新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

急げ明日のために。

4月17日
天気予報は見事に当たった。

当たったから嬉しいかといえば
そんなことはない。
どちらかと言えば外れた方が
助かったような、やばかったような。

すでにどちらか一方の答えしか
知らないし見られないので、
何とも考えようが無いが
どちらにせよ、撮影はGO。




午前中にスタジオ撮影をし
都内近郊と呼ばれる遠い県に行く。

ここには前回、雨の中で雨合羽を着て待機してくれた
エキストラたちが、ほぼ同じ面子で揃っている。
今日も雨らしいじゃないの?って顔が
僕を見つめる視線に感じる。

そんなこと知っとるわい!


現場に移動する前に
僕はエキストラを集合させて
前回の侘びと、今回の趣旨を伝えた。


「前回の配置や動きは全部忘れてください!」


「え?」


40人が一斉にきょとんとする。
それもそうだ、前回あれだけ練習を重ねて
取り急ぎワンカット目に関しては
ほぼ完璧に仕上がっていたのに…



「設定がまるで変わりました。
 なので、皆さんの動き方もまるで変わります」








まだ、細かい打ち合わせなどしていない
あまり詳しく内容を聞いていない
新企画を手に持ち、
僕は新しくエキストラは配置しなおす。

どう考えても多い。

変更になった設定では
エキストラの人数は少なくても成立する。
いや、むしろ少ない方が良い。

軽く見積もって最大20名。

今いる人数の半分である。



が、急遽の変更でもあるし、
撮影当日の昼に降らなかった場合のコンテが
採用されることも考えられた。
その場合は40名必要だ。

だから、こうして、目の前に40名いるのだ。



しかし、20名しか必要なくても
40人いるのだから、
使わないと失礼だ。
せっかく来たのに、出番無しなんて…

もしかすると、ほんのちょっとかもしれない。
いや、映像的にはのりしろの部分かもしれない。
でも、きっちりと出番があった
出演したと言えるように配置する。

「多いな」

と言われるかもしれない。

「間引いて」

と言われるであろう。


けども、そこをなんとかしてやらないと。
前回も今日も嫌な感じで終るなんて
いくら仕事だからと言っても許されないだろうし
そんなことは僕自身が許せない。

幸いにもディレクターは
僕の考えに賛同してくれていて、
やりたいようにやれば良いよと。
自由にさせてくれている。

結果が良ければ、それで良いのだ。







「さて、どのように設定が変わったかというと…」

「へー」

「ですから、皆さんは…」

「なるほど」

「ね?だから大変だけど頑張って!」

「へーい」






映った保証は出来ないけども
撮影に参加した保証はできるさ。



ごめんなさいね。




つーか、恨むのなら天気を。



ね?





じゃ!