新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

君のパパで、本当に良かった。

10月7日
息子の幼稚園の運動会の日。
前日の天気予報通り快晴の見通しだ。
そして、16年ぶりとなる
応援団をする日でもある。

奥さんは5時起きでお弁当を、
僕はやることは無いが6時に目が覚めた。
応援団は子供たちよりも
約1時間早く幼稚園に集合とのこと。
息子を起こし、朝食を食べさせてから
幼稚園に向かう。

幼稚園のホールでは
僕と同じようなパパたちが集まり
応援団の振り付けの練習をしていた。
30分かそこいらで覚えられる振りだから
いたって簡単なものだ。
しかし、ちゃんとやらないと
恥ずかしいのは自分だけじゃない。
朝から大声は出せなかったが、
振り付けは覚えた。
後は、種目ごとに与えられた
仕事をこなす。

与えられた仕事というのは
種目で必要なマットや網を出したり仕舞ったり、
リレーのカーブの淵に足を出したり、
園庭のラインを消したりすることだ。
事前に幼稚園から渡された
種目ごとの詳細には
誰が何をしなければならないかが
名前入りで記載されている。

まあ、香盤表みたいなものだ。

そいつを片手に幼稚園を
うろうろして仕事をする。
もう一つ大事なこととしては
最近の事情というか世相というか…
不審者への用心である。
恐らく、小学校や中学校などに比べ
コミュニティー要素の強い幼稚園では
知らない人を見つけるのは
比較的容易である。
特に奥さん方は、
親を見れば子供の名前が出るほど。
それだけ、子供が親に
似ているということでもあるが。

朝一で応援がある。
息子の好奇の目に晒されながら
ちょっとたどたどしい応援を見せるのは
仕事でエキストラうん百人を前に
バカなことを言うのとでは訳が違うくらいに
恥ずかしいことこの上なかった。

もう、二度とやりたくない…

さて、うちの息子はまだ年少さんだから
午前中でほとんどの種目は終わる。
お遊戯二つと競争系が二つ。

最初の出番はかけっこだった。

スタート位置に並ぶ息子に緊張はまるでない。
1位だからどうだとかビリだからどーだとか
まだまだ考えにない様子。
スタートの笛が鳴り、息子が走る。
顔は真剣そのものだ。
スタートの位置がフライングだったので
はじめは1位で走っていたが
徐々に後退。
いや、後続の子たちに抜かれていった。
結果は3位だったが、
判定していたお母さんたちの手により
2位の旗の元へ連れて行かれる。
順位にあまり興味が無いのか
走って楽しかったねー的なノリ。

しかし、あんなに一生懸命
走る姿を見たのは初めてだ。
普段、見られない息子の姿だった。
その後、お遊戯があったのだが
ほぼ初めから最後まで
終始一貫して鼻くそ
ほじっている息子。

とても奥の方に鼻くそがあるようで
激しく踊る園児たちの中
ほげーっとした息子が仁王立ち。
時折、激しく踊ったかと思えば、ほげー。


た、頼むから、鼻から手を…
いや、頼むから鼻に突っ込んだ指を
舐めないでくれ…
ああ、隣こ子とそんな手で
手を繋いだりして…
ああ、ああ、ああ、ああ…

今すぐ、飛んで行って
鼻に突っ込んだ指を
振り払ってやりたい!!!

「ゴラァ、○○!
 次にその手を鼻に突っ込んだりしたら、
 その指、ハサミでぶった切ってやるからな!」

息子に向けたカメラを見ながら
内心、そう叫んだ。
来年、年中さんにもなれば
他の子と同じように
踊りもお並びもきちんとできるようになるのかしら?
一抹の不安を抱えはしたが、
はやり、自分の子供が
     一番かわいい。

鼻に指を突っ込んでいない間
周りと違った踊りのように見えたが、
楽しげな表情を見ていると
こっちまで楽しくなってくる。

そんな運動会ではあったが、
未就園時の競争には
下の1歳半になる娘も出場させた。
ちゃんと、走る?歩くかどうか疑問ではあったが
ゴールにちらつくお菓子の袋目掛けて
ふらふらとヨチヨチと走っていった。

多分、運動は娘の方が上手かな。

昼食は、息子のクラスの部屋で食べた。
息子が書いた独創的な絵や
日の丸の赤いところが
アンパンマンになっている国旗。
重力なんて無視した
お月見だんごの貼り絵。
楽しそうに説明してくれる息子。
幼稚園が本当に楽しいらしい。

しかし、昼食を食べて午後からは
さすがに疲れMAX、眠さMAXだったようで
お並びもふらふらしていたが
奥さんの実家からお父さんと
お母さんがやってきていたので、
嬉しくて楽しくて
寝たら損だと思ったのか
根性で運動会を乗り切っていた。

パパもかなり疲労困憊だったが
綱引きが予想以上の盛り上がりを見せ
かなり運動会を楽しんだ。

結果楽しんでばかりで
大して仕事をしてない気がするがね。



そして、親も子供も極度に疲労して帰宅。
夕飯を食べるなり息子は
見事に過労死状態に。
僕も、慣れないこととかで
かなり疲れたが…

応援団の反省会と言う名の飲み会に。

当初から酒を飲まない僕としては
そういった飲み会的な行事にも
参加しないことが多く
今回も他聞にもれずお断りしようと思ったが

「こいうことは、滅多にないよ」

との奥さんの一言もあり参加。
結構、心労した。
二次会の話しも出てはいたが
ここは、しれーっと帰宅する。
すると、奥さんが寝ないで待っていた。

なーんのことはない。
飲み会の様子話しを聞きたかったのだ。
いや、その為に、
飲み会への参加を促したとも言える。

べらべらと奥さんと話し
床につくと、19時には寝てしまった息子が
寝ぼけながらも起きてきた。

多分、夢うつつだったと思うが
ゴロゴロと僕にもたれかかったりと
甘えた様子の息子。

「今日は、がんばったねー。すごかったねー」

「うん。楽しかったー、運動会」

「そーだねー。楽しかったねー」

「うん。あのね、あのね」

「うん?」

「今日は、運動会、

 応援してくれてありがとう!」





ちょっと大変だった応援団だったけど
この一言で、なんもかんもチャラでした。
応援団やって良かったです。
来年もやってしまうかもしれないくらい
素敵な息子の一言でした。

僕の息子でいれくれてありがとう
『君のパパで、本当に良かった』