新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

殺しの文句

9月2日
俺は今、初のCM制作チーフをやっている。

そうだ、俺は本来演出部であり
監督だってしている。
しかし、今俺は制作部だ。
慣れない仕事に迷っているし
戸惑ってもいる。

最初で最後だと自分に言い聞かせ
自分にできることを精一杯出すだけだ。

俺にできないことなんかない。

そして、今日会社で
別のプロデューサーに呼び止められた。
先日、オファーを受けて保留していた
『制作部』の仕事だ。
俺は、答えに詰まり
どう答えを出していいかわからない。
演出を宣言しておいて、
助監督をやり、
そして、制作までやるのかと。
俺は俺に聞く。
どういうことなのか?と。

なんでもやればいいじゃないかとお思いかもしれない。

だが、違う。
違うことだけがはっきりと分かっている。
ただ、こんなにも悩んでしまうのは・・・

「答えを伸ばすのは申し訳ないので、
別の奴を紹介しますよ・・・」

「いや、君じゃないならいらないよ。
どんなに優秀な奴を紹介してくれるにしても
君じゃなきゃいらない」

「え・・・」

「月曜までに答えを出してくれればいいから」

「は、はい」

「何度も言うけど、君じゃなきゃ意味がないから」

困った。
非常に困った問題だ。
こんな言葉を嘘でも言われて

「でもやりません!」

なんて言える?
言えるのなら、あんたすごいよ。
面と向かって、
半分怒りながら『お前じゃなきゃ』なんて・・・
『他の奴を・・・』なんて言った時は
本気で怒った顔をされたんだから。

どうなの?
喜んでいいの?

日本映画学校を卒業して10年。
助監督として、様々な現場に立ち
すさまじい撮影をこなしてきた。
その経験から来る信頼なのだろう。
そして、今までの仕事振りの成果だろう。

後は俺の問題だ。
どのような答えを出すか

慣れない制作の仕事をしながら
俺は俺に質問を浴びせ続ける。
俺なりの答えを出せと。

『やりたい事とできる事は違うんだよ、長谷くん』

昔、先輩に言われた言葉だ。
何がやりたくて、何ができるのか?

× × × × ×

ケーブルTVで『アルマゲドン』が放送されていたので
途中だったが暫く見てしまった。
この荒唐無稽な映画は
もちろん公開時には劇場で見た。
松田聖子が出てるとか
そんな話しがあったなぁ。

で、アルマゲドンだ。

はっきりと思ったのは
本当にこんな方法しかなかったの?だ。

まあ、いい。
軍人や穴掘り野郎が世界を救うなんて
なんともタカ派な感じがするが
まあいい。
そんなことを『アルマゲドン』で言いたいのではない。
単純にこの映画を見て思ったのは
子供を置いて死ぬかもしれない
仕事や旅に出るというのは
とんでもなく辛いことだろうということだ。
そして、もうすぐ世界が滅亡するという瞬間に
小さい子供を抱えて
空を見上げるのはどんな気持ちだろうかということだ。
想像するだに恐ろしい気分だ。

自分の子供がいとおしくて堪らないという話しじゃない。

時間や自分を取り巻く環境の違いで
こんなにも映画を見た後の
気持ちが変わるのかということだ。

あ、また、話しが変わるけど
香港映画の喧嘩シーンは
全部カンフーに見えないか?
今、ちょうどそんな感じのドラマが
放送されているんだが・・・

あ、カンフーサッカーのドラマ版だって。

そりゃ何でもかんでもカンフーだ。
仕方ない。
え?カンフーでもクンフーでもどっちでもいいじゃないか。
そんなことは大きな問題じゃない。

一番の大きな問題は
俺のできることは、やりたいことと違うのかってことだ。

× × × × ×

知り合いの、
つーか、ある有名人のファンサイトが縮小された。
管理人の方の人柄でもっているようなサイトであったが
どうも、毎日のメールや書き込みなどに
少々疲れたようだ。
ここだけでなく、大きなサイトになればなるほど
そこの管理人はその分の大きな負担を味わうことになる。
恐らくは身勝手な誹謗中傷だったり
見えない相手に対しての甘えなどからくる
嫌な感じのメールだろう。

インターネットの世界は膨大で
様々な有益な情報や無益な情報。
本当の事や嘘八百の事。
そして、それらのほとんどは
文字や文章の形で表現されている。
今では写真を加工するなんて簡単なことだし
動画だって簡単に加工できるのだ。
嘘だろうが本当だろうかなんて
関係の無いことになってもいる。
ただ、求められるのは
その情報を見た人の選択眼。
嘘か本当かを決めるのは自分だということ。

僕はネットには感情がないものだと思うようにしている。
勝手な誹謗中傷はもとより
子供も読んだりする映画サイトに
エロサイト誘導書き込みや
メールを読むだけで感染するウィルス。
相手の感情を思いやることのできる
人間のやることとは到底思えない。
自宅のパソコン画面に
書いた文章で誰かが傷つくなんて
考えることができないのかもしれない。
パソコン画面には相手の顔は映っていないのだから。

だから、ネットには感情が無いと思うのがいい。

幸いにも僕には
そこまで酷いメールや書き込みが来たことが無い。
大したページじゃないのが要因だと思う。
そこそこで丁度いいのかもしれない。
そこの管理人さんには
ただただ、『がんばってください』しか言いようがない。

なんでも書けばいい、言えばいいってもんじゃない。
人間我慢が必要だぜ。

じゃ!