新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

編集チェックとロケハン資料と…

2月21日
VPの台本打ち合わせを明日に控えて
今日は、まず、もう一本のVPのチェックに向かう。
VP1とVP2は違う会社なのである。

で、番号で言うと今日のチェックはVP2の方で
以前からのシリーズで、すでに3本ほど作っている。
その3本とも、眼鏡○本君が編集をしてくれていて
すでに素材があがった段階で

「監督、いつもの通りでいいですか?」

「ああ、いいよ。いつもの通りで」


てな具合に、ツー と カーだ。
編集に至っても一から作らずとも
前回のベースがあり、
それを元に再構成していけるんで
都合が良い。

他の作業と平行していたのだが
今日は、任せていた編集のチェックの日だ。
全部見て、全部OKなら眼鏡○本君は
別作業に没頭することができるのだが…

なんというか、ちゃんと出来ているのだが
見てしまうと、直したくなるのが心情だ。
直すというかより良くしたくなる?
作業工程や時間の都合もあるので
いくつか提案して、効率の良い方法を選んでいく。

「この文字変えたい」

「え?じゃ、じゃあ、時間ください」

「すっげーかかるの?」

「い、いや、す、すぐですよ、
      
2時間くらいかかりますが…」

「あ、そう、
なら止めようか?

「いや、やりましょう!」


止めようか?と言って
『そうして下さい』とは
なかなか言えないもんだよね。
他の作業もあり
(その他の作業っていうのも俺が絡んでいる)
こっちばかりに、
身体を割いてられない都合も重々承知だ。
だが、やらねばならないのだ。

で、その作業をやっている裏で
CMの企画コンテ作成にかかる。
僕が先日書いたコンテをもとに
絵コンテ屋さんといって
絵コンテを描くのが商売の方を呼んで
その場で描いてもらう。


すっげーうまい。
人間が立って、正面に手を差し出したりするカットなんか
俺なんか、何十回も直したのに
サラサラーって描いてしまっている。
さすがだ、つーか、それが商売か…
ついでだから、

「もっと、勢いがついた感じにしてください」

「もっと、前かがみとかにして…」

「いや、横顔にしてみて…」


本当は描きたかったけど
描けなかったアングルに訂正してもらう。

だいたい、俺の絵コンテなんて
人物に髪の毛生えてないんだから

皆、坊主頭!

え?女の子はどうする?
一本ピロッって頭に線書いてさ

辮髪
(べんぱつ:少林寺みたいなやつ)みたくして
横に女の子が歩くとかって
コメントを入れておくの
そうすれば、
丸坊主だろうが、なんだろうが、
男にも女にもなるのだ。


いや、しかし、うまいな、コンテ屋さんは。

眼鏡○本君が

「絵がうまいって、
     演出家の武器になりますよね」


とか言いやがる。

そうだね…

とか言ったけどさ。
え?じゃあ、
俺には武器が無いってこと?

手ぶら?
 ノーガード?
  体当たり?
   特攻隊?
     命知らず?
    負け戦じゃねーかよ!

けっ!どうせ、絵描くのヘタだよ。
でもな、ヘタな絵だからこそ
仕上がりを見て
『おー!』
ってことにも繋がるんだぜ。
あんまり上手く描くとさ
オーディションも大変だし、
撮影だって大変なんだぜ。

ヘタな方が現場が楽しいってもんだ。

え?言い訳だって?

そうさ、言い訳さ。
だから?
企画が面白ければいいんだぜ、本当は。

え?話がすりかわっている?
そうさ、すりかえたさ。
駄目かい?

もっと、練習しろってことだろ
わかってるよ!



誰に言っているのだ俺は。
変な人みたいじゃないか。
変だけど。

で、帰宅してすぐにメールを開く。
もう一つのVPのロケ地資料が届いているのだ。
本当は、朝、出る時にメールが来たのだが
すぐには見られずに、ほっておいたものだ。
ロケ地の写真は、ハウススタジオである。
幾人かの登場人物が出るが
その家族の家という設定だ。
大きめなハウススタジオを予約したみたいで
この中で何家族かの部屋を撮影する。

さあ、どんな家かなぁ…って思ったと思う?

思わないんだなこれが。
何度も使ったことにある
ハウススタジオだったんだもん。

写真は確認程度にしかならない。
新鮮な気持ちは無いが
このスタジオなら撮影できると判断できる。
ロケハンなどもしなくともいい位だ。
あ、でもするけどねロケハン。

で、すぐにその旨を返信。
他にいくつか予約を入れていたみたいなので
2つのスタジオに絞り、
他はバラシてもらう。
ヘタに予約したまんまだと
後でキャンセル料とかかかってしまうからだ。

まあ、後はロケハン次第ってことで。

すると、今度はキャスティングから電話。
VP1の出演者でスケジュール確認があったらしい。
どうやら、他の撮影と被ったみたい…
どういうことかというと、
先日、写真資料を貰い
役に合う方を2名づつくらい選考した。
で、明日の台本打ち合わせまで
結果はお預けってことにしていたのね。
つまりは、他の作品でスケジュールが被りそうだから
こっちの結果を早く知りたいってこと。
ひっぱり続けた結果、落選なんてことになると
両方の仕事を失う結果になるから
向こうも、こうやってせっついてくる訳だ。

だから、

「決まった仕事が入るなら
     そっちを優先させて構わないですよ」


と言っておく。
僕の気まぐれで仕事が減ったら申し訳ないしね。
ものすごい重要な役でもないし。

で、今度はまた違うところから電話。
先日クランクアップした
映画『日本の自転車泥棒 JAN』
出演者の事務所からだ。
バタバタとしていて、忘れていたことがあったらしい。

プロデューサーに引き継いでもらうことにする。

そういえば、『JAN』はもう編集に
入っているのだろうなぁ…
暇を見て、見学に行きたいなぁ…

やっぱり自分が関わった作品というのは
映画であれ、CMであれ、VPであれ
最後まで見届けたいものだ。
見届けられないことも多いが…
第2部撮影が終わって、
第3部撮影に入る打ち合わせの時、
数分、撮影されたフィルムを見たが
いやぁ、映像見ただけで
なんかやっぱり期待しちゃう感じ。
自分が参加したからという感覚は
取り払っては意見できないが、
あの条件で、
あの環境で、
これほどの絵が!


公開は今年の秋くらいだというので
皆さんも期待していて欲しい。
面白いのか、面白くないのか…

どんなに作った側が『面白い!』とか言っても
それは、なんの参考にもならないでしょう。
少なくとも、自分が関わった作品をけなすなんて
よっぽどなことがない限りないですからね。
だから、と言う訳じゃないが
僕としては、『期待して!』とかしか言い様が無いね。
撮影はとんでもなく面白かったので
そういう空気というか、思いは映っているはずですから。

映画『日本の自転車泥棒 JAN』をよろしくね。


と、話がすげーずれた。
まあ、そんなこんなな一日だった。
いや、この後何があるか分からないが…

21時だし…
きっと、まだ、何かあると思う。

ぼーっとしていると
      酷い目に遭いそうだよ。


じゃ!