがたい。

試写後は色々な意見が出て

収拾をつけるのに伝家の宝刀を出すかどうか迷ったが

なんとか出さずにカタがついた。

だから、まあ、明日の本編集も、

厳しい内容にはならないと踏んでいる。

え?こんな場合の伝家の宝刀って?

それはね、僕に向けた刃が、

実は、そこにいる同じ部署の同僚に向いていて

尚且つ、言えば言うほどに、同僚はおろか自分にまで

火の粉が降り注がれるって返答です。

僕らはいくら面倒であっても、

何回も、何重にもチェックをして、

連絡をして確認を取ってから進めている。

つまり、こちらがやろうとしていること、

やったことは、本来全て周知の事実であるわけだ。

まず、言った言わないって問題にしないために、

全てにおいての確認が滞り無く進んだことが前提であるが、

僕に言う、その意見は、

そのままスルーで担当の人に向かう。

だから、僕への質問や意見であるはずなのに

僕ではない人間が答えるはめになる。

その人が言えば言うほどに

担当者はこちらの味方になり

以降の質問まで一手に引き受けてくれるようになる。

かなりタブーだが質問に質問で返すのも有効な手段である。

ドラマへの意見という

かなり曖昧になりがちな意見だが

曖昧なままでは修正にもならないし

具体的な動きさえ見えてこない。

漠然となんですが、こんな印象を持ちました。

と言われても、対処にしようなない訳だ。

だから、いかなる意見や質問に対して全て

こちらも質問で返答するという方法もある。

基本的に質問する気がなくなるまで続けるので

かなり体力を消耗するが、守れるものは大きい。

さて、そんな手段は使わずに済んだので

明日は気分良く本編集が出来そうである。

今回は、フォントもいじくってみようと思っているし

通常にVP表現ではないこともやるつもりだ。

ファイナルカット上で検証も済ませているので

堂々とやっつけてやる。

昨日、プロデューサーから

とんでもない誉め言葉を頂いたので

一人、考えていた。

「これは、VPじゃない、映画だ」

企業VPであろうが、

科学番組であろうが、

僕が作るのは精神的な映画でありたいのだ。

そう、これが俺の答えである。

じゃ!

マメネタ

原宿駅から明治神宮駅に向かう途中、

ちょうど、地下へ降りたどんつきの壁に

オールライダー対大ショッカーのポスターがある。

昭和平成全てのライダーが勢ぞろいしている。

昨日、今日と、

ここを通過していたのだけれども

目が釘付けなんです。

かっこいいなぁって。

いっそのこと、一人で見に行っちゃうかとも…

つーか、あのポスターが欲しい今日この頃。

明日からここを通らないので、

それがもっともさびしいことの一つかもしれない。

じゃ!