新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

雪の晦日

12月31日

ふと気が付くと外は雪。

先日の降り方とは違い、積もりそうな気配。

降り注ぐ雪を見て息子はおおはしゃぎしている。

後で雪を触らせてやろう。

と、いきなりバチン!と音がして家中が真っ暗に

え?ブレーカー落ちた?

床暖など暖房器具がフル稼動だった為か

なんの前触れもなく電気が止まってしまった…

単純にここが僕の自宅ならことは簡単だったのだが、そうじゃない。

ここは奥さんの実家なのだ。

今、家にいるのは奥さんと息子、そして奥さんの妹だけ。

「ブレーカーここ」

と奥さんに案内され勝手口へ。

ほうほう、ここにブレーカーがあるのか。

しかし、なんでブレーカーってあんなに高いとこにあるんだろうね。

背伸びしないと届かないじゃないか!

まあ、いい。

これでまた家に暖かさが戻るんだから。

ガチン!

ブーンと家中が明るくなって…

ん?ならない。

あ、そうか一度全部ブレーカーを落としてからだな

よし、一旦全部Offだ。

そして、再度On!

ブー、 …ん?

「ああ、外に大元のブレーカーがあるんだよ」

「え?大元?まだあるの?で、外?雪降る外?」

と、豪雪の降る表に出る

うっ!さ、寒い!寒すぎる!

瞬時に雪が体にまとわりつく

家の外にあるという大元ブレーカーを探して

僕は奥さんの実家をぐるぐる廻る。

ど、どこだ?

そんな大元ブレーカーのような大それた設備はどこにも見当たらない…

「ねえ!そのブレーカーってどこ?」

「知らない。外ってだけしか…」

「え?」

僕は再度邸宅を廻った。

足元は隈なく見た。

残るは目線より上…

横殴りの雪を振り払い僕は何度も何度も廻った…

が、無い!

「らしきものがないよ!」

すでに室内は外の極寒の風が入り込み室温がどんどん下がっていっている

このままじゃ、やばい!

息子が凍え死ぬ!

一体全体どこだ

大元ブレーカー!

僕は大元ブレーカー用の変な形の鍵を持ち

白い息を吐きながら、

裸足でスニーカーで捜した。

奥さんのお母さんの情報は、”外のポールのとこ”というアバウトなもの

僕はそのポールの謎が解けずにいたのだ。

邸宅の外周を4周ほどしたころ、新たな情報が飛び込んだ。

”物置の奥”

僕は今まで家の外=家の外壁と思い込んでいた。

が、物置は家から少し離れた所にあった。

「!!」

”あった!あれか!”

僕は物置に走った!

”急げ!急がないと凍えてしまう!”

大元ブレーカーは”物置の奥”で白い”ポール”に設置されていた。

僕は脚立を立て、変な形の鍵を変な形の鍵穴に差し込んだ。

”回れ”

なかなか鍵穴に入らない

寒くて手がかじかんでいるのか、

差し込まれた鍵はなかなか回らない。

”うおー!”

僕はガチャガチャと鍵を左右に回す。

しかし、全く鍵は回らない。

”何故だ!か、鍵が違うのか?”

そこに奥さんのお父さんが仕事を切り上げて飛んで来た。

「長谷くん、コツがあるんだよ」

「え?コツですか!」

「貸してごらん」

「はい」

あんなに回らなかった鍵はお父さんが差し込んだ瞬間に回った。

”ブーン!”

”あ!電気が!電気が!”

邸宅に光りと暖かさが戻った。

これで凍死する心配は無くなった!

ああ、電気って素晴らしい!

× × × × ×

僕は横浜生まれの横浜育ち。

浜っ子ってやつだ。

つまり、こんな豪雪は経験したことがない。

夕方に雪が止む頃には15㎝以上は積もっていただろうか。

僕は今日初めて雪掻きというものをした。

腕が筋肉痛です。

いやぁ大変ですね雪掻きって…

雪国の方はもっと大変なんでしょうね…

つーか大晦日に雪なんて降んな!

さて、日記を携帯で書いていたら既に新年になってしまったようだ…

1月1日

みなさん、明けましておめでとうございます。

今年も新・カチンコ日記をよろしくお願いします。

ハセ ゲンイチロウ