9月4日
メインスタッフロケハン。
各部署の技師と監督が
ロケーションの候補地を確認する日。
俺たちはこの日のために
３つの候補地を用意していた。
だが、結果として
前段階の写真選考で二つの候補地が落選。
今日ロケハンするのはたった一つだけ。
しかも、その候補地は今日
別の撮影が入っているために
完全なロケハンができない状態である。
尚且つ、候補地の担当者からは
今日は来てくれるなという
きついお達しもあった。
が、俺は候補地にGO
だって、今日しか監督に
スケジュールが無いんだもの。
今日を逃すと監督する立場の人間は
全くロケ地を見ずに撮影をするという
皆目検討もつかないことになってしまうのだ。
駄目と言われようが、
怒られようが俺はGOサインを出す。
完全には見られない旨を
スタッフ全員に告げ
撮影候補地へ行く。
たった一つの候補地ということは
ほぼ確実にこの場所で
撮影をするということ状態だ。
写真では今までで一番いいと言われていたが
心配で心配で仕方がない。
俺が選んで、俺がプレロケハンをして
俺がお勧めした候補地だ。
難なくOKを頂きたい。
だが、こればっかりは、
そうも簡単なことではない。
高鳴る鼓動を抑えて
俺はロケ地へ飛ぶ。
予想していた、
問題は問題として残ったが
メインスタッフロケハンは
無事に終えることができた。
そして、スタッフ打ち合わせ。
今まで楽だったのが嘘のように
やること、やらなければならないことが噴出。
とりあえず、今日のところは早めに帰り
明日から撮影準備大会が開催される。
畑違いの仕事に悩み
思い違いの内容に虚ろになり
自分の仕事に自信を失い
辛いというかやばい状況の俺。
だが・・・
仕事のまとめをし始めてから
少しずつ変わってきた。
準備の準備から
具体的な撮影準備に入ったからであろう。
俺のテリトリーの話しになってきたのだ。
今まで黙って見ていた打ち合わせも
意見の言える内容に変わってきた。
俺の根拠の無い自信も
降って湧いたように回復してきた。
借りてきた猫が自宅に帰ってきたというか
隣の芝は青くないというか
まな板の鯉が池に戻ったというか
とにかく！
屁のツッパリはいらんですよ！
もう、ここまで来たらこっちのもんだ！
何でもこいやとは言わないが
もう畑違い感は薄れてきた。
やっとリングに上がった感じだ。
もう、いつゴングが鳴っても構わないぜ！
じゃ！
