新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

チョコレート・ダビッドソン

2月14日
日課となりつつある
ハーレーでの公園行き。
おっかなびっくりだった
自転車の運転も
一度通った道だからなのか
かなり足取りが軽い。
『止まれ』の赤い逆三角形の看板を見つける度
停止線ギリギリのところで止まる。
右を見て、左を見てをするが、
その位置からでは左右の道路状況は見えない。
そろそろと前へ自転車を出し
車が来ないか
自転車が来ないか
歩行者が来ないかを確認する。

止まった自動車をみつけ

「あれは、止まってる車だよね」

と、前で出る。
そんな判断も段々とマシになってきた。
かといって一人で出すわけにはいかないが、
何も口を出さずとも
息子は一人で確認作業を
淡々と粛々と進める。

こうやって、
次々と社会生活を学び
親の手を借りずに生きていくことになるのだろう。
公園にあるちょっとした山を
おいっしょ、おいっしょと
立ち漕ぎで登ろうとしては
ズルズルと下りていく息子を見て思った。

「その坂を一人で登れるようになったら
    自転車で幼稚園まで行こうか?」

「よーし、がんばるぞ!」

何度も何度もトライする息子。
が、脚力が足りない。
まだ、登ることは出来ない。

しかし、そのうちそのうちと思っていると
あれよという間に登っていくのだろう。
成長とはそういうものだ。


帰宅すると奥さんが
チョコレートケーキを焼いてくれていた。
いや、正確にはチョコレート風味のケーキだ。
チョコレートには牛乳が入っているので
子どもには食べさせられない。



そうか、今日はバレンタインだったか…



どうりで、さっきの公園の児童館に
子どもたち(男の子)が沢山いたのか。
何をするアテも無いのに、
普段、児童館になんかたむろしないのに、
無駄に外で公園で児童館で
ウロウロしている。

口には出さない
なんらかの期待を胸に。

そこで、児童館に脇とかに
女の子たちがいたりしたら
なんだか青春の香りでもするのだが
全くその気配なし。
ただ、虚しく男の子たちは
在りもしない事実を信じて待っている。
サッカーを始めても
どこか気もそぞろ。
だって、思いはここには無いのだから。
蹴られたボールは虚しく転がっていく。


まあ、そんなことが
高校まで、大学(行けばだが)ぐらいまで続くのだ。
野郎共は常にバレンタインに
在りもしない何かを期待している。
TVや漫画で見た、あの光景が自分にも訪れると
勝手に考えている、妄想している。
結果は、母親か姉妹から貰うのがオチ。
しかし、そんな現実を
信じない、信じたくないのが野郎共ってもんだ。

2月に入ると
いつも同じ時間に電車に乗り、同じ通学路を通る。
存在しない誰かに、居るはずの無い誰かに、
自分は、ここを毎日同じ時間に通りますよと
アピールしている。
帰宅する頃には蒼白になり
自宅のドアの前では大きくため息をつく。

それがバレンタインってもんだ。



って、俺かそれ。



まあ少なからず
自分の息子は
俺と同じ顔をしているのだから
同じような状況になる可能性は高い。
もの凄く高い。

恨むなら俺を恨め息子よ。

いや、むしろこれは伝統と呼ぶべきことなのだ。
脈々と受け継がれる伝統。
勝利の無い戦いの虚しさを
知るべき日なのだ。

この日に費やした努力は
いつの日にか報われる。
ちょっとした笑話として…
日記のネタとして…






映画企画のシノプシスを書き上げた。
枚数を減らしつつ、内容を少し足した。
A410枚を目標にしていたが
15枚になってしまった…
しかし、前回から比べると8枚の
枚数ダウンに成功した。

内容までダウンしていないことを願うが。

さて、ここでこの映画企画に関しては
『待ち』になる。
次の企画を書いていこうと思う。
また、VPの台本も来週にはスタートする予定なので
大まかな柱をまとめておくことにする。
次回、打ち合わせでは
最後の取材もあることだし…



じゃ!