新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

風と闘う男

10月14日
結局、玩具のスーパーと言える
トイザらスにも目当ての
ゲキトージャ(青)は売っていなかった。

無ければ諦めるという約束だったが。
わかっていたが、
簡単に反古にされた。
床にしゃがみ込んだ息子は
そのまま僕の左足を抱え込み
買うまで離さないと泣き叫んだ。
俗に言う、駄々をこねるである。

日曜日のトイザらスは沢山の人で溢れている。
しかし、周りの家族も見慣れた光景なのか
全く気に止めてはいない。
だからではないが
今日は毅然とした態度で
NOを突き付けた。
息子は更に泣いた。
足に抱き付かれたまま引きずり回した。
服が汚れるからやめた。
息子はどーしても
何かを買わずにはいられない様子。
人目をはばからずに
張り倒そうかとも考えたが止めた。

一先ず、遠方にいるママに
伺いを立てなければ
ならないといけないよと諭した。
ママに聞くという行動は
息子的に納得いったらしく
すぐに大人しくなった。


ママの存在は常に強大で巨大だ。



そして、どう説得したのか分からないが
ゲキなんたらでなくて
ライダーベルト
買うことになっていた。
そして、娘には髪止めのゴムを購入した。

トイザらスを出ると
さすがに秋と思わせるような
気温になっていた。




「カゼって駄目だよね!
             良くないよね!」

「は?…あ、ああ、
         そうだね。良くないね


「よし、じゃあ〇〇くんやっつけるから!」


「やっつけるか!
 よし、じゃあ変身しないと、
           ライダー
に!」

そうだね、わかった!



息子はズボンに付けたライダーベルトに
アタッチメントを付けて変身した。
赤く光るライダーベルト。

「よし、やっつけるぞ!
         
えいっ!とーっ!

確実な何かに向かって

パンチとキック
を浴びせかける息子。
闇雲に繰り出されたパンチは空を切り、
テキトーに出されたキックは地面を叩く。

その確信めいた敵の存在とは何か?



「おい、
何と闘ってるんだ?」


だよ!
 待ってて、
やっつけるから!」


「ま、まあ、頑張れ。」






きっといつかそのうちなんとか
風に勝てる日が来るさ。

じゃ!