新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

磯足袋という名の戦慄

9月27日
深夜1時。
遅い夕食を終えホテルに帰る。
撮影初日からすでに身体の疲れは
ピークを迎える寸前にきている。

九州といえど朝は寒い。
朝をなめていた俺は
Tシャツ一枚で現場に飛び出した。
とてつもない寒さが身体を遅い
一歩間違えば凍死する勢いの寒さ。
スタッフのほとんどが
パーカーやらジャンパーやらを着込むなか
俺はTシャツ短パン。
明らかに馬鹿丸出しだ。

が、しかし、もう来てしまったものは仕方が無い。
今日一日をこれで乗り切るしか
方法は残されていないのだ。
自分の愚かさを呪いながら現場を走る。
たった二人しかいないから
必然的に俺も走らざるを得ない。
最近全く現場で走っていなかった俺が
必要以上に走る走る走る。
おかげで汗ダクダクで
Tシャツ短パンでよかったなと。
まあ、良かったことと言えばそれだけなんだが・・・

現場はかなりぬかるんだ場所で
俺は現地コーディネーターから
磯足袋という底にフェルトが貼り付けられた
足袋のようなものを履いていた。
これは濡れてもOKでしかも滑らないという
かなり優れものなんだが
難点は水がじゃばじゃば入ってくるのと
底がフェルトだけに岩などの
ごつごつした所だと足の裏が痛いってことだ。

この磯足袋をチョイスした時点で
俺の戦慄は始まったのだ。

× × × × × 

とっぷりと日が暮れて
ナイター撮影の準備中。
現場はすでにぬかるみから
砂利道に変わっていた。
照明部はとっととスニーカーに変えて
現場を走り回っている。

だが、俺はまだ磯足袋を・・・

ぬかるみで最大の効力を発揮するはずの
磯足袋はこの砂利道では
真逆の効力を発揮してくれる。
そう、俺の足の裏に
強烈なダメージを与えてくれるのだ。
現場が砂利道だけに
常に、立っていても、少し動いただけでも
地面の砂利は確実に
俺の足の裏を刺す。

痛いと言ってもなんの意味も無い。

足つぼ健康法なんかとは
意味が違う。
これで健康になれるなら
なってみやがれってんだ。

あ、話しが途中だが
明日も、いや、すでに今日も朝が早いので
これでもう寝ることにします。
明日もナイターがあることだしね。

もう磯足袋は履かない・・・