新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

撮影準備

5月23日
明日からいよいよ映画の撮影準備に入るんだけど、
すでに台本も貰ってるし、
今日のうちにできることはやっておこうと思う。

さて、まず何から始めるかというと。
『香盤表』作り。

香盤の語源『香盤の謎』を読んでください。

さて、この、香盤なんだが
撮影スケジュール用の香盤
衣装やメイク用の香盤
小道具や美術用の香盤など様々な種類がある。

そして、それらの全ての元になるのが
『通し香盤』といわれるもの。
一体なんの『通し』かというと
シーン1からラストシーンまでが
順番に書かれた単純なものなんだ。

さて、香盤には色々な情報が詰め込まれている。
シーン○○はどの場所でどんな内容で
出演者は誰で主な小道具は○○でとか
内容として日替わりはどのシーンからだとかね。

僕はこれから『通し香盤』『スケジュール香盤』
2種類を主に作っていく。
衣装・メイク香盤はセカンドが作り、
美術・小道具香盤はサードが作る。

まあ、つまり、脚本に書かれている(もしくは書かれていない)情報
我々演出部の手によって一度『分解』するんだね。
そうやって『分解』された情報
関係各部署に渡して準備が整っていく。
それはもう、一斉に始まるからさ
目まぐるしいったらありゃしない。

しかし、まだ、僕もスケジュールを建てるには
情報不足だから『通し香盤』のみを作成しようと思う。
今は、パソコンがあるから本当に楽になった。
だいたい3時間もあれば『通し香盤ver.1』はできちゃうからね。

昔はそれはもう大変だった。。。

僕はデビューしたその年には
チーフをやらされて(助監督が一人しかいなかったから)
ほとんど無経験のまま香盤を書いてたんだ。
でも、当時はまだパソコンなんか普及してなくて
ワープロ全盛時代だった。
次々に新しいワープロが発売されてね。
『一度に3行印刷が可能!』とか
『画面が横長から縦長に!』とか
大変ないきおきで発売されてた。

僕はまだ、その当時はデビューしたてってこともあって
ワープロなんか持ってなかった。
だから、香盤は全て手書き
映画じゃなくてVPっていう企業用のビデオだったんだけど
ものすごく大変だった。
『通し香盤』を書くだけで一日作業
また、それから『スケジュール香盤』にするために
『通し香盤』をコピーして、
シーンごとに短冊に切って
○月○日って書いた紙に貼り付けて、
今度はそれを見ながら、新たに手書きして。。。

手の小指から手首にかけて紙面に当たるところが
真っ黒になるまでガリガリ・ガリガリ書いた

ほんと今は、それを思うと楽。
パソコンが導入されて、
エクセルを使い始めてからは
劇的に作業が変わった。

『通し香盤』を書けちぇば
場所ごとに仕分けるのもフィルターで一発だし
コピペで切り張りもあっという間劇場。

あーありがし、ありがたし。

でも、その分作業時間が減ったというのも現実なんだけどね。

辛い現実をバネに楽しい非現実を作るぞ!

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