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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

怪人現る

この日記は撮影時の香盤表を元に

薄れゆく記憶が消えないうちに

思い出しながら書き上げたものです。

一部、実際と違う部分や記憶違いなどが

ある場合もあります

日本の自転車泥棒 JAN」 第2部撮影日記

始めに、何故、第2部か?

それは昨年末の異常に全国で大雪が降ったあの時期

この映画の第1部撮影は始まっていたからである。

しかし、僕はその大雪の第1部に参加していないため

あえて区別するために今回の撮影を第2部とした。

1月18日(水)6:00 渋谷

朝から猛烈に寒い。

集合場所にはすでに他のロケバスが並んでいる。

この場所は撮影隊の集合出発のメッカである。

これだけ並んでいるとたまに他のバスに乗ってしまうなんて

嘘のような本当の話だってある。

顔見知りのスタッフと会って

情報交換の場にもなっている。

少し早めに着き初日の集まり具合を確認していると

我が演出部の期待のホープである

サード助監督岩崎がいない・・・

実際今日まで細かい打ち合わせが出来た試しが無く

朝のこの貴重な時間を使って少しでも

彼の負担を減らそうと考えていたのだが・・・

いや、朝早めに来いとは伝えてはいなかった。

ただ、ルールというか常識として

集合時間の30分から15分前には到着が

彼にも徹底されているだろうと考えていたのだ。

しかし、彼は来ない。

一瞬、嫌な悪寒がした。

すぐさま携帯電話を出し岩崎をコールする。

「あ! あ! すぐ出ます! すいません!」

な、な、な、なにーぃぃぃぃぃぃぃ!!!

初日からのいきなり先制パンチ!

朝からクラクラだが

この後喰らうパンチの数々に比べれば

こんなパンチは所詮

ジャブの中のジャブ程度に過ぎなかった・・・

移動中、空が見る見る赤くなり日の出を迎える。

今回の撮影はその日程の全てが

日の出前の出発である。

つまり、この日の出を後 8回見る計算となる。

『燃える朝焼け』を頭の中で鳴らしながら

僕は今日一日の撮影を考えた。

冒頭でも書いたが僕は第2部からの参加で

他のスタッフとは初対面が多い。

僕には初日でも他のスタッフは撮休後的な感じ。

つまりはどういうことかというと

他の方々よりもコミュニケーションを取る時間が

圧倒的に短いということ。

それは、チーフ助監督という職から考えると

多大な損害というか痛手を負った状態での

スタートと言うことができる。

まして、第1部には第1部のチーフがいた訳で

どうして、このに変わったのか?

当然他のスタッフは考えると思う。

ああ、なるほど、だからか。

と、俺は思われなければならない。

それは通常の戦い方ではお話しにならない。

いつもの倍、倍以上にがんばらないとならないことが

義務付けられているようなものなのだ。

この戦いへ引き込んだ監督高橋さんもどーかと思うけど

それを承知で引き受けた俺も俺だ。

辛いのがわかっていながらも受ける。

ある意味これは、高橋さんからの試練・挑戦じゃないか?

俺は今回の仕事をそう受け取って

引き受けることにした。

そんな初心を思い出しながらロケバスに揺られていた。

目指すは宇都宮。

今日の天気は快晴の予報。

多少遅れが出てもひっくり返してやろうじゃないか!

それが俺がいる意味ってもんだ。

「宇都宮の怪人役の○○さんでーす!」

役名も役名だが、この役の俳優さんもすげー。

あえて日記では名前を明かさないが

皆さん知っているあの方が登場します。

よくある友情出演的な形での登場なのだが

その台詞の分量が半端じゃない。

主人公は全くの無口で

台詞も全部で数ページも無いほどなのに

対してこの怪人の台詞は全部で8ページ近くもある。

大体、長い台詞の部分はカットを割って撮影する場合が多く

俳優部も全部が全部覚えなくても良かったりするのだが

そのワンカット目から違った。

芝居テストで見たその芝居は

すでに全ての台詞を完璧に覚えていた!

尚且つ、何度やっても同じ動作!

まさに、演じる技術。

スタッフ一同がその芝居に魅了された。

これは見ごたえがある。

カットを割らずとも説得できる芝居が完成している。

これは早くも仕上がりが楽しみなカットだ!

が、しかし、撮影がいくら楽しくたっても

いつもでも撮影していられない。

太陽はジリジリとその日照時間を長くしているが

まだまだ10時間は無いのだ。

どんどん次の準備を先行させていかないと

今日の香盤を消化することなんてできない。

だが、巻くに巻けないというか・・・

この重要なシーンで巻きをかけることなんて

はっきりって難しい問題だ。

ただ、ただ、

先を予想して準備に手間取らないようにするだけだ。

この場所の残は二度と撮影することはできない。

だからどこを残してどこを絶対に撮らないとならないか。

撮影初日からしての 残 はいい気分はしないが

こればっかりは仕方がない。

まあ、初日だし楽な香盤でもいいか。

「怪人のラストカット。いいなぁ・・・」

本日撮影したシーン

87 88 89 90 91 92 

残シーン

95 96