新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

強い風望む。

4月26日

青空を浮かぶ白いビニール袋を見た。

フワリとユラリと飛ぶビニール袋は

電柱の遥か上空を優雅に浮かんでいた。

都会の空は狭い

そのまま雲と同化したいかのように

空高くビニール袋は舞っている。

ある番組企画を請け負った僕は

(成立なくして報酬なし!)

いつもの喫茶店でいつもと違う

窓際の席に座っていた。

夏がすぐ近くまできている。

青空は少し白かったが

雲の白とのバランスが絶妙だ。

しかし、光に反射し白を際立たせていた

ビニール袋はスポットライトを受けた

主役のように優雅であり

僕の目を奪った。

連なるいくつもの建造物の上

屋根には直線的なアンテナがあり

何ボルトか知らんが電気を通すための

電線が空に罫線を引いている。

エクセルの升目のような空を

自由気ままにビニール袋は飛んだ。

僕の視界から

雲の白に溶けるようにビニール袋は消えた、

落ちた。

僕は先ほど図書館で借りてきた

小難しい科学の本を閉じることにした。

やってらんねーや。

今日の青空は今日しかない。

明日も晴れるらしいが

それは明日の青空だ。

荷物の入ったビニール袋は飛ばない。

飛び上がる風には乗ることが出来ない。

風が吹いた時、

カラッポでいられるか?

荷を降ろせるか?

いや、多分無理。

強い風、望む。

じゃ!

→はせ げんいちろう←