新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

MASK DE 41

8月21日

今日はあの『MASK DE 41』の公開初日だ。

舞台挨拶もあるし、微力ながらお手伝いした映画でもあるから

とっても行きたかった。

行きたかった・・・

ギリギリまで仕事をかわし

ギリギリまで駆けつけるつもだった。

「はせさん・・・すいません。どうしても、21日。駄目ですか?」

「え、あ、ううう」

「村本さんの映画の初日なのは、わかってます。すいません」

「う、うん・・・」

 

 

 

2001年5月のある日。

突然、電話が鳴った。

電話の声は村本さんからだった。

「はせくん!助けてくれ!現場が大変なんだ!」

僕は耳を疑った。

はっきり言って、いつクランクインしたかすら聞いてない。

現場が大変なんて話しも寝耳に水だった。

なんと、現場で重要なスタッフが倒れたらしいのだ。

「明日から来てくれ!」

僕はその日、奥さんの実家に着いたばかりだった。

やっと、持参した荷物を降ろし一息ついたばかり。

はっきりいって”無理な相談”

「す、すいません」

「ああああぁぁぁぁぁぁぁ」

あの時、落胆した村本さんの声。

思い出すとだけで、心苦しくなる。

でも、映画に初めから呼んでくれなかったことに

少なからず不満もあったのは事実だった。

何が悔しいって、映画の脚本を書いたのが

映画学校の同期で、劇団や自主映画とかを

ずっと一緒にやってきた奴なのだ。

その、映画に初めから参加できないなんて悔し過ぎるだろ?

それから、数日後のことだ。

また、村本さんから連絡が入った。

「エキストラの仕切り。頼む。大阪から貝本も呼んだ」

僕は会場のある渋谷へ飛んだ。

そこで、今では東京で活躍する”ロンギッシュ貝本”氏と初めて会う。

噂で聞いた、”大阪の凄い奴”はこの人かぁ

そこで見た貝本氏のスーパー仕切りはここでは書かないが

それはそれは凄まじいものがあった。

その凄まじい仕切りの元

会場は熱気に包まれ

映画の中で最重要な試合シーンを撮影した。

CMで一緒に仕事をしたことがある録音部さんが

僕に声をかけた。

「いやぁ、久しぶり!監督が生き生きしてると思ったら長谷くんたちがいたんだねぇ」

なんか、嬉しかった。

それから、もう一日撮影に付き合った。

後々、J-CMやエーザイなどのCMでご一緒することになる

田口さんや松尾さん。筒井さん、小日向さんに伊藤さん、蒼井さん。

とっても楽しい撮影だった。

それから、3年が経った。

僕と村本さんとのタッグも3年が経過したことになる。

そんな、思いで深い映画が数日後に初日を迎える。

でも、僕は仕事をとった。

間違った選択だとは思っていない。

きっと、大盛況で初日は大成功だろう。

一度、映画を見た僕が行って、

楽しみにしてきた人の席を奪うくらいなら

今日は行かなくてもいいんじゃないだろうか。

舞台挨拶に人が集まるのは当たり前だしね。

「村本さんの映画の初日なのは、わかってます。すいません」

「う、うん・・・行こう。ロケハンに。僕が行ったら助かるんでしょ?」

「はい、それはもう!ありがとうございます!」

21日

スタッフと昼食中に時計を見た。

時計は12時を回っていた。

”初日の第一回目が始まっているなぁ”

”一回目が終わったら、舞台挨拶があるんだよなぁ”

15時過ぎ。

僕は今日”行く”と言っていた友人カッツにメールした。

どう?どうなの?

”1回目は満員。大盛況だよ!”

”俺は2回目を見たんだけど、感動した!”

良かった!本当に良かった!

自分のことのように嬉しい。

ギュウギュウにスケジュールを詰めたことで

明日が急に休みになりそうだ。

明日あたり、行こうかな 『MASK DE 41』に!

東京やその他の地方でも公開予定ですので、みなさん時間を作ってみてください。

ちなみに東京公開の劇場HPは ここ

追記

なんだか嬉しくて

脚本を書いた百恵 紳之助こと足立 紳にメールした。

『公開初日おめでとう!これからオファーが殺到することを祈る』

『ブログで大宣伝頼む。大な。』

と返信されてしまった。

すでに、書いてしまった後だが

もう少し『MASK DE 41』について書こうか。

この映画の脚本を書いた足立とは

映画学校からの付き合いで

一緒に劇団を旗揚げしたり自主制作映画を作ったりと

卒業から今までの10年ほどの縁だ。

また、MASKの監督である 村本さん の現場に初めて行ったのも

足立の紹介が最初なんだ。

まあ、つまり、この『MASK DE 41』は

僕にとってとても特別な映画。

足立が村本さんと脚本を進めていると聞いた時

正直言って、悔しい思いで一杯だった。

でも、映画学校時代から足立の脚本は面白かったんだ。

これは、紛れも無い事実。

だから、きっとMASKも面白いと思ってた。

「早く実現するといいっすね!」

映画化に向けて着々と準備を進める村本さんによく言ったもんだ。

友人の書いた脚本を、頼りになる先輩が監督する。

いつしか、悔しさから羨ましさに変わってた。

「すげー、楽しそう!」

まあ、だから、クランクインする日程ぐらいは教えて欲しかったなぁ・・・

  

  

  

  

ああ、なんか私的な話になってきた。すまん、足立。

映画の宣伝に方向を転換する。

この映画は『駄目なおっさん』が更に駄目で駄目すぎる状況を

受けて、受けて、受けまくる映画なんだ。

技をかけられているんじゃない、

耐えているんじゃない、

攻撃されているんでもない。

    

  

  

『受けている』

  

  

  

  

それは、きっと映画を見てくれれば分かると思う。

田口さんの芝居を見ればわかると思う。

光っているのは、技がすごいからじゃない、

”受け”がすごいから”光って”いるんだ。

敗者の美学とか言う言葉があるが

『MASK DE 41』は

受けの美学だ。    と思う。

まあ、3年前に見た感想だからなぁ。

明日、また見て、もう一度感想を書こうと思う。

え?また、MASKネタか?

そうですよ。

だって、”大宣伝”を依頼されたんですもの。

脚本家からじきじきに。

いつか、僕に脚本を書いてくれよな。