7月20日
すでに腹は決まっていた。
今手持ちにある、
有り金全部使っても構わないと考えてもいた。
とはいえ、500円か1000円か…
キン消しのガチャガチャを前にした息子には
今、キン肉マンが必要なのだ。
自分が無くしたというショックから立ち直らせるためには
キン肉マンが出るまで回し続けるしか方法はない。
まあ、限度はあるが。
大人でも子どもでも
おねだりする時に出す声は甘ったるい。
ゴーオンジャーと仮面ライダーキバを見終わった息子は
寝ている俺の耳元で、こうささやいた。
「ねぇパパぁ、今日は、キン肉マンのガチャガチャを
キン肉マンが出るまでやるって言ってなかったぁぁぁん」
強引に俺を起こしたりすれば
逆に怒られてしまうからと
息子は非常に丁寧に丁寧に
優しく耳元でささやいた。
そして、ゆっくりと俺の身体を揺らした。
「頑張ったらキン肉マン出るかなぁぁぁ」
さすがに4歳ともなると
親の言っていたことをよく覚えている。
キン消しのガチャガチャは
いまどき珍しく100円だった。
最近のやつは何でもかんでも200円が多くて
あっと言う間に1000円、2000円が飛ぶこともある。
だから、昔ながらの100円は非常にありがたい。
俺は、息子に100円を一枚渡し、
「キン肉マンが出ろって念じながら回せ！」
と言った。
「わかった！」
って、言いながら、はやる気持ちを抑えられない息子は
ちゃっちゃとお金を入れて、すぐに回す。
「あ～ロビンマスクだぁ～」
一気にテンションが下がる息子。
「ほれ！もう一回やれ！」
「うん！」
「次はちゃんとキン肉マン出ろって考えろよ
信じれば、願いはきっと叶う！」
息子は返事する間もなく
ガチャガチャを回している。
「あれ？なんだこれ？」
「うん？これはバッファローマンだな」
「そっかぁ～」
「よし、もう一回だ」
「うん！」
いや、無尽蔵にやらせるつもりは無かった。
5回、500円で終了と言うつもりになっていた。
たっぷりと入っているガチャガチャを見て
引いたからだ。
が、
「あ！ キン肉マン！ キン肉マン出た！やった！」
「どれ？見せてみろ、お！本当だ！
キン肉マンと悪魔将軍じゃんか！
やったな！じゃ、もう一回やっていいぞ。」
「え！やった！」
うん、キン肉マンが出たんだから
3回の300円で終っても良かったんだけど
もう気持ちは5回、500円になったいたので
追加で2回許可した。
息子は嬉々としている。
もちろん、こうした息子との会話の合間、合間には
家族一番の暴れん坊である娘が
”ワタシも！ワタシも！”と喚き散らしており
プリキュアのガチャガチャ（これは200円）を
指差して”これ、これ！”と
俺の短パンをひっぱっている。
息子、キン肉マンのガチャガチャを5回。
娘、プリキュアを1回、キン肉マンを3回。
合計1000円をガチャガチャに使った。
なんだか、ちょっとだけ虚しいような気もしたけど、
帰り道には、皆で自転車に乗りながら
キン肉マンの歌を歌って帰宅した。
ズダダン！ズダダン！
嵐が渦巻くリングにぃ♪
ズババン！スババン！
奇跡の勇者が生まれたぁ～♫
右手に勇気をぉ～
左手に涙ぉ～♪
頭の悪そうな家族に見えたかもしれないけど、
とっても楽しかった。
息子は何回目かで出た
ジェロニモを手にして
「ジェロニモはねぇ、本当は人間なんだよ！
それでねぇ、サンシャインの胸の鍵を取って
ウララーってやって勝つんだよ！」
「そんなこと知ってるよ！
大体、その話はパパが教えてあげたんじゃないのか？」
「あれ？そうでしたぁ～ はっは～」
「はっは～ じゃないよ！」
で、お昼からは
ＣＭの演出プランというか
ちょっとしたメモと追加コンテを書いておいた。
なにか、こう、なんかしらやっておかないと
気が気じゃないというか、
心配というか…
やってもやっても心配は無くならないんだけど、
やらないよりはマシって感じ。
でもって、明日は本当に休みます。
あるケーブルＴＶ局の懸賞に当たりまして、
あるスケートショーのチケットがあるんです。
2枚しかないので…
組み合わせは
パパとママと二人だけ。
って、これは有り得ないので。
ママ（もしくはパパ）と息子、
チケットの要らない娘は膝の上。
ママ（もしくはパパ）と膝でなくイスに娘で
パパと息子はブラリ旅。
肝は息子がちょっと女の子向けっぽいショーを
見たがるかどうか？ってところです。
その返答次第では、
パパは一人でプラプラしないといけないか、
息子と二人でプラプラするかになります。
まあ、どっちもどっちなんだけどね。
じゃ！
