新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

そして、静かに幕が上がる。

6月11日(その1)
朝一番。
今日の打ち合わせの準備をしていると
裏で昨日までの仲間達が
スタジオ撮影の準備に追われている姿、
フラッシュバック。

ありありとその撮影が
とてつもなく大変なことを知っていた。
アメスピの紫煙が
そんな現実を非現実の中に、
煙の中に埋めていく。

名刺入れをチェックすると
昨日までの仲間の名刺。
1センチくらいの厚さになっている。
押し込められた名刺を
ぐりぐり出して自分の名刺を
少し多めに差し込んだ。
既に概略は聞いているが
もしかするとひっくり返すかもしれないと
自分では考えている。
そもそも、決まったことをなぞるのは嫌いだ。
結果同じでも決めたい、
己が納得して決めてからにしたい。

もうスイッチは切り替わっている。
悪ぃな、スタジオには入らない、戻れない。
助監督の俺は昨日まで。
ちょっと行ったり来たりはできねー性分でね。

まあ、がんばれ。

強く祈っておくさ。
それだけしか出来ん。

幕が下り、幕は上がった!

じゃ!

追記。
もしかしたら
スタジオに来るかもと
制作部から電話がきた。

「はせさん、今日の撮影は明日に延期になりました」

「あ、ごめん。そもそも行く気ゼロだった」

「ひどっ!」

「でも、明日かぁ、明日なら行くかもしれないし、
行かないかもしれないような気がしないでもない。」

「よくわからないっすけど、
わかりました!」

まあ、長く続いた撮影の最後だし
顔を出してもいかなぁ…
なんて、前日だから思うのか
明日になれば多分気も変わるだろう。

変わらなきゃ…

じゃ!