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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

車中の戦い

この日記は撮影時の香盤表を元に

薄れゆく記憶が消えないうちに

思い出しながら書き上げたものです。

一部、実際と違う部分や記憶違いなどが

ある場合もあります

日本の自転車泥棒 JAN」 第2部撮影日記

始めに、何故、第2部か?

それは昨年末の異常に全国で大雪が降ったあの時期

この映画の第1部撮影は始まっていたからである。

しかし、僕はその大雪の第1部に参加していないため

あえて区別するために今回の撮影を第2部とした。

1月20日(金)6:00 ホテルロビー

今日の香盤の作成にはひと悶着あった。

分量が分量なだけになるべく簡単な撮影を午前中に持っていき

後半戦に余裕を持たせる作戦だったのだが

現場の距離の問題からくる俳優部の入りの時間問題や

お店での撮影を予定したための開店時間問題などで

大きく番手が変更になっていた。

尚且つ、今日の撮影は大型バスの中が予定されており

移動しながら撮影するというかなり大変な様相なのだ。

7:00

shoot開始予定時間にはすでに

カメラのスタンバイは完了していた。

あとは、大型バスが到着して走るバスの姿を撮影するだけ。

「・・・」

「・・・バスは?」

「連絡が取れません・・・」

「え?」

「どこにいるのかも・・・」

「え?」

「つまり、何時に着くかも・・・」

「え?」

撮影というのは因果なもんで

いくらセッティングができても

写す物が無ければ何にもできやしない。

ただただ、呆然とするのみ。

いくら何でも何時になるかがわかればいいのだが。

瞬時に、バスの撮影を飛ばしたら何が撮影できるのかを

必死になって考えた。

芝居のつながりもあるので

むげに後のシーンから撮影するのは危険である。

時間軸上で後のシーンから先に撮影してしまうと

『逆つながり』といって芝居や撮影に制限ができてしまうのだ。

ただでさえ制限の多いのが撮影現場の常。

これ以上の制限はかなり危険度が高い。

が、しかし、バスが来ないことには撮影すらできやしない。

7:15

「集合場所を間違っているのかもしれない」

「すぐに行ってきます!」

プロデューサー自ら車を飛ばし

バスを探しに出かける。

だだっ広い田畑に寒波が吹く。

天候は晴天だが単純に周りに何も無いだけで

風をまともに身体に受けてしまう。

俺は股引にジーンズ、更に上にヤッケもはきこんでいたが

どこから吹き込んでくるのだろうか知らんが

やたらと身体に風を感じる。

吐く息は白いというよりも

すぐに風で消し飛んでしまい。

白いとかそういう問題では無くなっている。

7:30

俺は8:00が限界かと思っていた。

これ以上バスを待つ訳にはいかない。

バスを撮影してもまだ沢山撮らねばならないカットがあるのだ。

「バス発見!これから現場に急行します!」

発見場所から現場までは約30分。

ほぼ限界に近い時間だ。

つーか、限界はとっくのとうに過ぎているとも言える。

今日は確実に残が出るだろう、と思った。

次の現場に到着したのは予定より

1時間30分ほど遅れた9:30頃だ。

何をどうしても巻いて行かないとならない。

めまぐるしく状況は変わり

他のスタッフも付いていくのが精一杯な感じだ。

連絡系統はズタズタになり

ただ大声を出して伝えていくしか方法が無い。

撮影を進めることだけに専念しないと

事態は一向に進まないし

僕がそこに噛んでないと現場に伝わる術も無い。

バス停留所前を猛烈にやり遂げ

すぐにバス車内の準備に取り掛かる。

いくらバスが大型と言っても

車内は撮影するには極限に狭く

カメラの入る隙間も見当たらない。

僕らは事前にカメラの入る場所を想定して

バスに固定された座席のビスを緩めておき

カメラの入る隙間を作ることにしていた。

だが、このビスが思うようにいかない。

確かに、打ち合わせどおりに緩んではいたのだが

慣れない作業だからだろうか

座席なんて動かしたことがないからだろうか

僕らの作業はなかなか思うようには進まなかった。

座席一つ動かすのに延々15分もかかる。

これは非常にやばい。

座席の移動は2つ予定されているから

つまり、この撮影が全く進まないけど

必要な作業の時間が軽く30分は取られてしまうのだ。

たかが30分、されど30分。

日没は絶対に待ってはくれない。

俺たちは日没までに

12のシーンを撮影しなければならないのだ。

しかも、この狭い車内では乗車する人員にも限りがある。

スーパーサード助監督の岩崎は置いていかねばならない。

俳優部とエキストラを乗せ

バスは走る。

すでに太陽は傾いている。

射光が車内に流れ込み

バスを金色に染めている。

あ、そうそう、寒くないのが車内の特典かな。

でも、逆に暑かったなぁ。

俺たちは予定より1時間ビハインドで

次の現場に到着した。

すでに夕方で日没までは1時間無い。

怒号と罵声が飛び交いながら

急ピッチで準備を進める。

俺はカメラのセッティングが終わる前から

哲太さんを呼ぶ。

ほんの少しの時間までも惜しかったからだ。

寒い中で申し訳なかったが

一番言うこと聞かないのが太陽さんだから・・・

すんません。

畑のビニールハウスに夕日が差し込む。

ハウスが金色に輝く。

赤く燃える太陽を浴びたハウス。

哲太さんの吐く白い息。

盗んできた自転車・・・

美しい・・・

だが、今日のメニューはこれでは終わらない。

まだナイター撮影があるのだ!

本日撮影したシーン

63 64 65 59 59A 59B 60 60A 61 62 62A 62B 72 73 74

残シーン

32 76A