新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

フルドラマVP 撮影最終日

4月26日
今日もとある場所の
クライアントさんの会社にて撮影。

主人公役の役者の方が
今日で終わるのは寂しいと言ってくれたのが
嘘八百だったとしてもとても嬉しい。
そういったことを言って貰える雰囲気を作れたということだし
役者に対してたいした負担も与えなかったということでもあろう。

が、今日で終わりだ。
明日からは編集に入らねばならない。
明日からは一人で戦わないとならない。
40分テープで7本。
全部がフルで回っている訳ではないので
280分以下、250分くらいか…
4時間ちょいだね。

それを20数分に…

うわっ!考えただけで頭痛っ!

朝8時30分。
スタッフが機材を搬入している間、
スタバで勉強していた。
最終日の今日の香盤は…
昨日I嵐に書き直させた香盤。
たまに抜け落ちがある香盤。
まあ、いい。
一番手は実景からだ。
台本の設定は雨。
空は曇り。
I嵐がでかいジョウロを持って走っきた。

笑ってる。

出来ることなら俺も笑いたい。

どう見てもシャワーだった。

「穴の数が多いんだよ!」

「カーブがばれてる!」

「揺れが欲しいんだ!」

とか散々文句をつけながら
なんとか雨実景を撮影。

さて、これからが長い。
撮影内容はオフィスシーンと
会議室シーンがあり
台本上、頭、中、結末と
全てに分布している。
また、雰囲気で流すシーンも無い。
重要ポイントばかりなんだ。
また、社内エキストラでクライアントさんも集まっている。
こないだ台本について
散々話し合った方々である。
視線を感じずにはいられない。

前から役者たちが俺を見ている。
今日初参加の連中は
年上だと一目でわかる。
つまり相手も俺が年下であるのは瞬時にわかる。
若造が50前後の役者相手に何と演出するのか…

後ろからはクライアントさんたちが
芝居をつける俺を見ている。
役者を見ている。

時折視界に入る笑顔には
心底救われるものだ。

そして何よりも孤独。
皆に助けて貰っているはずなのに
一瞬、皆が敵に見える時もある。
はっと後ろを振り返ると
全員が矛先を俺の咽に向け、
鬼の形相をしている。

そう、I嵐までもが反旗を翻し
襲い掛かってくるような錯覚を見た。
しかし、今に始まったことではない。

昼になれば弁当を
わざわざ持ってきてくれるし
ドリンクの種類まで選び放題だ。
話し出せば必ず聞いてくれるし
意見も言ってくれる。
しかし、ふとした瞬間から一人になる。
撮影部は撮影部で飯を食うし
照明部は照明部で飯を食う。
俳優部は俳優部とだし
演出部は制作部とで
制作部は演出部と一緒だ。
アシスタントプロデューサーは
クライアントと一緒にだ。

そう、妙に寂しいのは気のせいかしら?

でも、それでいいのだろう。

甘えたって意味は無いのだから。

そんな寂しさと視線を感じつつ
降り出した雨を
これ幸いと実景を撮り撮影終了。

4日間の短い撮影は終わった。

明日からオフライン編集に入る。

じゃ!