新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

これが、徒労感…

4月13日
とある都内近郊。
いや、近郊とはいえ東京から
2時間近くはかかる場所だ。

そんな都内近郊で朝から撮影があるので
僕らは昨日からホテルに宿泊し撮影に備えていた。


早朝の空は晴れ渡っていた。
天気予報はズバリ正解で
見事な快晴状態だ。
が、今日だけが晴れでは困る。
何故なら、今日と同じ場所で別の日に撮影があるからだ。
設定上、違う日程という話なら問題は無いんだが、
心配してるってことは同じ日っていう設定である。

つまり、ワンカット目が快晴で
次の2カット目が雨、
で、また次の3カット目が快晴なんてことなのだ。
繋がった、連続したシークエンスなので
これは非常に困るしあり得ない。
こんな状態を回避できる方法はあるのだろうか?

それには、撮影日が両日ともに 快晴 である必要がある。

が、ここ数週間ばかり晴れが続いたのにも関わらず
今週の天気予報では途中数日雨マークが店頭している。
これは危険な兆候である。
しかし、次回撮影予定日の次の日が晴れマーク。
天気予報のはずれを期待するしかない…


が、先々のことを悲観していても仕方が無い。
今日の快晴を有効の有意義に使っていこう。
と、黙々と撮影を開始する。
途中、いわゆるコマーシャルらしい中断もあり…
30分のマキが1時間の押し…

気が付けば2時間近く香盤を押していた。



天気というのは
人の心というか、動きというか、
そんな部分にまで影響を及ぼす。
今日の快晴は、若干の心の余裕を作り
結果、スピードを出さねばならないところなのに
数分のズレを作り出していた。
ワンカットにつき3分余裕を持ってしまったら
10カットあれば、それだけで30分のタイムロス。
これに前半の押し時間も加わり…

どうしても、今日の快晴で撮影をしたかった部分が
若干だかこぼれてしまった。

少なからず天気の影響もあるし
次回また撮影するチャンスがあるという
心の余裕、堕落、怠惰があったのが原因だ。


よくよく考えてみれば
次回の撮影時に 快晴 である保証は無い。
このツケは必ず重くのしかかるに違いない。


「もう、光量が足りません」

撮影チーフがメーターを見ながらつぶやいた。
光量が足りないということは、
これ以上撮影できないということだ。
残カットは6カットに及んだ。
しかし、これは、そもそも一日の撮影分量を
オーバーしてるということにも繋がる。
今回のチームは素晴らしい方々が集まってはいるが、
このチームのスピードでは、
今日の香盤はこなせなかったということだ。

残が出ると途端に疲労感は強くなる。
すぐにでもホテルに帰りたくなったが、
明日の撮影分のアングルチェックもしなければならない。
今日から一週間撮影なのだ。
準備だけでも前倒しでいきたい。




深夜近くなりホテルで
天気予報を見る。
明日の午後から雨らしい。

ゲッ。

明日は午前中は室内だが
午後はロケで夕景狙い。
しかもエキストラが40人近く集まり
右往左往しないといけない。

もし、初めから雨天なら諦めもつくが、
予報通り降ったり止んだりだと…
各パートの準備が重なってくるので、
必然的にエキストラを配置して
動かしを作る時間も重なってくる。
カメラや照明が現場に溢れる前に
エキストラだけでも作っておきたいが…

いや、明日の心配は明日しよう。


しかし、この徒労感はなんだ?

やってもやっても報われないような…
この疲労感の数倍重苦しい疲れ。
疲労というよりも徒労。



とりいそぎ今日は寝よう。



天気に文句を言っても仕方が無い。
祈ったって仕方がない。

神なんていない。

事実だけが真実。

じゃ!