新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

何故、この時期にアイスコーヒーを買う?

11月11日 23:30
僕はそんなに真面目な方では無いので
打ち合わせだからと言って
それらしい発言をしようと心がけることもなく、
言ってしまえば、
大変な準備になるかもしれないという懸念も
全然考えずに発言する。
短期間で出来ようはずもないことも言えば
散々否定しておいて、
最期に”それでもいいけどね”と肯定する。

出来ないことと初めから分かっていても
言わないと気が済まなかったり、
言ったことで責任が二倍三倍に膨れることも
承知の上で方針を切り替えたり。

初志貫徹っていうのは
その初志がとても良い場合において
貫徹することがベストだということであり、
初志に間違いがあったり、
そもそもが違ったりすれば
案外簡単に方針を変更していくのも重要だ。
そうなると、初志ってやつは、
常に大枠で曖昧な言葉になりがち
基本に忠実とか軸にするのはリアルでとか
そんな、どうとでも取れる初志。

逆にほいほい変更したとしても、
常に最善の選択をするという初志であれば
それは初志貫徹に他ならない。

で、何が言いたかったかというと
今日の打ち合わせのとどのつまりは

僕がアイス珈琲が好きじゃなくて、



あ、すいません

今、メールが入りまして、
すぐに台本のチェックをしないといけません。

11月12日 1:00
で、今チェック終わりました。
いやぁ、大変です。
ま、とある企業のまじめなお勉強ビデオなので
色々と細かい修正や
表現に関しての意見が沢山あります。
先ほど、メールで来たのは
法律的にどうか?という観点の修正でした。
僕があえて省略した部分や
理解しきれていなかった部分、
解釈の表現などにバリバリ修正が入っていました。

ですが、これは本当に人によりけりなんですが、
この修正をしてくれた方は、
とっても頭が良くて回転も早くて、
なんというか心得ている方のようで、
実に上手に修正を入れてくれていました。

前後の流れや文体などまで考慮した上で
文言をつむぎ出してくれており、
ほぼまんまでいけるほどでした。
すでに、撮影まで数日しか無い状態ではありますが、
こういった修正というものは
常に存在するもので、
事前に完璧なものなど完成しようはずがなく
それに対応するのも仕事だし、
土壇場で変更になった台詞や芝居にも
対応していかなければなりません。
特に、俳優部には迷惑な話でしょうが。


とはいえ、
どうにかするのも仕事です。
その辺りの舵取りは
本来プロデューサーの役割ですが、
そんな役割分担の話しをしている暇はありません。

ので、確実な着地点を見つけて
そこに行き着くように舵を取りをするつもりです。




僕の師匠は
どんな修正や要望も
つっぱねない人でした。
全てを飲み込んで
最良の形で吐き出すという人でした。

真似は出来ません。
恐ろしいまでに経験と
どんな要望でも飲み込める懐が無ければ。



「長谷くん、駄目な要求を駄目と言うのは簡単なことだよ。」


度重なる修正で、何十稿も台本が変更されて
いい加減に疲弊した僕は、
師匠に”何でも引き受け過ぎじゃないですか?”と
進言して、返ってきた返答です。

もちろん、その時に
ハッとしたとか、驚愕したとか、

ありません。

全然、理解できませんでしたから。
駄目なものを駄目と言って何が悪い?と
僕は常々考えていたからです。

でも、
駄目なものを駄目と言う勇気も必要ですが
駄目なものを引き受けても尚、
最高なものに昇華できる技量と度胸、根性。
要求しつくすクライアントと
引き受けしつくした師匠。

結局、良いものが出来たし
最高の顧客満足も得られたのでした。



はい、真似なんてできません。
無理です、僕には。

修正依頼がきました。という
メールの件名を見ただけで
嫌悪と同時に、憎悪が湧き上がります。
少しでも納得できない修正だと
勢いよく反論して噛み付きます。
ありとあらゆる理由を捻りだして
修正をつぶしにかかります。

僕はそんな人間です。


いや、嘘です。

少しだけ、本当です。




大抵の場合、
怒りにワナワナ震えたのが
収まってから、もう一度読み返します。

先方を理解すると念じて読み直します。
修正を全て受け入れると
催眠をかけて読み直します。

それでも、理解不能だったり
どうしても譲れない部分である場合は
直接話し会う時間を作っていただいて
徹底的に話し合うようにしています。
その過程さえ、踏んでしまえば
わりとすんなり修正を受けることができるんです。

ただ、初見の時や
メールの件名を見た瞬間は
見られたくありません。

きっと、とっても歪んでいるから。

いや、そもそも歪んでいる顔と性格なので、
逆に真っ直ぐな感情に統一されるからマトモかも。









さて、とはいえ、撮影まで本当に数日しかない。

でも、やるしか無いのだ。
選択の余地は無い。全く無い。ある訳無い。

× × × × ×

あ、そうそう、話しを戻す。
アイスコーヒーの件だが。
今日、打ち合わせで、
アシスタントの兄ちゃんが
近所のドトールでコーヒーを
買いに行ってくれたんだけど、

コーヒーを買ってきてと言われて
この少し肌寒くなってきた、この時期に、
4個のアイスコーヒーって

どーかしてねーか?

買う前に聞いたなら分かるよ。
つーか指定したなら文句は言わないよ。
でもね、コーヒーをドトールに買いに行って
四つ全てをアイスで注文って…



その兄ちゃんとは
初めて仕事をするんだけども
おおよそ、こういったことで、
彼の今後のスタイルというか
性格というか、
どこで失敗するみたいなことが予想できる。
若いってこともあるのだろうけど、
全ての基準(普通)が自分にあるのだ。
自分の基準は必要だし、
無いとこの仕事に向いてないって話しだけど
自分の基準と、相手の基準を
知るとか、想像することをやらないと



俺は、暑い

え?コーヒーですか?四つ?

隣にドトールがあるんですね?

領収書。はい、わかりました。

何を飲もうかなぁ~

あ、冷たいアイスコーヒーが旨そうだ!

すいません、アイスコーヒーを四つ!

あと、領収書も。

そんな回路じゃないか。
ここには、全員に何を飲みたいか聞くのを忘れたとか
今日は肌寒いからホットの方が良いかなとか
そういった気遣い、思いやりが欠落している。

もし、俺がコーヒーが飲めない人間だったら?
気分的にはフレッシュオレンジジュース
だったかもしれないじゃない?




いや、勘違いするなよ
俺に気を使えって言ってるんじゃなくて

は?
俺のわがままを聞けなんて言ってないし、
ただ、弁当は脂っこいものは嫌だと言っただけ。

おいおい、
コーヒーくらいで何をそんなに怒っているって?





























そ う い う
         こ ! と ! が !

キ ! ホ ! ン ! 
          だ か ら だ よ !!



うん、怒ってないから。うん。

じゃ!