新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

大変、ほんと大変。

12月14日
打ち合わせ。
大勢のエキストラ写真を見る。
約100名ほどいるらしい。
ここから、予算の都合で60人に
絞っていく。

どんな基準で絞っていくか?

作品の内容が一番の基準である。
今回はCMの仕事で
一番多いであろうことが基準だ。
それは清潔感やスマートさだ。
スマートさというのは体型のことではない。
とはいえ、その基準から選ぶのは
次のことである。
まず、一番最初に見るのは
スケジュールである。

当然、撮影日にスケジュールが空いていることが
前提で送られてきた資料ではあるが、
空いている状態も色々である。
第二キープが入っているとか
夕方の○時までと指定があるとかだ。
残念ではあるが、
まず、一番最初にそこを見る。
もちろん、どうしても気になる方もいるので
そんな方々は別場所によけておく。
そうやって、まずは機械的に絞っていく。

この機械的な作業で
目標の人数になることはまずない。
多すぎるか少なすぎることになる。

そうして、次に基準になるのが
写真である。
宣材の写真は、
恐らく、一番自信のある写真であろうし
判断する材料もこの写真しかない。
また、今までの仕事経験も同時に参考にする。
どれくらい現場に出ているか?
出たとしても、どれくらいの大きさの役柄か?
例えば、写真を見て、眼鏡や衣装で
こちらの意図する方向に出来ると思えば
躊躇わずに採用する。
また、どうあがいても内容にそぐわなければ
機械的に外す。


今回は始めの機械的作業において
人数を少し下回った。
このため、一度スケジュールで外した方々から
気になっていた方々を戻していく。
また、同時に、スケジュールは合うが、
内容にそぐわない方々を外していく。
そうやって増減を繰り返しながら
予算に合う人数と
内容に合うエキストラを選出していく。
簡単に選んでいるようで、
実は結構時間をかけて選んでいます。

監督自身が自ら写真を見て
選ぶ場合もあるが、
ほとんどの場合は、
制作部や演出部が選んでいる。
そして、決まってから
監督のチェックを受けるのが
毎度の流れだ。


そうやって、今回もしっかり時間をかけて
エキストラを選出した。
現場では頑張ってもらいたい。
僕は言うだけ、指示を出すだけだから…







今日の仕事は、エキストラの選出だけではない。
この大勢のエキストラの演出方法やその配置図など
いつもは現場で臨機応変にやっていることを
事前に固めなければならないのだ。
目の前に無い状況を想像しながら
机上の空論にならないよう
小さな溝をみつけて埋めるような作業をしていく。
また、これが全く間違っている場合も
同時に想像しておかなければならない。
得てして、ガチガチに固めていった場合ほど
当日に大どんでん返しに合うものだ。

つーことで、作業量は倍から倍以上になる。
それも、人間相手の仕事でなく
PC画面を永遠に見ながらの作業…
全然面白くない。

PC上でいくら最高の配置を作っても
だいたい、現場でエキストラの顔を見て
全く想像もしてなかった方法を考え付く場合もあるし
配置できると思っていた場所に
実際にはどでかいライトが入っていたり、
アングル内と思われた場所が
実はフレームの外であったり。
現場のそういったところが
面白いのだし、それが現場なんだが…
今回はそれをも想像して反映しなければならない。

つーか、そんなの分からない。
計算なんて出来ません。

でも、やらないとなりません。


がんばります。





と、自宅に帰ると
自宅は冷たく冷え切っていた。
今日から日曜まで
奥さんと子どもたちが
奥さんの実家に遊びに行ったのだ。

惣菜屋でコロッケを買って
昨日、作り置きしておいた
ご飯をチンする。

毎日、賑やか過ぎるほどに賑やかな食卓だが
今日は僕一人。
野菜を食べない息子もいないし、
エプロンしててもごっそりと
食べこぼす娘もいない。
「風呂に入るぞー!」と言って
「はーい」と付いて来る子どもたちはいない。
片付けた玩具は
片付けたまま出されることはない。




そんな些細なことでも
自宅は冷たくなる。



床暖は暖かい。
でも、どこかが暗く冷たい。
子どもはいるだけで、
様々なことを明るくしてくれている。
特に子どもと離れた初日が一番寂しい。
明日にはせいせいするのかもしれないが…




さて、誰にも邪魔されずに仕事ができる。


といいな。


じゃ!