新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

骨、折れる。

6月24日
企業VP取材。
クライアントさんのとある支店に行き
そちらの社員さんに話しを聞く。

当初、一人15分ということであったが、
気が付くと一人30分以上も話してしまい
大変にご迷惑をおかけしました。
ですが、確実に実のある話しを聞けたので
どんな形であれ、
これから執筆する脚本に生かします。


その後、頂いた事例などを検証しに
アシスタントプロデューサーと喫茶店に入る。
辞書のように分厚い事例を
斜め読みしながら検証していく。

そんな中、携帯電話が鳴った。

奥さんからだ。
通常、仕事で外出している時の連絡は
メールに限定されていて、
携帯に直接電話をするなんてことは無い。
あるとすれば、かなりの緊急事態か、
子どもが奥さんの携帯で遊んで
間違って発信したか

の、ほぼ二択と言って構わない。





「ええええええええっ!マジでぇぇぇぇぇぇぇぇ!」




場所をはばからず
僕は喫茶店でのけぞった。
そして、すぐさま喫茶店を出た。



”娘が自宅で遊んでいて
 走り回って、グルグル回って、
 どーんと転んで…大泣きして泣き止まない。
 病院に行ったら、腕の骨が折れていた…”



もう、残念な娘だなとしか言いようが無い。
毎日、毎日、家の中で走り回るなと、
高いところに登るなと、
畳の上でグルグル回ると転ぶよと、
いつか怪我するよと、

いや、確かにまだ2歳だから
言葉の細かい意味は分からないかもしれない。
けど、これをしたら怒られるっていうことぐらいは
確実に認識しているはずだし、
骨が折れる前から転んだりし
痛い目にもあっているはずだ。
それを踏まえての骨折。

非常に残念な結果である。

逆に同じように言われていた息子は
この事件を機に

「僕はね、もう家の中で走らないんだ!
 それとね、高いところからジャンプしない!」

と、目の前で起きた事件を
自分のことのように感じたのか
自分が怖い目に痛い目に合いたく無いから
ぴたっと走るのをやめた。

良かったことと、悪かったこと。



しかし、当の本人である娘に
大した変化はない。
時折、思い出したように

「痛いの、ここが痛いのぉ」と
目に一杯涙を溜めて訴えてくるが、
その行動に反省のかけらどころか
どうして、このようになったかを
まるで理解していない様子。

ソファーには登るし
テーブルにも登る。
ギプスをつけたまま
動きまわることまわること。

動いた結果に

「痛いの、ここが痛いのぉ~」

と泣くわけだ。
いい加減原因を理解しなさい。


とはいえ、可哀想でもある。
そのギプス姿は痛々しいものだし、
自身は骨を折った経験が無いので、
どれほどの痛みが娘を襲ったかも分からない。
だから余計に痛々しい。

全治二週間。





で、決定的瞬間を目撃している
息子に証言を聞こうと
取材を試みた。

「で、○○は、どこでどう転んだんだ?」

「グルグル回ってたら、転んだ」

「うん、どこで?」

「知らない」

「は?おい、面倒臭くなってるだろ、
 ちゃんた見たなら、ちゃんと教えてくれよ。」



なんだか、白を切り通そうとする
犯人に自白を迫っているような感じである。



「で、この部屋で遊んでたんだな?」

「うん、そう。」

「そうか、○○はどこに腕をぶつけたんだ?
 畳か?洋服タンスか?壁か?」

「ここだよ」

と息子が指した場所は壁。
が、娘がここだよと指した場所は
洋服タンスである。

「どうして違う?」

「ぶつけた本人が言うんだから、
 洋服タンスにぶつけたのかな」

「違うよ!僕、見てたもん!
 ○○ちゃんは、ここにバーンてぶつけたの!
 そしたら、ドーンって転んだの!」

「わかった、バーンでドーンだな」

「そう」

「○○、お兄ちゃんは
 壁にぶつけたって言ってるけど?そうなの」

「そうだよ」

「って、さっきは洋服タンスだって言ったじゃんか」

「違うよ。」

「…もういい」



まあ、息子の言っていることが
多分正しいのだろう。
娘は、グルグル回った勢いで
壁に腕を強打して転んだ。
強打の時か、転んだ後か、
そのどちらかで腕を折ったのだろう。



車で言えば自損事故だ。
自らで壁に突進するのは
いくらルールを作って教えても、
24時間離れずに見ていたとしても
今回の骨折は防ぎようが無かっただろう。



ま、骨折くらいで済んで良かったと思う。
腕を骨折するほどの強打が
もし頭であったら…
そっちの方が怖いしね。







で、一通り済んでから
仕事に取り掛かる。
今日の取材のまとめと
明日の打ち合わせポイント整理だ。
取り急ぎ、脚本を書き始めるのは明日にして
今日はタイトルと表紙を作成しておく、
外堀を埋めておくと
おいおい楽に進められるからね。
それにタイトルが決まらないと
なかなか進められないっていう性分もあるし。

それと、3つ重なっているので
個人スケジュールを毎日検証したり
予想スケジュールを組んでみたりしておく
どれくらい脚本を書く時間を作れるか?
納品までに時間の無い作品には
それ相応の時間が必要になるが、
台本を書きながら出来るだろうか、
その日程の隙間は無いか、

色々考えてみる。

結論、なんとかなる。する。






多分、後1本くらいなら
引き受けられると思う。

思う。


思うだけ。


じゃ!