……。

7月9日
前に進むのも
後ろに戻るのも

そう、簡単なことじゃない。

一番簡単なのは
その場でしゃがみこんで仕舞うこと。
何もしないこと。

だから…

いえ、だからじゃありません。

やります。何でも。

はせ

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現在、長谷巌一郎に
お仕事をご発注いただいている皆様への
決意表明的な何か

7月9日
皆様。
BCCにて一斉送信させていただいています。
申し訳ありません。

すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
現在、私の義理の父の様態が思わしくありません。
先月の終わりにも、
様態が悪いなか経営している店の記念行事がありまして
私も家族として参加させていただきました。
ここ数日は、
その映像の編集に費やしていた次第でもあります。

さて、本日になり、
いよいよ義父の様態が悪いと知らせがありました。
急遽、子ども二人を幼稚園から迎えて、
○○県に出向いております。

私にとって、　
”お父さん”　と呼んだ方は三人います。

一人目は全く血縁の関係の無い、
ほぼ養父のおじさんです。
小学校高学年の時に行った旅行中に
いきなりお父さんと呼べと言われたこと
今でも鮮明に記憶しています。

二人目は実の父親です。
物心ついた時にはすでに母子家庭でした。
その後、おじさんが現れるのですが、
その方もいきなり蒸発。
次いで登場したのが”死んだ”と言われていた
実の父親でした。
選挙に行く年齢になってから、
初めて会った人間を
”お父さん”と呼ぶには勇気が必要です。

三人目が、奥さんのお父さんです。
最も素直に”お父さん”と呼べた方でもあります。
誰よりもやさしくて強くて
…理想の父親像でもありました。

僕の理想のお父さんが、
死に直面しています。

もう何もすることが出来ないそうです。
衰弱が早く、
ホスピスに移動することも出来ないそうです。
直視できませんでした。

でも、そんな僕をお父さんが呼びつけました。
大きな手を差し出し、僕の手を握り、

「頼むぞ。頼むぞ。」

他にも色々と言ってくれましたが、
もう言葉を聞き取るというよりも、
握ってもらった手から伝わってきたんです。
妻を、子どもを、頼むぞ。と。
今までも幸せだったけど、ずっと続けていってくれ。と。

「わかりました。大丈夫です。」

なんて、素っ頓狂な返答でしょうか…
どうして、力強く、任せてください！って
言えなかったのでしょうか？

お父さんを苦しめた
元凶であるタバコ辞めたんですよ！
どうして言えなかったのでしょうか？

これが、僕という人間なんでしょうね。
お父さんは微笑んでくれました。

お父さんは仕事も家族も両立させていました。
孫の運動会や行事にも積極的に来てくれました。
二週間に一度は東京に遊びに来てくれました。

とっても時間を作るのが上手な人だったんですね。

だから、僕も理想の父親になるべく
皆様から頂いたお仕事の締め切りや確認・チェックなど
怠るつもり一切ありません。出来ません。
長々として文章でご心配をおかけしましたが、

これは僕の決意表明であり、

この時期に関係を頂いている皆様には
かなり迷惑な話しかと思いましたが、
僕の駄文に付き合っていただきました。

本当にありがとうございます。

残るには残る理由がある。

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企　画　・　演　出

　 長谷　巌一郎

-はせ げんいちろう-

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