新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

本家・カチンコ日記 第301回~第307回

先日惜しまれつつ閉鎖してしまった。 演劇ブック主催サイト アータウン内の映像サイト『モータウン』にて連載されていた日記 「長谷巌一郎のカチンコ日記=本家カチンコ日記」を転載しています。 各日記には楽しい写真が載っていましたが サーバー容量の関係上割愛させていただきました。

では、どーぞ!

第301回
滑稽な機械
2003年10月26日

もう4時半だ。
早く寝ないと明日はオールスタッフ打ち合わせがある。

「話を聞かない男と地図が読めない女」という本がある。
興味本位で読み始めたのだが、これがなかなか面白い。
「そうそう」とうなずくことが多く
「へー」と関心すること少なからず。

一番納得がいったのが
「男は一度にひとつのことしかできない」
というところで、まさしくその通りと思う。
大体、仕事をしながら音楽を聴いていても
気が付くと音楽が止まっても全く気がつかないし
途中で切ってしまったりする。

一度に2つも3つもなんて、土台無理な話しなんだ。

そーか、そーか、納得。

だから、一つの仕事分の香盤しか書けてないんだ。
そーだ、そーなんだ。
書けるわけないんだ。

だから、もう寝よう!

え?ダメ?
ダメだよね。。。
わかってるさ。。。

一度引き受けた仕事だ。
やるしかない。

さあ、これからもう一つの撮影の香盤表を書くぞ。

こっちはショートムービーだから
ドラマの香盤表だな。うん。
あー面倒臭い。

先日、勢いでデジタルカメラを買った。
300万画素で連射ができるやつだ。
見た目が薄くて軽くてなんか近未来な感じだったから
つい衝動買いしてしまった。
衝動で買うには高すぎたけどさ。

でもさ、買ったはいいけど使い道がさ、
全然なくてさ私用では。
仕事では衣装の確認用に使うんだけどさ、
仕事以外での使い道が思いつかないわけさ。

日記に添付しても良いんだけどさ
サイズが大きいし気軽じゃない感じでしょ?

さて、どーしたもんか。

え?
どーするも、こーするも香盤書け?

書くよ!
書きますとも!

あー面倒くせぇ~

あ、そうそう、
先日、脚本家の松本さんにお会いしました。
村本さんの日記にも登場したと思いますが、
今度のインドネシアロケの脚本は
松本さんの手によるものなんですよ。
ものすごい奇遇で、
お互い村本さんから話しを聞いていたんだけど
会うのは初めてで
まさか、瀬木さん(映画『千年火』の監督)を通じて会うなんて
予想もしていなかったですよ。

だから、お互い初めてなのに初対面じゃないみたいで。。。
それから、なんどもメールでやり取りさせていただいて
本当にありがとうございます。

いやいや、本当に狭いもんですねぇ。
でも、今度ゆっくりなんてお互い言い合いましたけど、
いつになるんでしょうかねぇ。

え?
いつになったら書くんだ?

メール打ちながら書いてますよ!

え?嘘つけって?

う、なんでばれた?

だって、一度に二つのことはできないんでしょ?

はい、おっしゃるとおりです。
できません。

第302回
切り返しはドンデンで(1)
2003年10月29日

現在5:50。

精算やら香盤やらの仕事をしていたら
こんな時間になってしまった。
仕事が遅いとこんなんなってしまう。
いかん、いかん。

さて、今日、、、、(つーか昨日か)は久しぶりに映画を見に行った。
無い時間を強引にやりくって作った貴重な時間だ。
はずれ映画なんて見たくない。

だから、『KILL BILL』を見に行った。

だから?
そう、僕はこういう映画大好きなの。
もう、最高に好き。

そして、KILL BILL だが。。。。

うん。好き。
大好き。
PG15指定だけど、18禁じゃねーのつーくらい血みどろ。
これがいい。
もうドバー、ドババーっ
ズバング、ズバングっ
ぴゅぴゅぴゅーーって

あ、頭悪そう?

いい。
頭悪くても。

だって好きなんだもん。
あー映画作りてぇ~

第303回
切り返しはドンデンで(2)
2003年10月29日

日記を見てみたらちょうど3回前で300回みたいだ。
おめでとう俺。

飽きずに読んでくれた方々ありがとう。

さて、もうすぐ湯河原ロケである。
インドネシアの前に村本さんの仕事をしないとならない。
まあ、前回の温泉地ロケの続きではあるが
子供が沢山いるので大変さは倍だ。

基本的に現場は村本さんが姿を見せる前に
ある程度仕込んでおくのが基本。
だからよく

「長谷くん、できてる?」

なーんて言いながら村本さんは登場する。

「できてません」

なんて禁句だ。
できていて当たり前を常に続けないとならない。
なので香盤も自分で作りたかったが
他の仕事の影響でそうもいかず。。。
なんとか決められた時間で
子供たち40人を手なずけないとならない。
さーて、どうしたものか。。。

見える。。。。
村本さんが

「どう?できてる?」

と言いながらニヤニヤして現場に来る姿が。
見える。。。。
俺が「ガンガンっす」と言う姿が。

この、ガンガンとかおりゃーって感じっすとか言う言葉を
俺は非常によく使う。
なぜか?
できてる とも できてない とも
なんら関係の無い言葉だからだ。
しかし、なんとなくできてそうな安心感のある言葉だし。
演出部として

「できている」

と一度言ったら最後
完璧にできてないとならないし

「できてない」

なんて演出部には
有り得ないし許されない。

そう、だから言う。

「できてる?」
「がっつり行ってます!」
「おう、そうか」
「じゃ、いける?」
「ちょっと待ってください、確認しますから」
「え?できてないの?」
「いや、確認しないと。なんでもすぐに始められると思ったら
大間違いですよ!」
「ああ、そう。。。」
「ちょっとお待ちを」

こんな会話は日常茶飯事で
この「ちょっと」の間に本当の「おりゃー」が始まるのだ。
そして、8割もっていったところで

「じゃ、やりましょか?」

と、なにげなく、さりげなく、涼しげに言う。
怖いのは村本さんはテストもせず急に

「じゃ、本番ね」

と言うことがある。
こっちは8割しかできてないから
本番は困る。

「えええ!本番っすか?」
「うん。大丈夫でしょ?」
「…もちろんです。いきましょう!本番!!」

こんな時、エキストラさんたちはぎょっとした顔をすることがある。
俺は、細かいことはテストしてから言うからとか
とりあえずやってみてよとか
言っているからだ。
だから、皆一斉に俺を見る。
でも、不安な顔なんてしない。
当たり前のような顔をするよ。

もう、だから、そういう時はフレームの枠外で
あっち行け、こっち行けとか指示を出しまくり。
大人ならそれを理解して動いてくれる。

大人万歳!

あーでも子供なんだよな。

皆さん、子供好き?

 * * *

インドネシアロケの香盤を組んだ。
そんなこんなでもう3時な訳なのだ。

思ったよりハードスケジュールでびびっています。

インドネシアは雨季に入るとはいえかなり暑いはず。
8月の九州なんか比べ物にならないだろうな。

あ、そうそう、なんども言うようだけど
放送は2月の28日ですよ。
フジテレビ系列です。
見逃さないように。

え?時間?

えーーと

えーと

えと

えと

確か夕方だよ。
確かね。

※昼過ぎでした。

第304回
切り返しはドンデンで(3)
2003年10月30日

今日は衣裳合わせ。

11月のインドネシアロケの仕事だ。
最近買ったデジカメをこれでもかと使う。
やはり道具は仕事に使えないとな。

しかし、どうして機械をいじっていると楽しいのだろう?
工業科の血が疼くからか?

まあいい

んで今日は久しぶりにサントラを買ったのだ
先日見たのサントラだ

もう、今もあの口笛が頭から離れない!

誰がなんと言おうと俺はこの映画が好きだ!

明日もがんばろう

第305回
切り返しはドンデンで(4)
2003年10月31日

映画『千年火』完成試写。

なんというべきか…

ちょっと感動してしまった。
内容もアングルも知っているというのに…
不覚…

ん?不覚?

いや、万歳だ!

編集して音楽が入り様々なものをミックスした結果なのだが
予想とはまるで違う作品になっていた。

う~ん、恐るべし映画。
これが映画か。

映画は仕上で化ける。

じゃ 湯河原行ってきます!

第306回
切り返しはドンデンで(5)
2003年11月02日

昨日の湯河原ロケを終え、
今日からショートフィルムの現場に合流する。

インは昨日だからスタッフとしてはエンジン全開なはず。
俺は昨日の疲れを残したままのローテンションスタートだ。

しかも、夕方のラストシークエンスからの参加。
いきなりMAXPOWERである。
現場が近づくにつれ行きたくない度もMAXである。

一応、映画経験者で呼ばれているので、
スタッフからはなんとなく存在するだけで
劇的なスピードが出ると思われている節がある。

んな訳はない。

むしろ遅くなるかもだ。

まあ、知らないけどさ。

あー
もうすぐ現場だ。
どうなることやら…

あー
突然眠くなるし…

あー肩も痛いなぁ…

え?弱音?
そんな!滅相もございません!

MAX POWER ON!!

 * * *

う~ん、楽しい!
午後からの参加だったからすごく楽に仕事ができた。
明日も午後からだし…

劇的なスピードは出せなかったけど
香盤通りには終えることができた。
まずまずか。

あ~やばい<
現場って楽し過ぎる
なんか生きている実感?が湧いてくる

明日も頑張るぞ!

第307回
切り返しはドンデンで(6)
2003年11月05日

今日は休みにする予定だった。。。

でも、撮影に行っちゃいました。
ショートムービーの。

現場はたいそう楽しくて
ワクワクドキドキで離れたくない感じ。
一度だけCMでご一緒しただけの監督であったが
信用してくれていろいろ任せてもらった。
もう、楽しくてしょうがない。

途中参加で途中退場するのが
本当に申し訳ない。

現場は今日が最終日。
みんながんばってくれ!
きっと面白いものができるはずだ!
いや、もうできている!

んで、まあ、途中で抜けてインドネシアロケの打ち合わせをして、
まったくできてない明日からの準備を家でする。
”する”といってもこれからする。

明日からインドネシアロケに出発。
帰国は11月24日。

現場は技術部と監督、俳優部以外では僕一人。
衣装も小道具もスケジュールもさばかないとならない。
言葉の通じない異国の地で

どこまでやれるか
どこまでやるか。。。。

約一ヶ月日本にいませんが
どうかよろしく。

次回予告!
インドネシアロケ日記(1)
「赤道直下の空の下(仮)」