新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

羨ましいこと。

5月9日
恐ろしく暇なので
奥さんに怒られつつ
息子の幼稚園にお迎えに行く。

なんだか最近の(昔からか?)幼稚園は
門扉のところにロックがしてあって
暗証番号を入れないと入れない仕組み。
14時のお迎えの時間に少し早く着いてしまい
案の定、門扉は開いていない。

娘を抱っこしているから良いが
これが俺一人で迎えに来ていたら
きっと、多分、かなり疑わしいと
思われるに違いない。
平日の昼間にヒゲ面のおっさん。
初めは面倒だったが
娘を連れて出て正解だった。
つーか、子供を連れている状態だと
人はかなり無条件に安心というか
無難というか疑いの念を抱かない場合が多い。
いや、抱かれたら非常に困るのだが
いらぬ心配をしなくて良いので
大変でも娘連れで良かったと。

で、幼稚園に入り
出入り口のとこで
他のお母さんたちと一緒に息子を待つ。
幼稚園の先生が
迎えの親の顔を見て
子供を呼びつけるのだが…


「あ、あの…」

「え?ああ、○○の父です」

「あ、はい!○○くーん!」

非常に考えてのことだろう。
俺の顔を見て、
こいつは一体誰の親か?
この顔に似ている子供は…と
ほんの数秒の間に
ものすごく考えただろう。
で、結局は

『あんた誰?』

ってことになる。
いやいや、そんなに似ていないかなぁ?
似ていると思うんだけども。
それとも、わかっているけども
間違ったら大事だと思ったのかしら?
いや、いつも母親が来ると
先生が子供のことを話したりするんだけども
今日は、素直に息子が幼稚園を出たことと
(毎回、息子は幼稚園で遊ぶ!と行って
 14時終わりでも14時30分とか15時まで粘る)
もあり、そんな会話はなく…


「おい、今日は何して遊んだんだ?」

「○○くんねー、覚えてないんだよー」

「嘘つけ、お絵かきした?」

「したよー」

「覚えてるんじゃねーか。他には?」

「うん、覚えてないんだよー」

「…、お弁当は?全部食べた?」

「全部食べたよー」

「おー、すごいじゃん。りんごも食べた?」

「あー、りんごは残しちゃった」

「なんだ、全部食べたんじゃないじゃんか」

「そーだよー、少し残したよ、○○くん」

「そーかー、ま、しょうがないな」

「うん、しょうがないね」

「自分で言うな」

「そだね!あ!アリんこ!」


息子は今、暖かくなって出てきた
アリんこを発見するのがブームらしい。
俺に似て、大の虫嫌いなんだが
歩いていてアリを見つけるたびに

「あ!アリんこ!」

と触るでもなく、近づくでもなく、眺めている。
今日も幼稚園を出る際
壁を伝うアリを見つけて大興奮。
それも、アリが餌となるだろう芋虫を
えっちらおっちらと持ち上げていたから
その姿にいたく感動したらしくて
そこから一歩も動かない。



「すごいねー、芋虫運んでるよぉー」

「そうだねー。お家に持って帰るんだね」

「うーん。お家はどこかなぁー」

「この穴じゃない?」

「このハナ(穴)かなぁー」


アリんこは自分の数倍ある芋虫を
垂直の壁伝いに運ぼうとしていて
巣穴に戻るまでを観察していたら
これは恐らく、夕方ないし夜までかかると判断。


「行こうよ。アリさん一生懸命がんばってるから」

「うん」

よく分からないが、一生懸命がんばっているから
ウチに帰るという言葉でなんとかなった。
覚えてないくせに
帰宅途中は幼稚園での話しばかりだ。




「○○くんがねー」

「お絵かきでねーおおっきな丸を描いた!」









幼稚園はとても楽しそうである。
自分は全くといっていいほどに
記憶が消し飛んでいるのだが、
こんなにも楽しいものだったのだろうか?

少し羨ましくないか?





じゃ!