新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

情けない、かたじけない。

7月16日

皆さんハッピーですか?

はせげんいちろうです。

昨日ね、日記を書いてすぐなんだけど…

いつもの喫茶店で

僕はTVCMの演出コンテを描いていた。

なかなか上手に書けなくて

しばらく頭の中で絵になるようにイメージしていた。

でも、それはすぐに

突き上げるような痛み、

うねるような腹からの叫びに

掻き乱されることになる。

その痛みが数分続き

また、イメージの時間が貰える。

ふと、トイレに行った。

動揺した。

オシッコが赤い!

真っ赤ではないものの

無色、黄色、赤色と区別するのなら

確実に赤色だ。

真っ先に思い浮かんだのが

僕が抱えている仕事のこと。

一件、スケジュールが延びたこともあり

最悪、数日なら入院ってことでも対応できる。

さっさと書きかけの

コンテをしまい病院に向かった。

まあ、考えてもみれば

二日も続けて腹が痛いなんて不自然だ。

「あ、風邪でもひいちゃった?」

息子や娘も担当してもらっている医師は

のんきに僕の顏を見るなりそう言った。

”いや、風邪なら病院行きません”

とは言わなかったが

昨日から続く腹痛と先程の血尿の話しをした。

瞬く間に医師の表情が変わる。

「え?血?…真っ赤でした?」

「いえ、真っ赤ではないんですが

赤めというか、もしかして赤じゃ?的というか…」

「…よくわかんないなぁ、まだオシッコ出る?」

「いやぁ、さっきオシッコして慌てて来たので…」

「じゃあ、がんばって見て」

「が?がんばる?」

で、腹部のレントゲンも撮って

トイレへ行く。

看護婦さんに紙コップを渡されて

「出ますかね?」

「いや、それが…」

「あの、ちょっとだけでも良いので…」

なんだか

”利子だけでも入れて下さいよ”的だった。

レントゲンに陰は無かった。

”頑張って”出したオシッコにも血は含まれて無かった。

胃潰瘍かもしれないね」

「い、胃潰瘍?」

「何か最近、生活に変化か、ストレスは無かった?」

「両方ですかね」

「…」

そしてまた、深夜にコンテを書く。

駄目なのは分かってる。

コーヒーも駄目なのは分かってるんだ。

でも、これが原因なら

早く終わらせれば良い。

今日もいつもの喫茶店に行く

いつものコーヒーを注目する。

コーヒーを流し込む度に

胃が悲鳴をあげている。

もうちょい頑張れや、

頑張ればなんでもできる。

出ないオシッコも出る。

出来ない絵も 描ける。

そう信じて歯を食いしばる。

じゃ!