新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

罠 その4 (7)

8月15日
今日、最終的に監督と打ち合わせをして
撮影香盤を確定香盤に仕上げました。
後は、この香盤を元にして
更なる打ち合わせと段取りが待っています。

が、取り急ぎ早急な準備はまだ先。

僕は明日から3日間ほどは

やることがありません。

なので、明日から奥さんの実家へ
行ってこようと思います。
現在、奥さんと息子はそっちの方に行っていて
自宅内は静かというか

静か過ぎて物足りない状態です。

最近は子供が寝たのをきっかけにして
自分も寝ていたので
なんだかこの頃は、
寝るタイミングが掴めません。
気が付くとネットを朝方までやってたりとか・・・
それで、最近は腰が痛くて痛くてたまりません。

さて、ここ数日不安定な天気が続いてますね。
撮影が近いのでとっても嫌な雰囲気です。
だいたい撮影ってのは”晴れ”
前提としたものがほとんどだけに
こんな天気続きは本当に嫌になります。
しかしね、夏ってのはさ
天気がすぐに悪くなるもんなのさ。
午前中に少し曇ってさ
昼頃に晴れて
夕方に夕立がなんてことがザラでしょ。
もうね、だからさ、晴れ狙いって割りと大変。
ドラマでもあるでしょ、
カットやシーンが変わるとさ天気まで変わってるのが。
あれは日付が変わってたりするからね。
よくあるんだけどさ、
CMの場合はおおよそ1日で撮るから
天気がつながらないってあんまり無いっていうか
許されないことが多いのさ。

で、時間とお金をかけてね
ま、予備日を使ったりもするけど
多少の違いならテレシネや編集で加工しちゃう訳だ。
できる天候とできない天候もあるけどね。
そんな心配が撮影が終わるまで続くのさ。
作品によっては胃が痛くなるのよね。
今回は予備日があるから
まだマシなんだけど
たまに予備日無しっていう撮影もあるのね。
雨でも撮影するぜ!っていうやつ。
スタジオなんかは全くそんな心配いらないんだけど
ロケで予備日無しなんて
本当は有り得ないんだけど
ままあるのさ。

そういう時はどうするか?
どうしてるか?っていうと。
雨の場合はこうするっていう作戦を立てておく。
ロケハンも雨の時はここで撮影なんていって
2箇所見つけておいて
両方の準備をするの。
ものすごく大変。

予備日があるっていうだけで
その分は楽ができるのさ。
とはいえ、予備日は使いたくないのが
お金を払う会社の常な訳で
その辺りで監督以下撮影する側と
撮影を依頼した側で協議がおこる。

この空で撮影できませんか?
この空じゃ撮影できないよ
そこをなんとかなりませんか?
うーん。

みたいなね。
ここで面白いのは

微妙な逆転現象がおきるってことだ。

つまり、撮影を依頼したのは
クライアントであり
広告代理店であり
制作会社であるわけで
つまりはお金を支払う側。
で、撮影するスタッフは
撮影を依頼された側で
お金を頂く側だ。
これはサービス業なら
お金を支払う側が優位であり
貰う側はお客さんに対して
それ相応のサービスというか
対価を与えなければならない。

通常お金を貰う側が
支払う側の指令を聞くのが常。
その貰う側っていうのに
監督やカメラマンがいるので
払う側が貰う側の指令を
聞くっていう状態が多いのだ。

「この天気で撮影したらどうなっても知らないよ」
みたいなこと言われたりしちゃうわけだ。

ここら辺が面白いというか
この仕事が普通じゃない要因の一つだと思う。
もちろん、支払う側が結局は一番強いわけだけど
あくまでも監督尊重っていう形に変わりは無い。

この監督尊重主義っていうのは
日本が一番強いっていう話を聞いたことがある。
映画でもCMでもVPでもね。
本当は資金調達をする
プロデューサーが、とも思うんだけどね。

どうなんだろうね。

僕はその辺には答えないことにするよ。

じゃ!

■まだまだ、分からないことだらけな罠

※追記
  何故か昨日からTVをつける度に
  松田優作さんの映画が放送している。
  昨日は「蘇る金狼」
  今日は「野獣死すべし」だ。

  僕は松田優作さんの映画が大好きだ。
  しかも、昨日、今日の映画がとても好きだ。
  「蘇る金狼」の鮮やか過ぎる完全犯罪。
  ストイックに金と権力を追い求める主人公。
  だが、ほんの少しの愛情のかけらからラスト・・・

  また「野獣死すべし」の列車内の行き詰る攻防。
  強盗事件の後、何食わぬ顔で列車で逃げる主人公。
  そして、主人公を犯人と疑わない刑事。
  列車内で刑事は主人公を追い詰める。
  犯人への疑惑が確信へと変わった時
  刑事は銃を抜く。
  しかし、証拠は出ない。
  そこへ立場を逆転させる相棒の登場。

  ここからだ、ここからがとてつもなく凄いんだ。
  優作さんの目は本当に人を殺す目に見える。

  まあ、見てみてくださいよ。

  じゃ!