新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

終わって欲しくない撮影。

2月26日

撮影は早くも二日目である。

そして、もう、僕は

【撮影が終わって欲しく無い病】という

不治の病にかかってしまったようで、

どんどん撮影したいのに、

どんどん撮影すると早く終わっていくという

ジレンマというか当たり前の出来事に

頭を抱えてしまった。

早朝。

またも僕は朝5時30分に目が覚めて

7時45分に新宿集合にもかかわらず

7時前には新宿でふらふらと徘徊していた。

が、集合時間5分前になって

急に電話がなった。

スタバで台本に赤を入れていたから

電話が鳴るまで時間を忘れていたんだけども

電話の相手は助監督のK君だった。

集合の5分前だから、

僕はてっきり目の前に止まるロケバスに

K君がいて、僕がぎりぎりになっても来ないから

心配になって電話をしてきたんだろうと、

そう、思った。単純にそう思うほうが自然だし、

だいたい、映画の現場で

チーフ助監督を主にやっているK君が、

まさか、撮影二日目で、

それは前日は夕方には終わっているし

今日だってそれほど朝早い集合じゃないし、

それも新宿のスバル前だから

誰もが遅刻とか、そんなことを、

まず思わないような状況で、

まさかの大遅刻。

しかも、何の関係も脈絡もなく

APのTさんも大遅刻。

「す、すいません。監督、寝坊しました…」

「…ま、まぢで?」

「申し訳ありませんが、○○さんと○○さんを

 バスの乗せて先に出発して下さい…」

そうなのだ、もう一人の助監督は

先発をしていてすでに現場に向かっている。

だから、バス集合に動ける

演出部ないし制作部は、俺しかいない。

つまり、俺がバスの乗る人間をチェックして

バスのドライバーに【出発の合図】を出し

現場に向かう…。

「○○さんと○○さんだな?分かった」

これでも、数年前までは助監督である。

そんなことは出来ませんなんていう

軟弱な監督ではございませんですのよ。

スバルビルの前で

俳優部を発見!

「あ、どうも!」

「あ! 長谷組の方ですか?」

「ええ、長谷です」

「え?」

まさか、監督が迎に来るとは

思っていなかったようで、

ものすごく驚いていた。

「実は助監督が遅刻しまして」

「あー、そうですか、大変ですね」

「大変ですよー」

いや、一番大変だったのは

撮影二日目にしてラストシーンを撮影したこと。

口ではどんな順番でもOKと言ったけど、

やっぱりね、ラストシーンはラストに撮りたいよ。

気分としてはやっぱりそーでしょう。

まあ、それは俳優部を含めて全員が

思っていることでしょうから

あえて、ワガママを言って困らせても仕方無いです。

でも、雨が降っています。

ラストシーンは青空に繋がるシーンなんです。

だから、雨なんてNGです。

でも、どんどん準備が進んでいます、目の前で。

多分、僕が中止と叫んだら中止になると思います。

でも、別日に同じ撮影が組める保証がどこにもありません。

現状小雨の状態でも撮影をしなければ

かなり大変なことになりそうです。

でも、撮りたくありません。

空が青い無いから。

雨がポツポツ言ってるから。

皆分かっているのに

APなんて中止と言われるのが嫌だから

僕に近寄りもしません。

あー、もー、

今日はクレーンなのに!

ぐわーんと上がって雨かよ!

じゃ。

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