新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

夏の大和魂(2)

8月9日
更新が遅れてすいません。
友人の結婚式に行って来たんです。

青森まで。

えーと、はやて?
それ乗った。
息子も連れってったんだけど
5時間くらいかかるから
あー、やばいなぁって思ってた。
途中で泣くんじゃないだろうかとか
ぎゃーって急に叫ぶんじゃないだろうかとかね。

いや、よくさ、仕事で新幹線に乗ったりさ、
飛行機もそうだけどね、よく乗ったりする訳さ
んで、そういう時に限ってさ
すぐ後ろの座席に子供が乗っていたりしてさ
急にぎゃーん!ってわめいたりするじゃん。

「うるせぇな!車両から連れ出せ!」

って思ったり考えたりしてたわけさ。
だから、自分の子供がそういう風に思われたくないし
そういう状況になっても嫌だった訳さ。

でもね。すこぶる機嫌がいいんだ
車窓から見る、流れコマのような映像を
ふんふん鼻歌歌いながら見てる。

あー、こりゃ安心だ。
つーか、さすが僕の子供だ。
偉いぞ。

ま、そんなわけで、ふんふん鼻歌うたう息子を横に
僕はノートパソコンを取り出した。
結局、仕事を東京で終えることができずに
新幹線の中で作業して、
式が始まるまでの30分の間に
メールしないとならないっていう事態になっていたわけさ。
自分が演出する作品のエフェクトプラン表と
CMの香盤表の作成。

自分の中の優先順位はエフェクトプランだったんだけど
CMの香盤は締め切りが決められていて
どうしても優先せざるを得なかった。
だから、東京を出て、大宮を過ぎた辺りで書きかけの香盤を開いた。

 
ちょっと、とんでもない分量がある。
一日で撮影する分量ではない。
あ、常にこの作品に関してはそういう問題がつきまとっているのだが
楽しいから乗り切れるという不思議な作品でもある。

出発時間は2:30だ。

午後じゃないよ。午前ね。
現場には4:00に着く計算。
日の出前から準備をして、日の出と共に撮影開始という
ハードというか、ソフトというか、
きついっていうか、しんどいっていうか、
もう、すげーなっていう香盤なの。
仮香盤はすでに作成してあったので
あとは、僕がいけなかったメインロケハンの情報を
制作部から貰って本香盤に仕上げていく。

情報を確認すると、なるほど、仮香盤からあまり変わってない。
ふっ、さすが俺。
大体思った通りの香盤になっている。
なら、直しも簡単だし、早い。
 
 
 
と、思っていた。
あれ?っと思ってたら
すでに目的地まで30分のアナウンス。
え?まじで?
まだ、半分しか・・・

「これは、もしや間に合わない?」

いや、それはありえない。
その前の日に電話で、
間に合わないなら、引き受けないよ
絶対に間に合わせるから。
安心したまえ。
なーんて、言い放っていしまっていたのだ。
うーん、やばい。やばすぎる。
今更、ギブアップはカッコ悪すぎる。

結論。ホテルまで急げ!
急いで行って、ホテルで戦争だ。
子供を奥さんにまかせ、ロビーへダッシュ。
何時?何時集合なのロビーは?

え?あと30分?

なんか、嫌な汗が背中を伝わりました。

「ねぇちゃん!電源貸してくれる!急ぎで!」

僕はホテルのエレベーターを降りるなり
フロントに佇む、女性従業員に叫んだ。

「・・・は?」

そのホテルは(事前に東京で調べた)1階ロビーで
無料無線LANが使えるというサービスを行っていたんだ。
でも、今までのお客さんで、”電源を貸せ”と言われたことはなかったらしい。
しばらくキョトンとしてた。

無線LANできるんですよね?」
「あ、ああ、はい、できます」
「仕事したいんで、電源使いたいんですよ、ネットですけど」
「あ、ああ、はい、わかりました。えーと、」

と、壁のコンセントを探しはじめた。

ああ、もう、駄目かも。
すでに残り時間は25分を切った。

「あ、ここで、ここでお願いします」

ロビーとは程遠い小部屋だった。
まあ、いい。

スイッチON!

僕はスピードを出すために
香盤作成に対する考え方を一つ変更した。
A4一枚に収めるっていう考え方を。
あ、なんでA4一枚なのかは後日ね。
いつもは、一度書いてから、
そのA4一枚化に相当の時間をかけていた。
見栄えだって綺麗にしたいしね。

でも、時間が優先だ。

メールが遅れることも
結婚式に遅れることも許されないんだから。
考えたを変えるのは仕方のないことだ。
臨機応変ってやつさ。

僕は少し考えてA42枚コースを選択し再スタートした。

うおおおおお、猛烈に速い。
2枚になったことで、情報量が2倍入るし、2倍スペースがある。
これはいい、今度から2枚でいくか?
僕も2枚目だし。

残り時間5分。

僕のアウトルックは香盤表を電波に変え
飛ばしてくれた。
メールっていうのはすごく便利だけど、
不安要素も多い。
せっかく作ったものでも、
Win→Mac間でサイズに微妙な変化が出たり
文字化けをおこしたり・・・
つまり、僕はもう一つ手を打つことにした。
まず、制作部一人にメールするのではなく、二人にした。
そして、制作部が持っているというサーバーに
こちらかPASを聞いてアクセスし
情報をUPさせた。

これで駄目なら最悪は
ニフティの無料HPサービスで
香盤をUPさせようかとも考えた。

でも、なんかうまくいったみたい。

安心してホテルの部屋に戻ると
すでの廊下から泣き声が聞こえてくる。

ものすごく嫌な予感がした・・・

もう、次の戦争が始まっていたのだ。

つづく。