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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

人気DJ

2月8日

■この日記は撮影終了後に
 香盤表を見ながら
 数ある出来事を
 思い出しながら書いたものです。
 若干の思い違いや誇張
 脚色が含まれています。

 ご了承ください。

映画「Watch with Me ~卒業写真~」撮影日記
『人気DJ』

2月8日
夏篇の分量に比べて
今回の冬篇は明らかに分量が多い。
それも当たり前だ、
元々現代の話しであるし
大人の話しであるのだから。

おおよそ比率にして7:3くらいだろうか。

つまり、夏の戦いは
全体からして3割程度の結果しか
出せない戦いであったのだ。
それも初めからわかっていたこと。
だからこその、ゆったり香盤で
夏篇を撮影することができた。

そして、今回冬篇だ。

残り70%といえども
撮影期間は夏と比べても
9割程度しかない。
そう、夏よりも撮影期間が短いのだ。

びっくり!

いや、そもそも、
夏篇は子供たちが主人公であるため
また、野球や剣道などのスポーツも絡んでいたため
それなりの時間がかかるだろうと踏んでいたのだ。
だから、ある程度の余裕のある香盤を組んだ。

だが、今回は違う。

冬篇の出演者は全員がプロの役者である。
仕事として芝居をするプロフェッショナルである。
だから、時間は必要無いというわけではないが
撮影時間を考えるのに
プロであるかそうでないかは
かなり重要な問題であった。


夏の9割しかないスケジュール。


だが、いける。
そう踏んでのスタートであった。




6:00ホテル集合出発。
俳優部、メイク部、衣裳部、先発5:15。
今日の撮影分量は多い。
そのための早朝出発。
俳優部には申し訳ないが
先発してもらい、ほんの少しの時間も
撮影時間として使いたかった。

簡単に言うとこういう流れだ。

朝、日の出前の集合出発し
現場に着き次第、準備し
計算上、ちょうど日の出である7時過ぎに
辺りが明るくなってshoot。

そのまま、モーニングのシーンをやっつけて
デイシーンを撮影し、
夕方にイブニングを撮影、
日が沈んで夜になったらナイター撮影・・・
たっぷり、がっつりと分量はあるのだ。

いや、そうでもしないと
終わらないほどの分量である。

トータル13.4ページ。

今日の撮影をこなすと
台本で言うところの13ページ半を
撮影したことになる。
過去にも触れたが、
おおよそ、1ページ撮影するのに1時間を
目安にして考えるのが基本だ。

つまり、今日は13時間30分・・・
7時から撮影すると・・・
20時30分撮影終了。
そこに、昼飯と夕飯の時間を入れると
22時30分になる。

片付けなどの時間を加味して
23時終了。

これが今日の香盤の中身である。



病院内撮影。
そして、今日は
ほぼオールスター集合デイ。
演出部、制作部ともに
俳優部の多さと段取りに
目が回る忙しさである。


「○○さん、入りました!」

「○○さん、ホテルを出ました!」

「○○さん、終了、ホテル帰し!」

「○○さん、空港帰し!東京へ!」



もう、バッタバッタしてる。
俺も、撮影はI嵐とT田に半ば任せて
撮影の更に裏に回り
段取りを作っていく。

今日一番の面倒は
ある出演者の出しと入りである。
福岡の人気DJであるその方は
ちょうど、今日そのラジオの収録があり
どうしても、一度、久留米から福岡に
帰らなければならない。
それが、たったワンカットであっても・・・

人気DJ出しが14時。
人気DJ入りが20時。

その6時間の間は
人気DJの出演シーンは撮影できない。

香盤上、なんとか
工面できているのだが
なんとも不安である。
巻いても、我々は待ちになるし
押せば、撮りこぼしてしまう。
俺の計算通りに撮影していかないとならない。

『巻くな、押すな』

非常に難しい注文である。



かといって意図的に撮影の流れを
スピード調節することはできない。
早く進める部分は進め、
かかってしまう部分は
充分に時間をかける。

で、結果、巻き巻きで進行。

このままだと、
撮影が人気DJ待ちになってしまう。
そうなるのは避けたかった。
その事実は確実に
プレッシャーになるだろうし
人気DJも困ってしまうかもしれない。

でも、仕方ない。
人気DJには申し訳ないが



「人気DJ待ちでーす!」


と、声高らかに叫ぼうではないか。
プレッシャーをかけまくって
迎え入れようじゃないか。
ちょっと楽しくなってきた。


が、が、が、
午後になって、
やはり、昼食を取ってからは
現場が一時的にスピードダウン。
朝が早いと昼前には
燃料切れで進行が遅れる。
で、燃料を入れても
暫くは燃焼せずに
アイドリング状態なのだ。

なんとか、人気DJを14時前には出しながらも
少々、焦っていた。
もしかすると、人気DJが戻っても
押せ押せになっていたら
人気DJを待たせる結果になる。
これでは、


「速攻でもどって来たのにぃ、長谷さぁーん」


って目で人気DJに見られてしまう。
それだけは避けなければならない。
人気DJには以前、
しんぐうシネマサミットの時
福岡でモツ鍋を一緒に食い、
撮影前にも鳥鍋を一緒に食い、
東京で中華を一緒に食った仲だ。
こっちも、あっちも、
互いに忌憚無く文句を言える状況。

そんな中で 押し なんて有り得ない。


ペースダウンしてきた現場に渇を入れる。



「I嵐!何やってんの遅くない?
           つーか遅いよ!」

「はい、すいません!」



現場の空気は
そんなに急いでも、
待ちになるだけでしょ、
急いでミスするよりも
ゆっくりやろうよ、
ゆっくり走ろう神奈川だよ的な
雰囲気が漂っている。

で、一計を案じた。

人気DJが出演するシーンは
本来夕方の設定だったが
その戻り時間のために
ナイターの設定に振り替えていた。
本人がいないのだから仕方がないと。

で、で、一計を案じたのは
このシーンを夕景で撮影するための妙案。
それに伴い、人気DJ待ちの間に
更に分量を稼げるという提案である。

それは、一つのシーンを
分割して撮影するというプランだ。
ちょうど、カット割りとして
窓向けと廊下向けという
二つのアングルで
片方のアングルには人気DJは映らない。
普通はシーンを分割して撮影はしないところだが
設定を夕方にするためという
錦の御旗を掲げて分割に踏み切った。

つまり、どういうことかというと
窓向けを夕方の光りで撮影し
逆向けの廊下を照明で夕方にして撮影する。
そうすることで、このシーンは夕方として成立するのだ。
そして、20時に人気DJが戻った時は
この廊下向けを撮影するだけで良いことになる。

そのプランを説明するなり
撮影スピードに拍車がかかった。
人気DJが戻ってくる20時までに
香盤を消化してしまえば
予定の23時を大幅に巻き
21時には終了できるかもしれないからだ。


急にバタバタする現場。


よし。これで俺の役目は終わったな。
頼むぞ、I嵐!





20時。
予定通り人気DJ入り。


そして、予定通り、
ワンカットだけ撮影して終了。


巻いたぜ、母ちゃん!







本日撮影したシーン
S#80 82 108 113 109 63 9 27
   26 29 70 78 132 111