新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

導火線に火を着けろ!

12月6日
深夜12時。
予定より早めに自宅を出る。
駅の改札は片方が閉まっていて逆サイドに回る。
階段を昇り、降り始めた時だった。

鈍い痛みが左膝を走った。

鈍痛…

嫌な感じだ。
この痛みに似た痛みを俺は知っている。

10年前…

俺は22歳で若くて血気盛んで
まだ学生でヒゲは生えていなかった。
そして、それはバイト中での出来事だった。

基本的に立ちっぱなしの仕事で
大声出してお客さんを誘導するような仕事だ。
それも突然のように襲い掛かってきたのだ。
仕事が休憩時間に入り事務所に戻ろうと
ほんの数段階段を昇っただけで…

鈍痛…

そして、激痛。
俺の膝は痛みで全く曲がらなかった
そればかりか膝は曲がることを拒否するかのように
元々曲がるようになっていなかったかのように
ビクともしない。
膝に直接注射するまで…

その痛みに似ていた。

12時30分
現場着。
担当ディレクターと打ち合わせ
今日の作戦を練る。
勝負は8時までに付けなければならない。
鈍い痛みを抱えたまま俺はエキストラに向かった…

場所が狭いだけに動きにも制限が出る。
何事にも制限は付き物だ
制限の中での最大限を捜す。
何をするにも制限がかかる。
時間もかかる…

8時30分。
リミットを30分過ぎて撮影終了。
すぐに次の現場へ移動する。
次のリミットは…
後残りは2カットある。
間に合うか?

膝の痛みは鈍く続いている…

終了予定時刻より10分前。
無事に全カット終了した。
大きな問題も無く、
ただ、かなり眠く、
室内は暑く、
外は寒い、
割としんどい撮影だった。

今月残る撮影は1本。
俺の膝は持ちこたえてくれるだろうか…

導火線に火は着いた!

じゃ!