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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

本家・カチンコ日記 第244回~第270回

映「千年火」撮影日記 本家・カチンコ日記第201回~第300回

先日惜しまれつつ閉鎖してしまった。 演劇ブック主催サイト アータウン内の映像サイト『モータウン』にて連載されていた日記 「長谷巌一郎のカチンコ日記=本家カチンコ日記」を転載しています。 各日記には楽しい写真が載っていましたが サーバー容量の関係上割愛させていただきました。

では、どーぞ!

第244回
映画『千年火』撮影日記
8月5日(火)<灼熱のアスファルト

※注
これは撮影香盤表と自分の記憶を元に書かれた日記であり
若干の記憶違いや脚色などがあることをご了承ください。
また、登場する人物などは一部敬称を略しています。

いよいよクランクインを迎えた。
7月の初旬から準備を進めてきたが本当にインするなんて未だ信じられない。
そんな思いで朝を迎えた。

9:00宿舎集合出発。

ここでひとつ注意事項だが、
上記の宿舎というのは我々スタッフが寝泊りしている場所のことである。
もともとは出羽の海部屋の九州場所時に使われる施設である。
念のため言っておくが、
九州場所は11月であるためこの施設には冷房機器がない。

暑い。
朝から猛烈に暑い。
これは今年の夏も暑いぜ!
と、週間天気も見ずに思う。

撮影初日というのはたいていの場合は楽な香盤を組むことが多い。
俺もそんな慣習を守り楽な香盤を組んだ。
一昨日まではね。
そう、一昨日の夜までは。。。

一昨日の夜に差込が入った。
(差込というのは台本に新しく加えられたシーンや
変更されたシーンが書かれた紙ペラ)
内容は重く、それもナイターだ。
そんな重いシーンでナイターなんぞ初日に入れる奴なんているかい!

と、初日の香盤にナイターを追加した。
俺は極悪である。

話を元に戻す。

朝から蒸し暑いが全くもって望むところなので意気揚々と出発した。
現場は博多市内の舞松原と言うところ。
今回の撮影では数少ない新宮町以外での撮影場所である。
ここで撮影するのは東京の路地というシークエンス。
言葉を失う前の主人公聡が喋るレアなシーンでもある。
現場は交通量の多い道路の歩道で、
主人公は自転車に乗りシーンの後半で車道に出る芝居なので
演出部と制作部は共同で車両及び人止めに入る。
太陽の照り返しで頭がくらくらする。
トランシーバーを駆使しシュートのタイミングと信号のタイミングを計る。

はじめのカットは移動車だったので、
俺は移動車の押し棒を持ちながらシーバーにがなりたてた。

「状況はどう?」
「信号赤です!」
「了解 本番スタンバイ! 封鎖してください」
「了解 封鎖します」
「いきましょう! 本番!」

太陽の照り返しで灼熱と化したアスファルトが体力を奪う。。。

「カット! OK!」
「カットOK! 封鎖解除!封鎖解除! 撤収!移動!」
「了解 封鎖解除、撤収移動」

撮影 撤収 移動 撮影 撤収 移動。。。

今日は一日が長い
だってナイターがあるから。。。

本日撮影したシーン
S#4  「東京・路地」
S#5B 「東京・住宅街の路地」
S#5  「東京・室内スイミングプール」
S#5A 「東京・室内スイミングプール」
S#87A「松林・夜」

第245回
映画『千年火』撮影日記
8月6日(水)<地獄の松林>

6:00宿舎集合出発。
昨日のナイターで24時まで撮影してたのに6:00出発かよ!
と、宿舎食堂の遠くから声が聞こえてきたが無視した。
だってしょうがないじゃん。

朝一発目は実景からスタート。
(実景っていうのは、景色だけのカット)
実景と言ってもエキストラも仕込まないといけないし
朝の時間帯だから結構普通に労力を使う。
犬を散歩させる人だったり、歩く通行人だったり。

が、相当曇り。かなり曇り。
空一面の雲雲雲。
夏の強い日差しと色の濃い影が狙いの本作品には似合わない雲。

本当はエキストラで新宮町の町長が出演していただく予定であったが
あいにくの天気のため撮影できず。

昨日は日差しはどこへ行った?

気を取り直して松林で撮影を開始する。
どんどん天候が変わっていき、瞬く間に晴天に。

「よーし!いいぞー!」

やはり天気がいいと気分もいい。
撮影も順調に進む。

が、また雲が出た。
晴れたり曇ったりしてる。

こちらもだましだましに晴れ間を狙って撮影を進めていくが
こういうような晴れた隙を狙っての撮影は相当に体力を消耗する。
午前中からへろへろだ。

午前中に松林での主人公の歩きといじめっ子たちの芝居を撮影する。

このいじめっ子たちは地元でオーディションした子供たちで
なかなかの曲者がそろっている。
頭が良さそうで物静かな武藤君。
つねに喋っていて落ち着きのない山浦君。
自分が理解したことを確認する関君。
自然な芝居をする秋光君。
のんびり屋の西山君。
体の大きな山本君。
ちょこちょこ勝手に動き回る渡部君。
もう、まとめるの大変だった(監督がね)
この曲者たちのシーンが2つあり
一つ目が松林、二つ目が砂浜である。
もう考えただけでふらふらになる。

なんとか午前中に憧れの先生を前に
緊張するいじめっ子たちのシーンを撮り終え砂浜に移動する。
曇っているとは言え猛烈に暑い。
砂浜は日陰の逃げ場所がないので余計に辛い。

全く子供たちは言う事聞かないし。。。
しかも曇りで全然撮影進まないし。。。

夕方狙いのシーンを残しているので
砂浜はどんどん撮影していかないとならないのに
全くはかどらない。
まいった。

一瞬の隙をついて撮影していくのだが、
子供たちの芝居とうまく噛み合わない。
OKがなかなか出ない。

うううううううう。

こういう時はよくミスが出る。
あれが無い。これが無い。移動車のスピードが違う。

などなど。

あれよあれよと言う間に夕景の松林に移動する時間になってしまう。
子供たちのシーンはまだまだ半分もある。

『決断しないと。。。』

このまま撮影を続けていくと、
夕景の松林のシーンを撮りきれないかもしれない。
しかし、子供たちのシーンも残すと
結局は全部撮り直しになるかもしれない。
尚且つ松林に出演する方にはスケジュールがあまりない。

『どーする俺?』

決断を迫るスタッフたち。
撮影2日目にして逃げ出したくなる。

「このシーンは中断します!
撤収移動!松林に移動します!」

「へーい」

がちゃがちゃと撤収を始めるスタッフたち。

『間違ってないのだろうか。この決断は。。。』
『間違ってなんかないやい!いくぞ松林に!』

と、決断したそばから空はピーカンに。

『え?まじで?』

もう今更次郎。
後戻りはできない。

「ちくしょー!」

と叫んだそばからシーバーに緊急連絡が入る。

「大変です!田中さんと谷さんが・・・・・」

「どうした!何があった!」

「・・・倒れました」

「な、なにーーーーーーーーーーーー!」

「今、病院に運ばれていくとこです」

確かに、今日は恐ろしいくらい暑い。
特に砂浜は、その太陽の照り返しで
通常の倍以上に暑く、どういうわけか風が薄く
恐らく体感温度は40度を超えていたのではないだろうか?

しかし、ただでさえ人数が不足している体制での強行撮影なのに
二人倒れるなんて。。。

※以後この日の撮影香盤は「殺人スケジュール」と呼ばれるようになる

本日した撮影シーン
S#22 松林・朝
S#18 松林
S#67 松林
S#68 砂浜(途中断念)
S#42 松林
S#55A松林

第246回
映画『千年火』撮影日記
8月7日(木)<陸上と海上と>

3:30宿舎集合出発
暗い。
まだ、太陽の昇っていない時間からの集合出発。

台本に”夜明け前”なんて書いてある日にゃぁ
”夜明け前”に撮影せなならんのが、この商売の辛いところ。

なもんで、
日の出が5:45分頃なのを確認して
準備時間を逆算しつつの出発となる。

さすがに夜明け前でも九州は暑い。
朝から(夜明け前から)汗だくだくだ。

今日はいきなり台本の最後の部分を撮影する。
本当は撮影も終わりに差し掛かった頃に撮影したい部分なのだが
ちょうど撮影する内容が海を泳いで砂浜にたどり着くという部分だったため
8月も早い時期に撮影することに。

え?なぜ?

そう、問題は”くらげ”
九州は早くて、お盆を過ぎたくらいから”くらげ”が大量発生するらしく
8月の後半にもなると泳げる状態ではなくなってしまう らしいのだ。
だから、撮影したくなくてもこの時期に撮影するしか選択はない。

前日倒れた制作部は帰ってこず
2名足りない状況化での撮影。
人止め車止め人員が足りずに撮影がちょこちょこと中断する。

「やばい、このままだと太陽が昇ってきちゃう!」

時間との勝負の中猛烈な勢いで撮影を進めるスタッフたち
こういう時のスピードは計り知れないものがある。
毎日こんなスピード出したら。。。
いや、言うまい。
なんとかワンシーン撮り終えたものの
もうワンシーンある”夜明け前”は撮影できず。。。
これは、また3時とか4時出発があるということを意味する。
スタッフに疲労がどっと出るのが伺える。

俺は同時にこの残をどの日に持っていこうかと考える。

少しの休憩を挟み、
今日のメインである遠泳大会ゴールシーンの準備をする。
テントを張り椅子を並べゴールを作り小道具を用意し。。。。
着々と何もなかった砂浜にゴールセットが作られていく。
うーん映画ってすごい。やっぱりすごい。

そして、この日のために集まったエキストラ100名が
続々と現場に集合してくる。
徐々に砂浜が人で埋まっていく。
我が演出部は集まるエキストラを誘導し並んでもらい
ゴールシーンの芝居をつけていく。
最初のカットはドン引きの移動から。
俺も移動車の押し棒を持ちながらトラメガで指示を飛ばす。
一番の引きのカットなのでここで説得力がないと
後半の芝居も意味がなくなってしまう。
真上に上がった太陽が砂浜を照らし
真夏の映画に相応しい影を作り出している。
天気は申し分ない。

「よーし、本番いきましょうか!」

ざわつくエキストラ。
スタッフに緊張が走る。
撮影チーフが太陽の具合を見て

「このまま安定しそうですね。どうぞ」
「よし、行こう。本番!」
「よーーい!」

「はい!」

和太鼓が鳴り響く
移動車がゆっくりと移動をはじめ
エキストラが練習どおりに芝居をする。

「カット!OK!」

”よし!”

次のカットだ次のカット。
夜明け前もそうだったが、
この砂浜のシーンも猛烈に急いでいる。
天気予報が午後からの悪天候を予想していたから。。。

今日は午前中が勝負。

午前中に主だったメインのシークエンスを撮影しないと
全てがパーになる。
つまりオールリテイク。

それだけは避けないとならない。

が、本当に午後から天候が悪いなんて信じられない天気。
このまま行けるんじゃ。。。
しかも丹波さんが登場するや否や晴れてくるし。
ご本人が

「私が行くと必ず晴れる。そして、帰ると曇るんだよ(笑)」

”ええ~、まじで~”
”じゃ、帰らないでください”

なんてことは言えません。

撮影は晴れているので快調に進みなんとか
午前の予定を少しマキ気味で消化できた。

「飯押しで海上撮影に向かいましょう! 移動!」

ここは天気が良いうちにどんどん消化するの限る。

砂浜のエキストラ100名を
今度は海側から撮影するために漁港へ向かう。
予定どおりに相島から漁師さんたちの漁船が待っていた。
船に酔いやすい俺は一抹の不安を感じていたが
そんなことは言ってられない、
いや、言えない、言える雰囲気じゃない。

「出航!」

3艘の漁船が沖合いから砂浜を一望できる位置まで移動を始める

「おおお 結構少ないな。100名って」

海上から見た砂浜の100名は
思った以上に貧相でちょっとがっかり。
でも大丈夫。
だって海だもん。
海なんだもん。
よくわからんが。

そして、予想をはるかに上回るスピードで海上撮影を終了。

「よーし!今度はまた砂浜に戻ります!」

”ん?雲行きが。。。”
”まあ、大丈夫だろう”
”漁師が漁港で別れ際に空を指差してしたのが気になる”

漁港から砂浜までは車で約5分ある。
その5分間で劇的に天気は変わっていった。。。

「のわわわわつ!」

台風10号だか何号かが九州に上陸しそうらしい。
すごい勢いの風が砂浜を襲っている!
どこかで見た砂嵐の惨状が今ここに

風で飛ばされそうなテントをエキストラが押さえている。
撤収指示を待たずして照明部はバラシ始めている。

どこかで

「撤収だ 撤収だ」

と声が聞こえる。

”ああああああああああ”

”ああああああああああ”

”東京に帰りたい。。。。”

”いや、まだまだぁ!”

「撤収!撤収!
 本日の撮影は中断します!」

本日撮影したシーン
S#114   松林・夜明け前
S#116   砂浜・夜明け前(日の出を過ぎたため撮影できず)
S#86    砂浜・ゴール
S#96    砂浜・ゴール
S#103C-1海から砂浜
S#105C-3海から砂浜
S#100   砂浜・ゴール(残)
S#104   砂浜・ゴール(残)
S#106   砂浜・ゴール(残)
S#86    砂浜     (残)

第247回
映画『千年火』撮影日記
8月8日(金)<撮休>

台風じゃん!

「撮休! 本日撮影無し!」

本日撮影したシーン
なし

第248回
映画『千年火』撮影日記
8月9日(土)<天秤にかけろ!>

台風のせいで全く天気が予想できない。
昨日の夜から悩んで悩んだあげく
朝6:00に天候判断をすることにした。

天候判断とはその段階で予想されるる天気から
その日の撮影香盤は変更し
全く違うスケジュールを建てる判断をすること。

今日は海上撮影日。
新宮漁港から出る相島行き渡船に乗り島に渡り
漁船団を組み海上で泳ぐ子供たちを撮影する。
相当にアドレナリンが噴出しそうな撮影予定だった。

・・・だった。

6:00天候判断。
天気予報は雨。強い風と高い波があるそうだ。
”どーする?”
宿舎食堂で俺はスタッフから凝視され続けている。

”うう”

「ちゅ、ちゅ、ちゅ。。。。」

”あ、待て!中止の判断を下す前に
今日の残分をどこに持っていくか考えとこう”

「チーフ!6:00だけど! どーすんの?中止?」
スクリプターのネーちゃんが
偉そうにガナリ立てる。

”あああ、スタッフはもう中止モードだ”
”しょうがない、今日の残分は予備日を使うかぁ。早くも。。。”

「発表します。今日の海上撮影は中止にします」

食堂から安堵とも取れるざわめきとため息が漏れる

「ですが、、、、」
「え?なに?」
「午後から天気が回復しそうなので、
撮影は中止にはしません」
「………。」
「先日取りこぼした、
子供たちの砂浜シーン撮影します! 以上」

ざわついた食堂を後に俺は一人外へ出た。

「台風の馬鹿野郎。。。」

そっとどんより曇った空につぶやいた。

本日撮影したシーン
S#54  空き地
S#68  砂浜
S#86  砂浜

第249回
映画『千年火』撮影日記
8月10日(日)<海の男>

8日9日と台風などの悪天候のため伸ばしてきた
海上撮影の日がやってきた。
本当は8日、9日、10日と
3日間を海上撮影日にしていたのだが、
結局今日が初日となった。

劇中重要なシーンでもある海上撮影は
細心の注意を払わなければならない。
なにしろ漁船最大15隻に船外機付きボート4艘、
そしてゴムボートに泳ぎ手の子供たちが20名もいるのだから。

「漁船のフォーメーションはこれでいこうか」
ライフセーバーはどの船に?」
「ダイバーの配置は?」
「船外機付きボートは小回りがきくからさ」
「泳ぎ手には高校生や大学生もいるから、奥目で泳がそう」
「明日の波の高さは?」
「潮の流れは?」
「船の最大乗員数がオーバーだって!」

それはそれは喧々諤々でした。
延期になったことで、
同じ打ち合わせを2日間やってました。。。

まあ、んな訳でとうとう海上撮影だ。
俺は比較的酔い易いのですごく心配。
とっても心配。

撮影場所は新宮町から渡船で渡りつく、
自然豊かな相島。
人口400人足らずのこの島で我々は大規模な撮影を敢行する。
島の人たちはもちろん撮影に協力するなんて初めての経験。
だから、撮影前にスタッフ含めて
船長さんたちとのブリーフィングを行う。

「え~ このように船をVの字型に並べてください」
「この付近に子供たちはドボンします」
「緊急時はボートが出動しますからね」
「Vの字にフォーメーションを組むことから、
V作戦と名づけます(本当に言いました)」

撮影機材船、劇用船、ボートと次々に乗船を開始する。
否応なく緊張する相島漁港。
主人公村田少年は体中に
くらげに刺されないという眉唾
「くらげローション」を塗りたくっている。

村田少年はかなりくらげを怖がっているみたいだ。

「くらげいないよね?」
「いない、いない」
「あ、嘘!あそこにいるじゃんか!」
「本当だ、いるねー。でも沖合いにはいないよ」
「本当?」
「多分な」
「……」

「乗船完了しました!」
「よし、出航しよう! 出航!!」

ボートから恨めしそうに
こちらを見ている村田少年を尻目に
俺は漁船に飛び乗った。
種類の違うシーバーを2つ持って。。。。

本日撮影したシーン
S#99C3  海上
S#102C2 海上
S#99C4  海上
S#102C4 海上
S#102C3 海上
S#94C1  水中
S#95C3  水中
S#97C1  水中
S#97C5  水中
S#97C6  水中
S#98C1  水中
S#101C1 水中
S#102C5 水中
S#102C6 水中
S#102C8 水中
S#103C2 水中
S#103C3 水中
S#105C1 水中
S#105C2 水中
S#93C3  飛び込み
S#93C2  飛び込み
S#93CA  飛び込み
S#93CD  飛び込み水中

第250回
映画『千年火』撮影日記
8月11日(月)<行け!新丸!>

撮休の予定だったがすでに予定を超過しているので
返上して撮影に向かう。
今日も海上撮影だ。

今日は泳ぎ手の子供たちはない。
船上での芝居を優先して撮影していくことに。
が、天気がよくない。
監督も渋い顔をしている。

でも、撮影に向かわないとならない。
撮りたくなくても向かわないとならない。

本当に辛い商売だよまったく。
中止にするにしても現場に行ってからじゃないと
もう後戻りできない状態なのだから。
撮影が始まって数日で逃げ道のない状態に。
この先にどんな苦難があるのだろうか。
前日と同じように船長さんたちとのブリーフィング。

「今日のフォーメーションは簡単です」
「ひらがなの”く”の字を逆さにした感じですな」
「えー名づけて、、、逆さ くの字、、、、あ、名前別にいらないですね」

と、言う訳で乗船開始。
が、空は暗い。
天気のつながりのないシーンから撮影することにする。

「つながりがなくても、やっぱり晴れていたいんだよねぇ」
「ですよねぇ。全員乗船!
「……」
「海の上で判断しましょうか」
「暗いなぁ。。。空」

本日撮影したシーン
S#27  海上・昼
S#89  海・船上(撮影せず)
S#7   海上・昼(ワンカット残)

第251回
映画『千年火』撮影日記
8月12日(火)<逃げろ!蜂だ!>

海上撮影の疲れも取れないうちにロケセット撮影に入る。
今日は主人公の父の実家内という設定。
この実家も相島にあり現在は空き家同然である。

ここ相島は平和な島で今まで交通事故は”0”だし
事件らしい事件も起こったことがなく
警察の類も存在しない島なのである。
そんな島では鍵は不要。
空き家といえど、ここのお宅は鍵が掛かってない。
平和っていいねぇ。

さて、ロケセット撮影というのは大体において大変で
ここも想像したとおりに大変な撮影になった。
いくら広くて大きい家だとしても、
いざ撮影で使うとなれば狭くなってしまうものだ。
総勢40人の人間がひしめきあい、
仕事をするために場所の取り合いも行われる。
演出部などはボケボケしてるとすぐに居場所がなくってしまい
いざって言うときに
なんの役にも立たなくなってしまうから、初動が肝心。

今回は九州から地元出身の藤井君を
サード助監督として迎えたのだが
初心者なものですぐに場所を取られてしまう。
もしくは一番いい場所に行けないのである。

「おい、藤井!そんなところから
どうやってカチンコ打つんだ?」
「あ、はい」
「あ、はい じゃねーよ。早く前に行け!」
「すいません」

すいませんと言ってどいてくれるようなスタッフじゃない。
言うなれば現場は戦場であって、
突然 「どいて」 の一言で陣地を明け渡すような人間はいないのだ。

「よーい」
「はい!」
「あ、すいません」
「カット!馬鹿野郎!藤井!なにやってんだ!」
「すいません。。。」

あーあ、そうやってしり込みしてると仕事できないよぉ
どんどん前に行かないとね。
こういうことは、教えてもすぐにできる奴とそうでもない奴がいる。
こればっかりは性格の問題などが関係してくるから仕方ない。
これは映画なんだからもう少し時間はある。
徐々に覚えてくれ。
つーか、次のカットで同じミスはできないぞ。

と、育ち行く後輩を見つつ現場を進行してると

「痛っ!痛っ!」
「なんだ!どうした!」
「蜂です!蜂!」
「なにー!」
「でかい蜂の巣が!」

撮影現場のすぐ横にでかい蜂の巣があった。
幸い足長蜂の巣で、刺された照明部も死なずに済んだ。

「殺虫剤もってきてー」
「へーい」

スタッフ、俳優部は一時避難してスーパー制作部が出動する。
蜂の巣にブルーシートを掛けて。。。
シートに中に向けて、殺虫剤を!

撮影に邪魔な物=排除

あー、なんて、やくざな商売なんだろうか。。。

本日撮影したシーン
S#47  杉田家・脇の小道
S#78  杉田家・玄関
S#82  杉田家・玄関及び居間
S#21  杉田家・室内・夕方
S#21A 杉田家・裏
S#32  杉田家・居間
S#35  杉田家・居間
S#70  杉田家・居間・夜
S#87  杉田家・居間・夜

第252回
映画『千年火』撮影日記
8月13日(水)<海パン隊出動>

今日もロケセット撮影なのだが、
俳優部の都合で午前中にロケ撮影を行う。
相島の名物遺跡のひとつである
「積石塚」
が一番手である。
ここはとんでもなく広大な土地に
どこから運んだのかわからない量の石を
積上げて作られただだっぴろい墓地である。
墓地と言われないと墓地っぽくはないが
ところどころ地蔵があったり
穴が開いていたりとよく見るとすごく怖い。
夜には絶対に来たくない場所だ。
明かりとか全くないしね。

しかも、徒歩でたどりつくには
大変な労力が必要な場所にあり
機材関係は船で移動するこにした。
だから、「海パン隊出動」になった訳だ。
人間がいくら濡れても関係ないが、
機材を濡らす訳にはいかない。
船から陸上に上げる際に
そんな危険を回避するための海パン隊なのだ。

この海パン隊は制作部で組織されている。
また、地元の九州産業大学の学生ボランティアでもある。
毎日、怒られ蹴られしながらもがんばって機材を守っている。

と、そんな石塚でワンカット撮影し
今度はさっき乗ってきた渡船に乗り込む。
そう、渡船上で撮影が行われるからだ。
お盆の時期なので普段がらがらの渡船も満員の状態なので
急遽無理を言って運行時間外に一便運行していただくことに。
方向としては新宮から相島に向かう途中。
なので、相島から新宮に戻り、相島に向かう航路での撮影となる。
運行時間はわずか20分足らず。
この20分で5カット撮影しなければならない。
陸上で入念なテストをしつつ乗船。

「うおっ!」

海は荒れまくっている。
立っているのが難しい。
これでは俳優部も芝居にならない!

「ちくしょー」

が、走り始めてしばらくすると少しは穏やかに。

そうだった・・・

新宮⇔相島間の海は島に近づくほどに穏やかになるのだ。
湾の形からそうなるらしいのだが、
すげー、ラッキー!
とは言え、やっぱり揺れている。
父親役の鶴見さんも必死で立っている。
過去の主人公役の子はまだ4歳なので全く立てないから
急遽芝居を変更し、
鶴見さんが子役を抱きかかえることに。

「ほんばーん!」

渡船のエンジン音を突き抜けて監督の声が響き渡った。

本日撮影したシーン
S#64EX  積石塚
S#60    渡船上
S#56    杉田家・居間・朝
S#57    杉田家・玄関
S#88    杉田家・玄関・朝
S#87    杉田家・居間・夜(時間経過後の部分残)
S#112   杉田家・居間・夜

第253回
映画『千年火』撮影日記
8月14日(木)<雨なのに雨降らし>

雨降ってる!
いやんばかん。

ま、今日も室内撮影だからいいか。
雨はあまり関係ない。
あ、照明部の準備が大変だ。。。

しょっぱなは実景。
相島の漁村の路地に雨を降らす。
実際に雨は降ってるのだが、
映る雨と映らない雨があるから
結局は降らさないといけなくなる。
小雨なんぞは撮影してみると、
なんだただの曇りじゃんみたく映ったりするからね。
んな訳で近くの消火栓からホースを引き込み空に向け放水。

「おおお、雨だ雨。降ってる降ってる」
「カメラ前が足りない」
「へーい」

近所から水道を借りてゴムホースからも放水。

「お、いいね、じゃ撮影しようか」
「じゃ、いくよー!」
「あ、ちょっと待って!」
「え、なんですか?」
「あそこに、おばあちゃんが欲しい」
「え、おばあちゃん?
「そう、傘差したおばあちゃん

なんか、どっかのCMディレクターと同じこと言うなぁ。

「わかりました!すぐ!」

人口400人の内半分の200人が高齢の島には
おばあちゃんは売るほどいる。
すぐに発見しカメラ前へ

「よーし、じゃあ、撮影しよーか」
「うす。本番やるよー!放水!」

※  ※  ※

「はぁ?」

俺たちはTVの前で途方にくれていた。
TVを見ている祖父のシーン。
カメラは祖父の背後からTVの映像ごと撮影する予定だった。

が、TVは点けるとすぐに消える。

”ぷちん”(ON)
”ぷぅん”(OFF)

「はぁ?なんで?」

TV本体のせいなのか、電源のせいなのか、、、、
もしかして、、、、、、、、霊?
電源を抜き休ませても30秒くらいで消えてしまう。
電源回路は変更してもだめ。
もう八方塞がり。

「TVチェンジしてみますか?」
「え、つながってるんじゃない?」
「まあ、そうなんですけど、このままじゃ埒があかないし」
「うーん」
「見た目に似た感じだったら
メーカーなんてよくわかりませんよ、TVだし」
「そうかもね」

”そーかー?”
”本当にばれないか?”

「よし、新TV発注!」

「新TV入場!」
「あ、似てる似てる!そっくりじゃん。色がちょっと違うけどさ」
「え、黒とグレーだよ。まるっきり違うじゃん」
「俺には全く同じに見えるよ」

”誰だ!でまかせ言う奴は!”

「TVが違うなんてわかるってことは、
面白くないってことだから」
「そうそう、面白ければそんなとこに神経は行かないから」

”それはそうだが。。。”

「よーし、電源ON!」

”ぷちん”(ON)
”ぷぅん”(OFF)

「なぜだーっ!」

スタッフ全員が天を仰いだ。。。
まだ半分以上も残っているのに。

結局は電圧が低かったのが原因で
撮影で使っている照明を別の電源から引いたら直ったのよ。

本日撮影したシーン
S#87   杉田家・居間・夜(時間経過後)
S#76   杉田家・二階
S#21   杉田家・二階
S#75   杉田家・二階
S#36   杉田家・二階
S#37   杉田家・二階の窓辺
S#57   杉田家・二階
S#56   杉田家・二階
S#87A  杉田家・二階
S#32   杉田家・二階
S#71   杉田家・二階

第254回
映画『千年火』撮影日記
8月15日(金)<完全封鎖せよ>

フィルムで撮影している以上はラッシュといって
撮影したフィルムを一度現像して確認する作業が必ずある。
その確認作業で、
今後の撮影プランやリテイクの相談などが行われる。

「初日の自転車のシーンあったでしょ」
「ええ」
「あれ、リテイクしたい」
えっ!。。。。。。。。はい」

スケジュールを預かる僕にとってリテイクは
すげー痛い言葉である。
ないスケジュールをやりくってのリテイクはとても辛い。

「えーと、あ!15日が空いてる!」

と、先日ラッシュを見ていて思いついた。

そして15日。
場所は先日と全く違う道路。
つながりがないところだったから、
こちらの動き易い場所をロケハンしなおしたのだ。
でも、ロケハンしたのは夜。
今は昼。

全然交通量違うよー
予想していたけどさー
すげー車多いじゃん。

これは車止めが大変だぞ。

芝居内容は主人公が自転車で坂を上るというシーン。
一見簡単そうだが、主人公が車道を走るということは
後ろから来る車は止めないとならないし、
トラックで前を走って撮影するから
前方の車がない時じゃないとならない、
横の路地から車や人、自転車などが飛び出したら危険だし、
撮影を見物する人を隠さないとならなし。。。

久しぶりに東京での撮影を思い出す。
ヒリヒリした現場状況、足りない人員、流れ出る汗。

”アドレナリン放出!”

人手をかき集めろ!
路地全部に人員配置だ!

「なに、シーバーがない? んなもんいるか!
俺の声が聞こえたら止めるだけじゃ!」
「止めるか解除するかどっちかしかないんじゃ!」

「わかったら全員飛べ!」

不慣れなスタッフが多いので、
一人づつ止め方を教えに行こうとしたら
準備を終えた撮影用トラックが現れた。
もう、遅い。
このままやるしかない。
幸い夕方になって交通量が減ったし、
今がチャンスだ。

「どう長谷くん」
「いきましょう!」
「じゃ本番ね」
「…はい」

直線距離にして約400M
声の届くぎりぎりの距離かもしれない

「シーバーを持つ者は、
俺の声が聞こえたら持ってない奴に伝えて!いくぞ!」

「…本番! 封鎖!  完全封鎖だ!

「よーい!  はい!」

カメラを乗せたトラックが走り出した。


本日撮影したシーン
S#80  大くすの木(2カット残)
S#24  駅舎
S#5B  住宅街の路地(リテイク)

第255回
映画『千年火』撮影日記
8月16日(土)<いい加減にしろ!>

なんだか雲行きが怪しい。
方々から「今日は降るよ。撮影大丈夫?」などと
ありがたいご忠告を受ける。

”んなこたぁ、わかっとるわい!”
”わかってて、移動しとんのじゃ!文句あるかい!”

移動中のバスの中でもエキストラ関係から
”今日は撮影あるの?”とか
”中止じゃないの?”とか
がんがん電話が鳴る。

「中止なんかしません。がんがん雨が降らない限り!」

俺はスタッフに聞こえるようにバスの中で吠えた。
どこにそんなスケジュールの余裕がある?
誰かいい案があるなら教えてくれよ!

つーことで、現場に到着する。
でも曇天。
ここでも天気のつながりのないシーンから撮影を開始する。
サクッとワンシーンを撮影し終えて小移動。

と、ポツリ、ポツリ、

ん?

なんじゃこりゃ。

あ、雨?

まじで?

また?

また雨なの?

モーーーーーッ!
いい加減にしろ!

30分くらい天気待ちをして見ましたが
回復はしない。。。。

「すいません。がんがん雨が降ってきてるので
撮影中止します」

どこかで”そら見たことか”という空気の目線を浴びた。
笑うがいいさ
俺をあざけ笑うがいいさ
こっけいな俺を笑え!

本日撮影したシーン
S#11  漁村集落の坂道
S#9   漁村集落の坂道(撮影はしたが曇天のためリテイク決定)
S#48  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#74  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#77  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#81  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#29  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#28  漁村集落の坂道(撮影せず)
S#108 漁村集落の坂道(撮影せず)
S#110 漁村集落の坂道(撮影せず)

第256回
映画『千年火』撮影日記
8月17日(日)<70年目の雨>

朝、5時ごろに目が覚めて空を見ると晴れている。
5日連続で雨が降るなんて考えられないぜ。
しかも、今日は相島で「どんどんかん」という
お祭りがある日だし。
だいたい、こういう祭りのある日は晴れなくても
雨が降らない日が多く
俺としてもこの日だけは絶対に撮影できると思ってた。
思ってた。。。過去形だけど。。。

それから、すぐに空は真っ黒な雲に覆われた。

そう、
わかってた。
あーわかっていたともさ。
天気が悪いなんて。

毎晩毎晩天気予報は見るし
天気予報を見たスタッフがいちいち

「やばいよ 長谷くん」
「悪いらしいよ、明日」

と、報告してくるし。。。

”わかってます!でも、行きますよ!”
”中止になんてしません”

って、言うしかないでしょ。
だって、計算すると撮影予備日はないんだから。
これまでの残で使っちゃう計算なんだもん。
すげーやばい状況よ。

天気予報なんて、三割バッターなんだからさ
7割はハズレる訳だし
昨日雨と言っても晴れたりするわけだし。。。

※  ※  ※

「わしが、産まれてから祭りでの雨なんて記憶にないばい」
「本当、あんたらついてないばい」
「雨男がおるとやないと」
「ほんと、信じられんばい」

”俺だって信じられないよ!”

70年以上全く雨が降らなかった祭り
「どんどんかん」
寺から観音様を出し、
港まで移動させて漁船に乗せ、
湾内を大船団状態でぐるぐる3回まわり、
お宮に入る、
そして、また観音様を今度は陸上から
お宮まで移動させる。
どくどくの雰囲気と様式を持った相島特有の祭り。

監督を含めたB班がこの「どんどんかん」を撮影して
A班は後発で相島に向かい海上撮影をするという
ハードなスケジュールだった。
朝6時。
チャーター船でB班は相島へ
朝から雲行きが怪しかったが出発。

俺はA班だったので宿舎待機。
B班が島に到着したころすぐに電話が入った。
助監督太田からだった。

「すごい降ってる。ザーザーだよ」
「撮影にならないって監督が言ってる」

”のーーーーーーーー!”
”70年間、
雨が降らなかったんじゃないのぉぉぉぉ”

もう、目の前が本当に真っ暗になった。

第257回
映画『千年火』撮影日記
8月18日(月)<薄暮を狙え>

AM5:00出発
相島に向かう渡船をチャーターし相島に向かう。
今まで相島での天気と相性が悪い。
ロケハンも含めると勝率は1割くらいしかない。
しかも天気予報は曇りで一時雨かもしれないと出ている。

相性1割が勝つか天気予報3割的中が勝つか。。。

天に祈る思いで俺は渡船に飛び乗った。

新宮から相島までは約20分。
朝が早かったのでスタッフはだいたいこの20分間は
ぐっすりと眠る奴らが多い。
俺もいつもはそうっだった。
でも、空が気になって仕方がない。
現状この渡船には今日のメインカットで出演する
吉行さんも乗船している。
この状況で”撮影中止”なんてありえないでしょう。
もう許されざる者
ただ晴れることばかりを祈ってた。
眠いのに気になって眠れない。

到着してすぐは曇天だった。
割と仕方ないという思いで撮影開始。
が、2カット撮影した後みるみると快晴していく。

「おお!来たかチョーさん待ってたドン!」

てな具合に晴れていく
みるみるうちに雲もいい感じの空になっていく。

「よーし、巻いていくぞ、巻いて!」

いつ曇りになるか分からない。
もう天気予報なんかあてにならない。
俺は、もたつく演出部にはっぱをかける。

「早くしやがれ!このすっとこどっこい!」

撮影は俳優部、撮影部、照明部、録音部がいれば
”撮影”はできる。
つまり写すことはできる。
が、演出部が写す者、物、を準備進行しないと
なにも物語は作られない。
そして演出部が一手二手先を読んで動かないと
無駄に時間をロスしてしまう。
この状況に美術部や衣装部、メイク部が加わり
膨大な情報を処理しないとならない。

だからと言う訳じゃないが、
演出部は常に怒られ、嫌われ、
好かれ、尊敬され、邪険にされるのだ。
頑張れ演出部。

※  ※  ※

巻いて巻いて、香盤より1時間ほど早く午前の部を終了した。
想像以上に天候は晴れが続き
このまま夜まで持ちそうの勢いだ。
巻いたことでスタッフの消耗も激しいので
小1時間ほど休憩する。

そんな中、撮影チーフ新井さんが遅れて相島にやってきた。
昨日の中止判定の後、
奥さんの実家に飛行機で飛んでいたである。
そう、まさに昨日が出産日であり
めでたく健康な赤ちゃんが産まれたそうなのだ。

「おめでとう!新井さん!」

現場ではおっかない新井さんも今日ばかりはにこやかだ。

その後、大変なミスが発生し仏の顔が般若になった事件は
ここでは触れないでおこう。
演出部のミスだしな。

さて、午後の部はあまりカット数がないので
監督から余った時間で実景を押さえておきたいと相談される。

「行きましょう!実景! で、どんな?」
「うーん。そうだなぁ、路地とか雲とかさ、あ、あと猫
え?ネコ?
ネコ。
ね、猫の餌発注!

※  ※  ※

夕方。
日の沈んだ直後の薄暮の時間帯狙いで2カットある。
大体、薄暮は20分くらいしかなくて
その20分で2カットは不可能である。
が、もし、なんとかなるなら狙ってみよう。
2カット同時準備。
1カット目から松明を持った子供たちが
漁村に消えていくという内容の幻想的なシーン。
松明が危険でないかのチェックや
消火方法など最短時間で望めるように
細かい段取りを何度もチェックする。
同時にすぐに2カット目を撮影できるように
イントレも組みアングルも決め込む。

日没は19時すぎ。

18時。
控え室から白装束の子供たちがやってきた。

「松明準備!」
「テスト!」

19時。
子供たちに再度安全の確認をする。
どことどこに消火隊がいるか
カットがかかったらどうするか
もう20回くらい言い聞かせる。

「そろそろ いけそう。スタンバイお願いします」
「消火班、消火位置へ!」
「松明点火!」

「点火確認、全部点いた?」
「OK!」

「行きましょう!本番!」
「よーーい!」

本日撮影したシーン
S#46  港に面した道
S#17  港に面した道
S#26  船着場
S#15  船着場前
S#41  船着場前
S#44  港に面した道
S#10  港に面した道
S#16  港に面した道
S#25  港に面した道
S#40  港に面した道
S#23  漁村の路地裏
S#12  港近くの狭い路地
S#13  漁村の路地
S#28  杉田家近くの小道
S#45  港近くの狭い路地・薄暮
S#113 港近くの狭い路地・夜(薄暮狙えず)

第258回
映画『千年火』撮影日記
8月19日(火)<味方は天気>

昨日が夜遅くになったので香盤を少しずらして
9時出発。
今日も相島の漁村を中心に撮影。
なんの心配のないピーカン。
さくさくと撮影が進む。

「やっぱり丹波さんが来る日は晴れる」

こちらの思惑通りに撮影は進んでいく。
まさしく香盤どおり。

面白いほど撮影が順調。
こんな日ばかりだったらいいのに。。。
あ、一人ごとです。

今日ほど天気というライトをすげーと感じた日はないね。
本当にすばらしい天気とすばらしい相島の景色!

本日撮影したシーン
S#96  防波堤
S#59  港に面した道
S#61  島の坂道
S#66  船着場前・夕方
S#65  島の患者宅・仏間
S#111 島の患者宅・仏間・夜

第259回
映画『千年火』撮影日記
8月20日(水)<ちょっとラッキー>

本当は今日は撮休で、
明日からの横大路家内の準備をする予定であった。
これまで、何度も雨にやられ崖っぷちの香盤は
今日を撮休にするのを許さなかった。

7時宿舎出発。
午前中で終わる香盤とはいえ
スタッフ全員疲労困憊でバスに乗っていても
すぐに寝てしまう。

俺はいつも一番前の助手席に座るので
振り返ると皆寝てるのが分かる。

”悪いなぁ”とは思いつつも
”悪いの俺じゃなくて天気”と開き直ってもいる。
”俺だって休みたいよ トホホ”

現場は普段は立ち入り禁止の断崖絶壁で
ものすごい不思議な景色。
ここを主人公はうなだれて歩く。
打ちひしがれた気持ちと景色がダブっていくシーンである。

この不思議な景色を撮影するため
ここではレール移動が多用される。
移動車は俺が担当なのでなかなか忙しい。

が、お腹が痛い。
ものすごく痛い。
朝から痛かった。
車中のクーラーと大量の水分。
そして、現場の海風で俺のお腹は
大変なことになっているようだ
”ようだ”というのは
中は見えないからなんとなくそう思うだけだ。

ここは立ち入り禁止地区。
ほいほいと公衆トイレなんぞあるわけがない。
野○○?
いや、それだけは。。。
30歳になって野○○はちょっと。。。

「この現場でトイレってどこかな?」
「車で3分のとこですよ」
「く、車かぁ。。。」

当然我慢した。
3カットまで。

4カット目で俺は現場から消えた。
消える寸前に後方から
「はーーーーーーせーーーーーーーー」
と聞こえてきた。

「どうします?」
「ん?なにも聞こえないが。何か聞こえた?」
「い、行きましょう」

”頼んだぞ 太田&藤井”
”恨むなら遠いトイレを恨め”

戻ったら撮影がほとんど終わってた。

”ちょっとラッキー”

本日撮影したシーン
S#19   海岸沿いの崖
S#69   海岸沿いの崖
S#42C5 松林(リテイク)

第260回
映画『千年火』撮影日記
8月21日(木)<燃えろ!千年火>

7時30分宿舎出発。
今日から3日間タイトルの由来にもなっている
”千年家”での撮影が始まる。

千年家というのは文字通り千年ほど前から建っている住宅で
もう何十代も引き継がれてきた住宅である。
数年前に改修工事が行われ外見は非常に美麗になり
非常用の設備なども整って
更に何代も引き継がれる建物と生まれ変わった。
そして驚くことにここは現在も人が住んでいる。
”千年家”は同時に”横大路家住宅”とも言うのである。
とは言うものの、
裏手に別棟もあり現代的な住居もくっついてはいるが
とてもすごい建造物である。
また、ここには”法火”と言われる火が燃え続けている。
これは600年ほど前(確かそのくらい前)に唐からやってきた
なんとかという人が持ってきた火らしく
ここ横大路家のかまどで粛々と燃え続けている。
(詳しくは「千年火HP」へ)

まあ、何が言いたいかというと現場は重要文化財
尚且つ撮影で使用するかまどの火は
まさに”千年火”であり間違って消えてしまったりしたら
もうそれは大変な一大事なのである。
”法火”のかまどと普通の”火”のかまどを
撮影中で使い分けてはいましたがね。

さて、という訳で”千年家”での撮影開始。
昔からの住居ということもあり
内部はかなり暗い。
蛍光灯などが付いてはいるものの
近代建築に比べたら真っ暗に近い。

ここは照明部がもっとも恐れていたところである。

天井も低くく、照明の仕込む場所がないのである。

以上の条件により、前日の20日に撮影準備日を設定し
照明を時間をかけて仕込むことにした。
が、ここは重要文化財で最近改修工事をしたばかり。
建物内全てのところに非常用の熱感知機が設置されていて
少しでも熱を感知するとサイレンが鳴り
近くの消防署に通報される仕組みになっている。

照明と言えば熱を持つのが当たり前。
どーする?

熱感知機に詳しい町の職員の案内の元
どことどこに熱感知機が設置されているかチェックし
照明プランを練る。

僕自身はどんなライティングがされるのか非常に楽しみである。

撮影日。
ものの見事に感知機をかわして
蛍光灯ライティングを基本とした照明が組まれた。

「おおお!」

ライティングされた”千年家”は今”沖中家”という
架空の住宅に変わった。
ここではほぼ全てのキャストが登場し
縦横無尽に撮影が行われる。
3日間で撮影し終わるだろうか。
限られた時間と毎日2回ある火起こしの作業での中断で
どのくらい撮影できるのだろうか。。。

が、蓋を開けて見れば!
がんがん撮影が進む!

事前に監督が撮影進行を手助けするために
現場見取り図とカメラポジションを
書いた図面を作成してくれたおかげで
全スタッフが迷うことなく
撮影の段取りを把握し
順調このうえないスピードで撮影が進んだ。

そして、なんと!
明後日の撮影分まで消化してしまったのだ!

「うそーーーん!」

”千年家”初日にして撮影日が一日短縮されることが
確定したのだ!

千年火を使った松明のシーンもうまくいったし!
もう今日は最高!

本日撮影したシーン
S#50  沖中家・診察室・時間経過前
S#53  沖中家・居間
S#83  沖中家・診察室
S#39  沖中家・土間・かまど
S#50  沖中家・土間・時間経過後
S#91  沖中家・土間・夕方・中かまど
S#107 沖中家・土間・夕方・中かまど
S#72  沖中家・土間・かまど(追加)
S#114 沖中家・土間・かまど(追加)

第261回
映画『千年火』撮影日記
8月22日(金)<山場谷場>

7時30分宿舎出発。
撮影も折り返し地点を過ぎてもうそろそろ最後の戦いが近い。
前半の山場に海上撮影があったのだが、
雨天続きで今月後半に持ち越した。
なので、今日が我が瀬木組の最初の山場となる。

本日撮影するシーンは2シーンしかない。

が、海上撮影、ゴールシーンに次ぐ山場。
ひとつのシーンとしては一番長いシーンがあるからだ。
主人公が初めてオキナ先生と
ヒロインあゆみと出会う場面。

準備中に差込も入った兼ね合いでページ数的には
約4ページくらいある。
これはだいたい3分から4分のシーンの計算だ。
長い。
長いよ。
カットだって30くらいある。

そして、そのシーンが終わってももうひとつあり
そのシーンもエキストラが50人参加する宴であり
演出部としては相当な山場なのである。

長いシーンの冒頭。
婦人会から参加していただいた方々に出演していただく。
元々感の良い方なのか、なかなか芝居がうまい。
台詞はめちゃめちゃだけど、味がある。
丹波さんとのカラミの芝居なのに物怖じしないとこがすごい。
げたげたと笑いながら芝居している。
頼もしいというかなんというか…

主人公とヒロインが初めて目が合うカット。
このカットで物語における
主人公とヒロインの関係が確立する重要なカット。
だが、なかなか難しい。
ヒロインあゆみ役の山下さんはまだ小学校の6年生。
芝居でカメラに向かって微笑みかけるなんて大人でも大変なのに
ここはどうしてもやってもらわないとならない。
なんとか良い表情が出るように監督も山下さんも
テストを重ねる。
普段の表情が出ればもうそれでOKなのに
芝居となるとなかなか難しいものでなかなかOKがでない。
そこで、僕がカメラの後ろにいて(山下さんの目線にいて)
面白い顔をすることになった。

”え?面白い顔?”
”どーすんだ?俺の顔はそんなに面白くないからなぁ”

「頼むよ 長谷くん」
「あ、はい。やってみます。面白い顔ですね」
「面白すぎないように」
「微妙ですなぁ」
「よーい!」

”面白い顔!”

「はい!」

結果は劇場で!

 *   *   *

さすがに50人も入るとぎゅうぎゅうだ。
横大路家の土間や居間に
地元からのエキストラが約50人。
ここで祭りが始まる前の宴のシーンを撮影する。
我ら演出部は分担して奥と手前と動きをエキストラにつけていく。
長いこと待たせたのに皆さん張り切って参加してくれている。
大変にありがたい。

土間と居間にはビールケースで作られた簡易のテーブルが置かれ
そこに美術部が地元の奥さんたちに作って貰った食事を並べている。
そして、酒が運ばれると

「お!酒だ!」

さすが九州。
酒豪が多そうだ。

「えー皆さん!これから宴のシーンを撮影します!」
「各テーブルには食事と飲み物が置かれてますので
ご自由に飲み食いして楽しくしてください」
「楽しい雰囲気、がやがやした雰囲気を作りたいので
細かくあーせいこーせいとは言いません」
「どーか、撮影を楽しんでください!」

”楽しむもなにも、テーブルの上の酒は本物だ”
”なにもしないでも宴会になる”

「テストから飲ませておこうぜ」
「え、いいの?やばくない?」
「その方が絶対良い芝居になるよ。きっとな」
「…。」

俺はいちいち言わずに飲ませて、
普段の雰囲気が出るの待った。
待ちすぎるとやばいかもしれないが。。。

「おーい、こっちビールがなくなったぁ~」
「え?もう?」

”ここは居酒屋じゃねーぞ!”
”あ、美術部も追加で酒持っていくなよ!”

「監督!そろそろいい感じです!始めましょう!」
「でないと、やばいっす!」

「……うん」

本日撮影したシーン
S#31  沖中家・居間・診察室
S#85  沖中家・居間・土間

第262回
映画『千年火』撮影日記
8月23日(土)<出番だ!海パン隊!>

昨日で山場である「横大路家」の撮影が終わったので
今日は撮影の予定が無い。

だから、変更の利く場所の撮影を入れる。
スタッフは昨日から

「明日は?撮休?」

と、寝言を言っている。
どうやら、とっても休みたいらしい。

「え?撮休?誰がそんなデマを?やりますよ撮影」
「あ、、、、そ、そうだよね。やるよね撮影」

悲しそうな背中を向けるスタッフ。

でもやるよー!撮影やるよー!

と、いうことで

7:30宿舎出発。相島へ。
今日は相島の名所でもある積み石塚で撮影。
先日も行ったが今日は
本格的に積み石塚でのロケーションである。
ここは主人公 聡が自分から
コミュニケーションを取る重要なシーンであるため
香盤上ゆるやかに組んでおいた。

準備に2時間のゆとりを取り
相島の漁港から積み石塚まで船で機材を運ぶ。
制作主任が叫ぶ。

「海パン隊出動!」
「へーい」

撮影ボランティアの九州産業大学の面々が
もそもそと洋服を脱ぎだす。

「海パン隊乗船!」
「へーい」

海パン隊は陸と海上から機材をどんどん船に載せていく。

「機材を絶対に濡らすなよ!」
「へーい」

僕は機材と海パン隊の乗り込んだ船を見送り
陸路を積み石塚へ向かった。
軽トラの荷台に乗り相島の海岸線を走る。
抜けるような青空が今日の撮影がうまくいくことを想像させる。

海岸線をトラックで走ること10分。
積み石塚に入り口に到着。
積み石塚にはここから更に20分ほど歩かないとならない。
トラックから降りると、
海パン隊を乗せた船が岸に着くところが見えた。

船から陸に機材を移動させるのに
両足を海に入れ、びしょぬれになりながら運んでいる。

「いいぞー 海パン隊!」

なぜそこまでして、働くのか?
映画などの映像の仕事はそんなに魅力的なのか?
たまに不思議になる。
びしょびしょになってまで、
毎日怒られてまで、
睡眠時間もろくに取れないのに、
ギャラだって満足のいく金額は支払われないのに、
いったいなぜだろうか。

「よく、映像の仕事がしたんです。お金なんかりません!
なんでもやりますから手伝わしてください!」

なんてよく聞く話しだが、、、、
あ、この話しは撮影日記からテーマがはずれるから
また、普段の「カチンコ日記」で書くとする。

本日撮影したシーン
S#62  島の海岸
S#63  緑のトンネル
S#64  積み石塚の海岸

第263回
映画『千年火』撮影日記
8月24日(日)<真夏の昼の夢>

7:00宿舎出発。
そろそろ香盤を立て直さないとならない。
もうスケジュールは崩れに崩れている。
このままだと9月になっても終わらない。

「すいません。今日は詰め込みました。
もし撮りきれなくてもなんとかしますから、
皆さんがんばりましょう!」
「……」

”うっ、視線が痛い”
”皆、香盤を見る目が尋常じゃない”
”痛たたたたたた、そんなに俺を見るな。俺のせいじゃない”

ムスッとしたまま思い空気のロケバスは現場へと移動する。
16日に撮りこぼした分の撮影。
都合6シーンある。
しかも天気は晴れたり曇ったりのはっきりしない様子。
ワンカット撮るたびに晴れ待ちが入る。
午前中には6シーン撮り終えて移動しないとならない。
撮りきれてなくても移動しないとならない理由もある。

俺としてはなんとしても撮り終えて移動したい。

「晴れやがれ!こんちくしょー!」

まったく晴れない。
俺の似顔絵付きテルテル坊主がよくなかったか。
空の機嫌を損ねたのかもしれない。

いや、そんな迷信はどーでもいい。
晴れろ!天気予報は晴れだって言ったじゃないか!
この天気は晴れじゃない!

「長谷くん、今日は晴れるの?」
「晴れます。もうすぐ晴れます。
午後に向かって太陽は出ます。絶対に」
「ふーん、じゃあ待つか」
「え?」
「晴れるんだろ?午後から」
「いや、午後には移動しないとならないんですが」
「でも、つながらないじゃん、こんな天気じゃ」
「ええ、、、」
「晴れにしてよ、そしたら回すよ」

”くぅ~ 撮影チーフは厳しいこと言うねー”
”晴れないと撮影できないのは百も承知なんだけどなぁ”
”そこをなんとか。。。ってやつじゃんかぁ。状況的にはさぁ”
”もう、しょうがない、諦めて、移動するか。。。。”

と、思ったら雲が切れた。

「お!スタンバイ! 本番!」

 *   *   *

録音技師がそわそわしている。

「どうしたんすか?」
「いや、別にぃ~♪」
「なんすか、気持ち悪い」
「なんでもないよぉ♪ちょっとマイクをね♪」

”ん?今まで使ってないマイクがある”

「このマイクは?」
「ん?これは今日のために使おうと思ってた特別なマイク♪」
「はぁ、そうですかぁ」

夕方の撮影は松林でサックス奏者が現れるシーン。
サックス奏者は渡辺貞夫さん。

”あれ?録音技師さん、渡辺貞夫さんにサイン貰ってる!!”
”はは~ん そういうことかぁ。ファンなのねぇ~”

「俺ねぇ、CD全部持ってるんだ♪」
「もう、自分のマイクで直に聞けるなんて最高に幸せ♪」

さすが録音部!
なんだかうらやましい。

本日撮影したシーン
S#51  沖中家・裏手の水場
S#43  漁村集落の坂道
S#77  漁村集落の坂道
S#81  漁村集落の坂道
S#9   漁村集落の坂道
S#14  食料品店前
S#55A 松林

第264回
映画『千年火』撮影日記
8月25日(月)<悪夢>

4:00宿舎集合出発
まだ空は暗い。
8月7日に残を出した分を撮影する。

夜明け前の設定とクライマックスのゴールシーン。

前回は昼を過ぎてからの大嵐で撮影中止。
悪夢のゴールシーン。

天気予報的にも午前中が良いという。
俺はもう天に祈った。
祈るしかない。

この無神論者の俺が天に祈るってことは
相当なことですよ。

まあ、いい。

砂浜で夜明け前のシーンを撮影する。
日の昇らない真っ暗なうちから
我々はクローラーと呼ばれる「戦車」のような
キャタピラ車で機材を砂浜に運搬する。
ちょっとした200Mくらいの距離でも砂浜での作業は
疲労するのでこういった「戦車」があるとないとでは大違いだ。

が、

この戦車はすごくうるさい。
そして遅い。
砂浜で主人公は走るというのに
遅すぎて追い抜かれてしまう。

だから、前日の夕方から砂浜を整地した。
真っ平らに。
そして、トラックで激走。
運が悪ければスタック必至の強行撮影。
前回は戦車で失敗し
スタックで失敗し
結局撮影できずに終わった。

「悪夢」が蘇る。

見た目にはグレートに平らだ。
”大丈夫。多分大丈夫だ”
前日の夜にも確認したじゃないか。
”大丈夫だ”

「平トラ準備!」
「へーい!」
「早くしねーと、日が昇っちまうぞ!」

整地された砂浜にトラックがやってきた。
到着するまではなんとか大丈夫みたい。

トラックの荷台にカメラをセットし
なるべく多く人間を乗せる。
重くした方が安定するらしい。
なるほどね。

「じゃ、行こうか」
「はい、ほんばーん!」
「トラックスタート!」
「よーい!」
「はい!!」

ゆっくりと走り出すトラック。

「もっと!もっとスピード上げて!」

うなるエンジン

「もっと!もっと!」

トラックに10人ほどの大人を乗せて
ぎゃーぎゃー言いながら砂浜を走る姿は
ずいぶんと滑稽だったはずだ。

「カット!OK!」

”よし、これで一つ残分消化したぞ”

「OK!じゃあ、砂浜ゴールシーンの準備開始!!」
「へーい!」

 *   *   *

砂浜のセットの向こうから歩いてくるエキストラ。
前回、「エキストラ少ないよ」と監督が言ったので
3倍の300人に増えた。
すごい数の人が砂山を越えてやってくる。

前回参加した人も今日が初めての人もいる。

「今日は演出部の見せ場だから」

俺はセカンド太田、サード藤井にはっぱをかける。
とはいえ、太田は衣装メイクで現場からいないことが多いし
サード藤井は初めての現場で訳がわかってない。

”つーことは。。。。あー、そーか、俺一人?”

ニコニコしながら記録の阿南女史が俺に
「チーフ!はい!」
とトラメガを持ってきた。

「みなさーん!こちらへ集合してくださーい!」

砂山を降りてくるエキストラの後ろの空に
暗雲が見えている。
勝負は午前中どころじゃない!

監督、カメラマン、撮影チーフと俺とで
撮影の段取りを話しあう。

”どういうカットを撮影するか”
”それにはどういった方法が早いか”
”事前に分かる準備はあるか”
”天候はどれくらいもつか”

やれることは全てやろう。

まずは移動カットからだ!

俺はまだ自分の背後に
暗雲が迫ってきていることを知らなかった。
とてつもない暗雲がきていることを。。。

 * * *

エキストラが風に飛ばされそうになっている
テントを必死に掴んでいる。

”8月7日の悪夢”

俺の目の前で飛ばされそうなテントは
7日に見た光景と同じだった。

強風と小雨。
強烈な砂嵐。

大半のカットは13時くらいで撮影し終えた。
しかし、それは曇っていて妥協しての撮影だった。

「晴れるのならもう一度撮影しなおしたい」

と、監督が言うのも当たり前だ。

が、今俺の目の前にある光景は

「悪夢」

前回の悪夢。
涙が出るほど悔しい。

俺は打ちひしがれた。
もう撮影なんて嫌いだ。
二度とくるか九州なんて!

と、思ったそばから!
暗雲の先に光明が見える。
まさに光明。
一筋の光。
あんなに太陽が綺麗なんて思ったことがないくらい。

「ほら!あそこの空は割れている!」
「もうすぐ晴れる!きっと晴れる!」

悪夢は過ぎ去ったか?

本日撮影したシーン
S#116        砂浜・夜明け前・大ドリーバック
S#104C2/C3   砂浜・ゴール
S#106C58~C72 砂浜・ゴール
S#106C74/75   砂浜・ゴール

第265回
映画『千年火』撮影日記
8月26日(火)<最後の休息>

今日は正真正銘の撮休。
まさに最後の休息である。

ただ、明日からはロケセットの撮影があるので
セットチェックだけする。

昨日の夜もそうだったが、
こういう日の夜は皆気の抜けた顔をしている。
朝から酒を飲んでいる奴や
布団から出ない奴など。

明日からはまた地獄の香盤が待っていますよ。

さて、俺もダーツやりに行こう!

本日撮影したシーン
撮休なのでなし!

第266回
映画『千年火』撮影日記
8月27日(水)<あふれる熱い涙>

7:45宿舎集合出発
今日は主人公が
まだ東京にいた頃のシークエンスの撮影。
主人公と今は亡き父親との思い出のシークエンス。
ここほど重要な場面は無い。

山場である。

朝からは砂浜(またかよ!)で撮影。
父と息子の思い出の一場面。

かなり曇天。

小雨まで降ってくる始末。
が、なんとか撮影する。

そして、東京マンションの設定の住宅へ移動する。

いつも明るくてはしゃいでいる
主人公村田少年が
今日はいつもよりナーバスになっている。

”そうか、今日は台詞があるからな”

子供といえども主役は主役である。
妥協は許されないし許さない

”がんばれ村田”

 *   *   *

関東のマンションに比べたら相当に広いマンションなのだが
撮影スタッフが入るともうどこでも狭くなってしまう。
そして、暑い。
雨が降ってきて、涼しくなったとはいえ
やはり夏である。
暑いものは暑い。

俳優部、スタッフとも顔を真っ赤にして働いている。

尚且つ、今日の分量は半端じゃない。
ごめんよ皆。

しかし、”優秀な”我々は確実に撮影をこなしていく。
すごいぞ<瀬木組>
もう、日程的には残は出せないし
リテイクもできない状況でもある。
まさに山場なのだ。
ここを通らないとクランクアップはない。

 *   *   *

主人公村田と父親役の鶴見さんは過去に
何度か仕事をしたことがあるらしく
息が合っている。

父が手作りで主人公にプレゼントをする。

個人的に一番好きなカット。
とめどなく涙があふれてきた。

二人の芝居にやられた感じ。

なぜやられたかはここでは触れないでおく。
俺、個人的な思いだから。

上映を見たら
「あーここで 長谷 は泣いたのかぁ」
と思ってください。

本日撮影したシーン
S#2   砂浜
S#3   東京・マンション内・夏・昼
S#5C  東京・マンション内・昼
S#42  回想・東京・マンション内・昼
S#52  回想・東京・マンション内・夕方
S#6   東京・マンション内・夜
S#20  回想・東京・マンション内・夜
S#31  回想・東京・マンション内・夜
物撮り

第267回
映画『千年火』撮影日記
8月28日(木)<悪夢/暗雲>

前日の天気予報により7:00天候判断。
8:00宿舎集合出発。
今日撮影に向かう場所は普段人の入ることのない山の中。
だから、今日雨が降ってなくとも前日の雨で
山道に上がれないなんてことがある。

俺と制作藤本さんとで現場に向かう。
事前に撮影できる環境にあるか見るためだ。

現場は宿舎から約30分くらいのところ。
山が近づくにつれてだんだんと真っ白になっていく。
真っ白なのは霧。
標高が高いので現場全くの霧の中。

「ダメだね こりゃ」
「うん」
「地面はなんとか大丈夫そうだけどねぇ」
「空がこれじゃぁねぇ」

「午前中は中止!午後から準備開始。14時集合出発!」

午前中は捨てて午後に勝負を持っていくことにした。
午後の撮影はエキストラを50人ほど入れての砂浜のシーン。

絶対にこぼすことはできない。
多少の雨でも撮影はしなければならない。
天気予報が午後から晴れることを示している。

宿舎に帰るとスタッフが午前の中止を聞いて
安堵したのかごろごろとしている。
そりゃそーだ、
昨日はマンションの撮影で12時頃まで起きていたのだから。
俺だって眠いさ。

14:00
雨が降っている。
「え?出発するの?晴れるわけ?」
「……晴れます」

”悪夢だ!”

俺の悪夢は暗雲に変わり
九州新宮を覆いつくしている。

砂浜に着くなり大雨が振っているじゃないか!
バケツをひっくり返したような雨っていう奴だ。

”本当に止むのか?”

俺の目の前の砂浜には10メートルほどの竹と木材で
できた円錐が立っている。
今日はこれを燃やす。
灯油をぶっかけて燃やす。

木材は豪雨を吸い込み砂浜の色や形も変わってきている。

”雨が止んだとしても本当に燃えるのか?”

この豪雨の中、俺たちは砂浜にレールを引くべく
整地作業を進める。
穴を掘りトンボで平らに。
雨で砂が崩れてもひたすら平らに。。。

撮影時間は迫ってきている。
狙う時間は薄暮。
日没から10分か20分くらい。
でも、今は豪雨。
呼んだエキストラも全く集まってこない。

ただ、雨の中立ち尽くすしか俺にはできなかった。

「チーフ!監督が呼んでます。すぐに海の家まで!」
「…はい」

 *   *   *

「長谷くん。天気予報は?」
「午後から晴れるという予報から変更ありません」

二人の目の先の豪雨。

「そうか」
「……」
「今日の砂浜を明日に持っていくことはできる?」
「明日も薄暮の撮影が予定されてますから、諸々伸びてしまいます」
「明日の薄暮より今日を優先したいんだ」

雨音が会話をさえぎる。

「…明日の薄暮をオミットしてでもですか?」
「…う~ん。そうだね。明日より今日のシーンが重要だね」
「わかりました。段取りしますので判断は待ってください」
「わかった。よろしく」
「はい」

俺は携帯電話を出し各方面に連絡を取ろうとしたら

「あ、雨あがった?」

「え?まじで?」

俺は外に飛び出して空を見た。
雲が割れている!
そして、太陽が!

俺は猛ダッシュで海の家に走った。
小ざかしい扉を勢い良く開け叫んだ

「いける!監督!いけます、いけますよ!」

これは最初で最後のチャンスに違いない!
行くぞ!野郎ども!

本日撮影したシーン
S#109  砂浜・薄暮

映画『千年火』撮影日記
8月29日(金)<最後の地上戦>

6:00宿舎集合出発
今日で地上での撮影は終了する予定である。
明日からは海上撮影が待っている。

昨日の撮影残分。
16日の撮影残分などの
地上戦での残分全てが今日に集約している。

本当に全て撮影しきることができるのか。

しかも、今日は九州のTVの取材があるらしい。
ちょっと面倒なのは言うまでもない。
横大路家でも取材は来たが箱モノだったので
なんともなかった。
が、今日はロケで
しかも通常のスピードで撮影していたら
間に合わない分量がある。

あー心配。

「大丈夫、大丈夫」
と、ニコニコとしてるプロデューサー。

「そのニコニコ顔が心配です」

その心配は当たったのだが
ここでは割愛させていただく。

と、まあ、午前午後と本当にいろいろあった。

今日のメインディッシュはやはり薄暮。
地上戦の最後は薄暮で行こう。

昨日撮影した10Mの竹円錐シーンの前後。
海を渡りきった子供たちだけが
松明を持って漁村を歩く。
その歩きを幻想的にするべく
ここでもまた薄暮を狙う。
薄暮2連チャン。
20分ほどしかない薄暮の時間帯に
2カット撮影しないとならない。
1カット10分で撮影。
子供たちや、
松明の準備、
エキストラの配置、
カメラポジションなど
明るいうちに決められるところは
全て決めてしまう。

後は薄暮を待つのみ。
この緊張感がたまらない。
わくわくする。
怒号や罵声が飛び交うことは必至だ。

もう楽しみで仕方ないよ!

日没が近くなると
撮影チーフは露出計で光の量を計りだす。
そういう時はだいたい俺と目が合う。
そして

”まだまだ、やれない”
”ぼちぼち行くぞ”

みたいなことをアイコンタクトしてくれる。
さすがに1ヶ月いるとこういう関係になるもんだな。

日没。
”ぼちぼち、いける”

「スタンバイ!」
「早くしろ!ばかやろう!走れ!」

本日撮影したシーン
S#72   森の入り口
S#79   くすの木の原生林
S#30   沖中家・外観
S#31A  沖中家・外観
S#38   沖中家・外観(欠番)
S#49   沖中家・外観
S#92   沖中家・外観・夕方
S#106A 沖中家・外観・夕方
S#29   漁村集落の坂道
S#108  漁村集落の坂道・薄暮
S#110  漁村集落の坂道・薄暮

第269回
映画『千年火』撮影日記
8月30日(土)<船上に燃ゆ>

7:30宿舎集合出発。

相島決戦1日目。
何度も戦いを挑み天気という敵に負けてきた我々だが
今日はなんとか戦えそうだ。

本日のメインは船上での芝居がメインである。

主人公が海を泳ぐのを見守り励ますという芝居。
ずっと船に乗りっぱなしという条件の中で
吉行さんや金内さんは非常にすばらしい演技を見せてくれた。
僕の乗るゴムボートを目線にしていたので
僕に向かって芝居してくれるので
なんか得した気分でした。
僕を励ましているみたいで。。。

”もっと励ましてください”

なんてな。

本日はフォーメーションも簡単だし
基本が芝居なので、すぐに撮影は終了した。

『明日、最終決戦。』

本日撮影したシーン
S#93CE   船上
S#97C2   船上
S#97C4   船上
S#99C2   船上
S#99C5   船上
S#102C1  船上
S#102C7  船上
S#102C9  船上
S#102C11 船上
S#102C12 船上
S#102C13 船上
S#102C14 船上
S#105C5  船上
S#105C4  船上
S#102C10 船上
S#89     海・船上・揺れに耐える聡
S#93     時間経過前・聡と幸雄

第270回
映画『千年火』撮影日記
8月31日(日)<最終決戦!さらば愛しき新宮町>

7:00宿舎集合出発。
最終日一発目は実景から撮影開始。
日本海の荒々しい海辺の実景。
この新宮漁港と相島の間は素晴らしく綺麗な海で
透明度が5、6mはあるんじゃないだろうか。
相島に渡ると更に海は綺麗で海外で見た海よりも
数倍綺麗じゃないだろうか。。。

そして、そんな綺麗な海で本日最終決戦がある。

最終日に相応しく撮影は大きいものになった。
総勢15隻の大船団に7艘の船外機付きボート。
泳ぎ手が10名にライフセーバーが5人。
ダイバーが2名のフルラインナップである。
もう、何度も何度も打ち合わせばかりで
結局作られなかったフォーメーション。

『フォーメーション U 』

これは、泳ぎ手、ライフセーバーを真ん中に
大船団がぐるりと囲むように組まれる。
”U”の字の一番下にカメラ船とゴムボートがある。
このフォーメーションはどこにカメラ船が来ても
船団が映りこむように考えられたフォーメーションで
全ての起点がこの形となる。

「カメラ船”あいしま”基点に到着しました」
「了解。全船団に連絡。”あいしま”を軸にフォーメーションを組め!」
「了解!」

”今日は思ったより潮の流れが速い。大丈夫か。。。”

「こちら○○丸。潮が早くてフォーメーションが思うように組めません」
「了解○○丸。その位置で構わないから船首を立花山に向けろ」
「了解!船首を立花山に向けます」

”なかなかフォーメーションが組めない。やはり机上の空論だったか。。。”

と、思ったのもつかの間で
すぐにフォーメーションは形になった。

”さすが漁師!すげー!”

1時間もブリーフィングに時間を割いたおかげか。
潮の流れもなんのそのでフォーメーション完成。

「うん。いいよ。これで行こう!」
「了解!  太田!谷さん! ”ドボン”位置まで移動!」
※注 『ドボン』とは泳ぎ手の子供たちを
船から落とすことである。

「太田了解!」
「谷了解!」

俺はカメラ船の横につけたゴムボートから全体を見渡し
大小2個のトランシーバーで指示を出す。
また、ゴムボートにはBカメラも乗っていて
EXカットを撮影するため臨機応変に動くことになっている。
はっきり言って頭がパンクしそうになる位に忙しい。

「いいよ!そこで”ドボン”させて!」

船団に囲まれた中心に子供たちが次々と”ドボン”していく。
海にはもうくらげがうようよいてはっきりいって やばい。
いくら『くらげローション』を塗ったからといっても。。。
えーいままよ!がんばれ!子供たち!ごめんよ!
すると!

「ぎゃー!助けてぇ!痛いよ!助けて~!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「どこだ!」
「あ!」

なんと、飛び込んですぐに一人がアップアップしてるじゃないか!
やばい!

ライフセーバー!出動!」

と、言う前にライフセーバーは急行してた。

「ふう。ライフセーバーがいて良かった」

※後で聞いてみたら子供はプランクトンがゴミか何かにぶつかったのを
くらげに刺されたと勘違いしてパニックになったらしい。

パニックになった子供をいち早くボートに上げ、
撮影は続行することに。
今の一件で子供たちが不安になってなければいいが。。。

ドボン再開! 準備するよぉ!」

血も涙も無い我々は容赦なく撮影する。

「よーし、いい。いくよー!ほんばーーーん!」
Aカメラと監督を乗せたカメラ船”あいしま”が動きだした。

いよいよ最終海上撮影が始まったのだ。

 *   *   *

声が枯れるほど叫んだ。
ゴムボートの板が割れるくらい叩いて怒り狂った。
Bカメラで好きなカットを撮影した。

もう楽しくて仕方ない。

 *   *   *

楽しい時間はすぐに終わりを迎えた。
13時には大船団撮影を終えた。

”よーし、クランクアップかぁ”と思ったら違った。
つーか、今日の朝。。。。

「長谷くん。島の実景と観客のEXカットは今日撮るんでしょ?」

”しまったーーーーーーーーー!”
”忘れてたぁーーーーーーーー!”

「ええ、今日撮りましょう。砂浜で」

”うわわわわーーーーーーー!”
”段取りしないとぉぉぉぉぉぉぉ!”

俺は青ざめながら携帯で段取りしまくった。
最後の最後にしくじったら大変だもの。

「海上撮影は以上で終了です!
それと、主人公村田君はこれにて全シーン全カット撮影終了です!」
「この後我々は、新宮浜に移動しEXカットの撮影を開始します!」
「へーい」

 * * *

新宮浜。
ここではいろいろあった。

丹波さんがいる時だけピーカンになるという怪現象。
たった数分で現場が砂嵐に見舞われる異常事態。
制作部が炎天下で2名倒れるという珍事。
整地も虚しくトラックがスタックして朝3時起きがパー。
大雨の中待ち続け、一瞬の晴れを狙ってできた薄暮撮影。

そんな砂浜で急遽エキストラに集まっていただき
ゴールシーンの観客EXカットの撮影。

そして、ラストカットは。。。。
夕方の砂浜から見た相島の実景。
やはり最後も相島である。

涙が出るくらい美しい島影。
思い出すのは天候に悩まされ続けた辛い日々。
いつか楽しかったと言えると思うけど
今はまだ『大変だった』としか言えない。

初めて、映画で助監督チーフをやった。
更に香盤の奥の深さを知った。
スケジュールの組み方で天気を味方につける方法や
スタッフへの配慮の仕方や折衝の方法。
本当に勉強になりました。

赤く燃える太陽が相島を照らし
美しい島影を見せた頃
映画「千年火」の撮影が終了した。

クランクアップ。
お疲れ様でした。

さらば!愛しき新宮町。
さらば!美しき相島。

本日撮影したシーン
S#95C4   海上
S#95C2   海上
S#97C3   海上
S#93A    海上EXCut
S#95C1   海上
S#93A    海上EXCut
S#106    砂浜EXCut
S#55AC5   松林・島影

追記:映画『千年火』は2005年のドイツ:ベルリン映画祭の
キンダーフィルム部門(児童映画部門)に正式招待されました。
ベルリン映画祭日記もありますので合わせて読んでね。