新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

職業選択

4月10日
キッザニア東京

詳しくは後日!

じゃ!

× × × × ×

4月24日にもなってから
思い出しながら、この日の日記を書いておく。
どうして、書きたくなったかは4月24日に書いておいた。

× × × × ×





これほどまでに、親にとって…
いや、自分のとって辛い場所だと思わなかったし
これほどまでに、親バカな自分を発見するとも
思わなかったというのが、実情である。

今、僕の目の前では、
自分よりも数年年上の子どもに囲まれた息子が
ソニー製の一眼レフを渡されて
お姉さんから説明を受けている。
キャップを後ろ前に被り、
撮影ベストっぽいやつを着て、
熱心に聞き入っている。

カメラマン

という職業のコーナーだ。
ここでは、カメラを渡されて
あるテーマを提示されて
そのテーマに沿った写真を撮ってくる
そして、それを現像(プリント)する。
とっておきの一枚を大きくプリントしたら
お姉さんに見せてお終い。
これでお金(キッゾ)を貰うのである。

息子は当初から消防士が体験したかったが、
むちゃ混みしてて、
着いていきなり1時間30分待ちとか言われて、
時間の感覚がまだあまりない息子は
わかった。とか言っていたけども、
いきなり待ちじゃアレだと思い、
別の職業を探したのだ。
いくつか気になる職業があったようだが、
このカメラマンがたまたま”すぐ”体験できるってんで

「カメラマンやってみるか?」

「うん!撮影するんでしょ?」

「カメラマンだからな。撮影するのが仕事だ」

「やる!」

って感じで入ってみた。
入ったのは息子だけ、
親は入り口までで、終わり。
その先は子どもたちだけの世界。
親がどうこう言うのは許されないというルール。
何かを選択しないとならない時、
決断を迫られた時であっても、
親は口出しができない。
機械をうまく触れずに泣き出しそうな様子を見ても
何もしてはいけないのだ。

これが、予想以上に、はるかに辛い。

手に届くところで、息子が泣き出しそうにしてても、
あ、あそこのボタンを押すだけで!と言いたくても
言ってはいけない。
この辛さたるや尋常じゃない。
見ていてこっちが身もだえするほど。
ある程度の年齢になれば
こんな気持ちにもならないんだろうけど
5歳になったばかりの息子が
困っている姿は、拷問に近い。

そういるルールを察してなのか
息子も体験中は一切、俺に話しかけてもこない。
乗り物の写真を撮ってきて!と言われて
ブースを飛び出した息子は
近くに俺がいてもあえて話しかけてこないし
眼中に無いほどに真剣な眼差しで、
対象物を探している。

乗り物、乗り物、とつぶやきながら
あ!と思う度に走り出す息子。
俺もビデオカメラをもって走り出す
瞬間的にぴゅーと走る。
戦場ドキュメンタリーのようなカメラワークで
息子をひたすら追いかけた。


自宅ではあまり見ることのない緊張感と
ファインダーを覗く目は
なんだかとても頼もしい。
一度撮影した乗り物でも、
何度でも戻ってきては撮りなおす。
完璧主義なのだろうか…




いや、とっておきの一枚のプリントアウトを
見せてもらったんだが…
ピンボケの消防車だった。

何故ピンボケを選択したのか。
理解不能ではあるが、
もしかすると芸術なのかもしれない。





で、その次に体験したのが
コカコーラ工場である。

「パパ、コーラ好きでしょ!」

いや、自分だって好きなクセに。
それにその場でコーラが作れて貰えるしね。
ここでも40分以上の待ちを告げられたが、
”待つ”と息子が言うので待つことに。


待っている間、別行動をしている娘の元に赴いた。


3歳にはなったものの、
ひときわ小さい身長の娘が
ちっちゃなエプロンをして真っ赤な帽子を被っている。
ほとんでテーブルで背丈が隠れてしまっていたが
娘はきょろきょろと落ち着きなさげだったけども
ピザを作っていた。

ピザーラのブースである。

すでに生地をこねたりする部分は終っていて
いくつかのトッピングを置いて
焼くだけの状態らしかった。
奥さんが細かくデジカメで写真を撮っている。
娘の前にちょっと大きめの子どもがいて
更に娘が小さく見えた。
暴れん坊の娘が
あんなに大人しくしていること事態が珍しい…


そして、息子の番がきた。
そもそもコーラってどういう風に作られるのか?
その一点だけでも興味津々の息子は
にこやかにブースに入っていった。
一度、別の職業を体験したからか
割とテキパキと仕事をこなしている。

ガラス越しに見る息子。
コカコーラの制服が異様に似合う。
やはり、俺の子どもか、
Yシャツよりジャンパーだよな。
ホワイトよりブルー!



多分、いや、確実に
誰が作っても同じコーラになると思うけど
息子が作ったコーラは格別に旨かった。

「ほんと!じゃあ、今度また来たらさ、
     また、コーラ作ってあげるね!」

「わたしも!」

と娘も叫んだ。
ちょうど、息子の後に同じコーラを娘が作ったからだ。
尚且つ、娘にいたっては、
先ほど作ったピザを一口食べただけで、

「あげる!」

と言って我々にくれた。
単純に食べたくなかったからか、
それとも…

うん、それとも…の方であると思うことにする。
心優しい娘であると思うことにする。


この後、息子は電気工事の仕事につき
娘は自分でキッゾを払って
シール作り教室に行った。





帰宅しても興奮冷めやらぬようで
思い出したように体験した職業を教えてくれる。

いや、見てたから…

そんなことはお構いなしで
延々と話しを続ける二人。


「次もまた、コーラ作ってあげるからね!」

「うん、ありがとう、でも、他にやってない仕事をやったら?
            結局、消防士できなかったでしょ?」

「うん、でも、またコーラは作るから!」

「ワタシのコーラは、パパにあげる!」


「なんだ、君たちはパパを泣かす気か?」

「えーなんで泣くのぉ?」

「そのうち分かる」

「ふーん」





このキッザニア東京だが
子どもにとってはネズミーランドより楽しかったらしい。
親としては、全く参加できるアトラクションが無いので
非常に辛いこともしばしばなんだけども
自分の子どもが真剣に働く姿を見るってのが


どこでも見られるアトラクションじゃない。


かなり内面に来る場所でした。
また、連れて行ってやりたいが、
予約とか色々、混んでいるみたいだし…
二人いると二人が別行動取ったりするし…


とはいえ、また、お前たちが作ったコーラ
飲みたいもんだ。




じゃ!