新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

もう一本始動…え?二本?

2月13日
試写結果は夜に発表があるらしい。
ボーっと待っていても何も起こらないので、
別件の打ち合わせを入れておいた。

既に10本近いビデオを作らせていただいている会社。

超がつくほどの巨大な会社であるが、
そんな大きさなどを微塵も感じさせない
人柄の方たちばかりなのが
素晴らしい。

今まで始動の名の元に
全く始動できない日々が続いた。
それも今日の打ち合わせを境に大きく動くことになる。
ビデオの全容が固まりつつあるのだ。

いくつか不明な点があれども、
納期は動きようが無い。
残りの日数を考えると
動かないと間に合わない!

よし!内容は理解した!
じゃ、すぐに書けるか?

いや、書けない。

うん、厳密に言えば書けるんだが、
もの凄く単純な理由で書けない。
簡単に言えば、
今日の打ち合わせの内容で
台本を書いてしまうと、
カタにはまらないのだ。


急遽、プロデューサーからも電話があり
対応策を決めて連絡するので、
その対応策に沿って台本を書いて欲しいと。
都合、日曜日から執筆する手はずに。
提出は水曜日か木曜日。
ほんの数日で書かないといけない。

あー


あー、つまりは、
土日はお休みか?
と思ったら、
そんなことはあり得なかった。



試写の結果が出たのだ。
具体的なことは言えないが、
パーセントで言えば50%……
陽気で言えば10月下旬って感じ。

まあ、多くは無いがある程度の
ボリュームある修正が入ったってことだ。

いや、それでも
具体的に動くのは月曜日になると
プロデューサーから電話があったのだ。
とはいえ、土日に演出・編集プランを
固めておかないといけないのだが…



さて、プラン作りを始めるかと
パソコンに向かい、
前回までの編集つなぎを試写。

すると、さっき連絡がきたはずの
プロデューサーから電話がきた。



時間はすでに23時を回っていた。


そんな時間に電話ってことは
かなり急な話であることに違いない。

電話に出る瞬間に
いくつか考えが巡った。
1 先ほどの修正内容よりもっと重大な修正が出た。
2 急遽、明日から作業を始めないといけなくなった。
3 直しの件で落ち込んでいるかもしれない演出家への激励。


うん、まず、3だけはあり得ない。
で、1と2では、1だったら泣きそうになるくらい落ち込む、
2が一番キズが浅く、やってやるぞ!と奮い立つことも出来る。

で、どっちだったか?

「長谷さん、実は別件なんですけど…」

「へ?なんですか?」

「別件です。別件。○○じゃない件です」

「あー」

「身体空いてますか?いや、頭が空いてますか?」

「はぁ」

「とりあえず、明日打ち合わせしませんか?」

「は、はい…」




ということで、
結構、重ためなVPを引き受けた(と思う)
来月の3月末までに3本同時進行が確定した。



「で、月曜日には演出プラン出しをお願いします」

「え?月曜日ですか?」

「そうです、あっちの件と同じ日ですね」

「は、ははは…」

「お願いしまーす」



だいたい、引き受けた後に
大変なことが判明したり教えられたりするものだ。

作業日数が著しく少なかったり
予算がびっくりするくらい無かったり
驚くほどに瑣末なことで進行が止まる内容だったり
引き受け手がいなくなるほどの
微妙な案件であったり。



「そういうスピード感で進んでいくんですか、この仕事は?」

「ええ、そうですね。まあ、でも今回だけだと思います。」


いや、その今回だけを引き受けた訳だから…
僕には前回も次回も無い訳であって、
喉もと過ぎればってやつじゃないんです。
常に今回が全てなんです。


「あの、ご理解していただいてると思いますが、
 この件以外にも僕には別件がありますので、
 縫って縫って、繕いながら対応しますけども…」

「はい、それでお願いします。」



相手が理解したからそれで良いか?と言えばそうじゃない。
そもそも人間なんて自分の周りの半径5mほどしか
理解して正確な判断なんて出来やしないのだ。
人にスケジュールが埋まっていようがいまいが、
日にちを縫う、時間を縫うことで、
取り繕えると本気で思っている。
いや、そうしてもらいえると思っている。
もっと言えば、自分が発注した案件を優先してくれると
思いっきり勘違いをしている場合が多い。

どんな場合であっても
僕の優先順位は変わらない。

発注順である。
内容順でもギャラ順でも世話になった順でも無い。
それは数時間でも数分でも早い方が優先順位が高い。
とはいえ、例外的にあやふやなスケジュールより
確定したスケジュールを提示してくれる方を
優先する場合もある。




って、現状は、全て確定したスケジュール…



あ、なんだか足元が寒いや…

あれ、何故だろう肩が重いぞ、
うん?首が回らないなぁ

どうしたんだ?多方面から来る
プレッシャーに押しつぶされそうだぞ…
両肩以外にもう一つ重い荷物を抱えてしまったようだ。





でもね。

でもね。

さっき、トイレでう○こしながら思いついた。
そうだ、最後に加わった案件は、
今やっている案件の内容を
認めてもらったからじゃないの?って。
クライアントからはいくつも修正を頂いたけども、
ここまでの経緯から演出としての
認知度というか信頼度が上がったんじゃ?


そう思うことした。


そう思わないと色々なプレッシャーとか
責任とか今だ連絡の来ない
大分前のCMのギャラ交渉とか
1年近くあっていない先輩カメラマンとの食事とか
最近連絡の無いあの人からの仕事がやりたいとか
(あなたのことですよ!)
自分以外に進めることが出来ない
眠ったままの映画企画とか
書きかけの企画書とか
80%とかいう根拠の無い確立で
誤魔化された感の強い南国TV企画とか
一度はあきらめた科学番組企画の復活希望とか
懇意のしている監督からの
映画の助監督チーフへの参加要望とか
会社を辞めた後輩の仕事先の心配とか
自分の家庭の今後とか

それはそれは、まあ、
色々と考えないとならない事柄が一杯。

それら全てがプレッシャーになっているとは言わないけども
数年前から急に肩こりが始まったのは
そんな幾つかのことが重なっているからじゃないだろうか?
全く肩こりなんてしなかったのに…



パソコンデスクが低いのかしら?

ね。


じゃ!