新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

罠 その4 (4)

8月5日
いよいよイベントVPの編集も大詰めです。
今日で9割9分完成です。
後は試写と微調整が残っているだけです。
月曜日の試写過ぎれば
MAVに向けての最終形に仕上げていきます・・・

会社に少し遅れて到着。
すでに宿題の部分の編集を終えた○本くんが
Macに突っ伏して寝ています。

「じゃ、見ようか」

「プロデューサーには
先ほど見ていただいてOK貰いました」

お、これは、アレだよ。
こういう情報を先に言っておいて
これから見るものへのNGを減らす作戦だよ。

「あ、そう。じゃOKか。OKでいいか」

「い、いや、監督に見ていただかないと・・・」

「じゃあ、そんな情報いらないよね」

「す、すいません」

我ながら性格がめちゃめちゃ悪い僕だ。
常々思っているが、
僕は相当に偏屈というか性格に難がある。
一番顕著なのは、
人の意見を聞けないということだろうか
わかっているのだけど、
その方が良いのは知っているのだけれど、
自分が間違っているのだけれど、
人の意見・忠告・進言が聞けない。
たちが悪いのはこのことを
自分でよーく分かっていることだ。
分かっていてできない。
つい、逆のことをしたり、間違ったまま進めたりしてしまう。
なんか言われても、つい、それを否定してしまうのだ。
感情が落ち着いている時は
それをコントロールできるのだけれども
だいたい、そういうことを言われる時に限って
燃え盛っていることが多い。

これは非常にイカン、遺憾。

それはさておき
Proの見ている部分と
Dirの見ている部分は根本的に違うことが多い。
簡単に言うと
大きく、概略を見るのがProで
細かく、詳細を見るのがDir。
確かに、上がった編集を確認すると
ProがOKを出したように破綻も無く
仕上がりとしてまとまっている。
が、細かく見ると些細なことでNGだと感じた。
具体的なことは書けないが
テロップを画面に大きく表示させ
イベントの商品を告知したりするのだが

『新・カチンコ日記の本が完成!○月×日発売!』

もちろん嘘だが、こんな情報が必要だったりしたとする。
これを何が重要で何を強く伝えたいかで
テロップにしてもスーパーにしても
書き方が違ってくる。

『発売!○月×日。新・カチンコ日記の本』

『○月×日。新・カチンコ日記の本。発売!』

『新・カチンコ日記の本が完成
○月×日。発売。』
※何度も言うが嘘だからね。分かっていると思うけど。

まあ、順番を入れ替えるだけで色々と印象が違ってくる。
こんなことをイチイチと考えていると
夜も眠れなくなってしまうのだけれど
どうしても、違う部分は強固な姿勢でNGを出す。

結果、5つほどの直しを要求することになり
レンダリングに1時間の大台をはじき出させることになった。
じゃあ、この間に他の作業を・・・
と言ってもやることが無い。
レンダリングを待つことしか残っていない・・・

レンダリング終了後にも少しの手直しの宿題を出して
今日は終了することにした。

後は、音楽屋さんに映像を渡して
素敵な音楽をつけて貰うだけ。

そして、僕は次の仕事の
準備に取り掛からないとならない。
次回の仕事はCM助監督。
10年続けた本業というべき仕事だ。
(本当は監督を本業と言いたいが)
やはり、現場が近いとワクワクする。
大声を張り上げ、
走り回り、頭を抱え、作戦を練る。

監督にしろ、助監督にしろ
俺はこの仕事が大好きだ。

じゃ!

■好きこそものの上手なれ?本当?の罠