新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

現場は生き甲斐

9月10日
4:00am
目覚ましが鳴る30分前、
俺は目を覚ました。
すぐにTVを付け天気予報を確認する。

今までは天気予報がやっていそうなチャンネルを捜して、
ガチャガチャとザッピングしていたのだが
デジタル放送にしてからは
ボタン一つで天気予報が確認できる。
便利な時代になったもんだ。

今日の天気に軽く悪態をつきTVを消した。

顔を洗い、ヒゲを剃り目を完全に覚ます。
あ、ヒゲはアレよ、整える程度に剃ったってことね

4:30になり今日の準備をして着替える。

さあ、出発だ!
まさに今、日が昇る!
撮影という楽しい一日が始まるのだ!

× × × × ×

撤収移動!

第一現場を1時間押しで終わらせた俺は
すぐにマイクロに飛び乗った。
撮影を遅らせることなんて造作もないこと
だが1時間の押しを巻き返すのは至難の技だ。
細かく言うと巻く方法というのは余りない。
撮影の現場にほんの少しある
無駄な時間を削るくらいだ。
しかしその無駄な時間というのは
始終アンテナを張り
現場を見ていないと見つけることができない。

例えばこんな時間だ。
撮影の準備が終わり
出演者を呼び撮影開始となる訳だが
撮影準備が終わってから
出演に声をかけるとなると声をかけに行って、
声をかけて出演者に出てもらうまでの時間は
現場としては止まってしまう。
ワンカット当たり5分待ちの時間があると
10カットで50分もロスタイムを出してしまう計算になるのだ。

そしてつまり1時間の押しを巻き返すというのは
非常に大変だということなのがお分かりだろう。
これが2時間、3時間になると
容易に取り返せ無いのだ。

すでに出演者は準備を終え出番を待っている。
現場状況が思わしくなく
移動はしたが搬入がなかなか進まない…
旧知のヘアーメイク&スタイリストは
『どうしたんだハセ!』的な目を向けている。

俺はまず搬入の段取りを変更し
更に押しを1時間で食い止めるために
Shoot予定時間を9時から10時に繰下げる。
ただ急げ急げでは早くはならないからね。

が、いくら待っても車は来ない。
最悪の場合は撮影は深夜になるだろう。
香盤の変更を頭で練り始める…
太陽の必要なデイシーンとイブニングシーンを先行させ
室内撮影を後回しにする。
その場合考えられる問題は…

「機材車到着しました〜」

相変わらず気の抜けたような態度しか出来ない
俺の助手からシーバーが入った!

時間は9時30分。
間に合うのか、間に合わないのか…

「機材車到着!道空けて!」

×  ×  ×  ×  ×

「え?祭?今日?今から?」
「工事?今日一日中ずっと?」
「苦情?今すぐ止めろ?」

もう完全に俺に向かって風は吹いている。
立つのがやっとくらいの強風が吹いている。
現場からシーバーから
様々な部署からの呼び出し・相談…

俺は聖徳太子じゃないので
数分置きに答えを出さなければならない
相談の連続は目が回るというか頭が痛い…

つーか本当に頭が痛くなってきた。
終わるの?
大丈夫なの?
間に合うの?

撮影は楽しい。
本当に楽しい。
通常では考えられないことが起こる。

で、撮影終了予定時間の17時。
それから約5分後の17:05

「只今のカットで
全シーン全カット終了です!
おつかっしたぁ!!」

取り返したぜ1時間。
ふふふ…

明日は休もう。

じゃ!