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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

おめでとう!だ。

ディレクション 日記・コラム・つぶやき

3月14日
小走りで地下鉄の構内を移動していた。


今日は午前中と午後と撮影が別場所であり
同じ案件ではあったが、スタッフは別で準備も別で。
午前中の収録が終わった段階で
片付けを尻目にスタジオへ移動した。

が、小走りで移動なんてしない。
撮影前に焦ったりしたくないし、
多少の遅れは許容できるし、
許容するのは僕自身である場合が多い。

さて…

スタジオでの撮影は困難を極めていた。
直前での台本決定もあり
なかなか思うような進行状況にならない。

が、それは仕方がない。
台本の遅れは、
VPにはよくある話しだし、
むしろ現場で変わるって場合も多い。
変わるっていうよりもひっくり返るってこともある。

ま、だから、僕は焦らずに役者のペースに付き合うことにした。
焦って出来るのなら、いくらでも焦ってみるが
そんなことをしても良い結果が出るはずはない。



だから、スタジオ撮影が3時間押していても
僕自身は全く焦ってなどいないし
あと5分あれば、もっとうまく出来るのなら
5分待つよ!という気持ちだった。



が、後残り2カットというところで
バイブ無し、無音状態の携帯が光っていた。
表示は「自宅」からだった。

「自宅」と表示されるのは珍しい
何故なら、奥さんなら携帯だし、
息子も携帯からかけてくる。

だって、無料だし。

だから、「自宅」からの電話はおのずと
小学1年生の娘からに違いない。



あれ?今日、留守番している日だったけ?


と、今から思えば、トンチンカンなことを考えて電話に出た。

「パパ、今日は、何時に帰ってこられるの?」


案の定、娘からだった。

「ああ、ゴメン、撮影が遅れていてね。で、留守番してるの?ママは?」

「ママも、お兄ちゃんもいるよ。パパは何時に帰ってくるの?」

と、ここまで聞いて、ハッとして、愕然として、急に汗が出て
とんでもなく焦ってくる自分がいた。





《今日は、娘の誕生日だ!!!》





あわあわと電話を切り
スタジオの時計を見た。

もうすぐ19時30分だ。

スタジオから自宅まで
最速でも40分はかかる。



だが、焦ってはいけない、
でも、焦りたい!

いや、焦ってはいけない。

僕は何事もなかったように
撮影を進めた。


もう何でもいいからOKって言っちゃえよと
心の中の悪魔くんが言っている。
そうよ、この場合は仕方がないわ、
OKって言っちゃいなさい!と
天使ちゃんも言ってくれている。

「えーと、もう一回。もう一回やろう、次はきっと出来るよ」

そんな根拠などありはしないが
手を抜くこともありはしない。


撮影が終わった瞬間。


「ごめん、ほんとゴメン。すぐ帰らせて。
 皆さん、おつかれさまでした!ありがとう!」

スタジオから駅までダッシュし、
駅で電車を待つ間、検索をかけて
一番早いルートを出し、
検索よりも一本早い電車に乗るために
乗り換えにスムースな車両を選び、
自分が歩く部分においては可能な限り小走りをした。

娘には迷惑かけたけど
きっと良いものが撮れてる。

じゃ。