新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

全ては所詮、砂の城なのか。

6月14日
幼稚園の保育参観日に出かける。

こんな奴でうまく行くのだろうかと思っていた昨年
幼稚園に入ってみれば、
団体生活というか、集団での行動を
否が応でも学んだようで
昨年の段階でも(入園して2ヶ月くらい)
格段の違いを感じたものだ。

そんな進歩を感じた昨年から更に1年。
息子はどれほどのことになっているのだろうか?

うん、結果から言えば
さほど変化なし。

さすがといえばさすがかもしれない。
先生の話を聞いているようで聞いてない。
聞いてないようでいて、聞いている。
肝心なことを聞いてなくとも
周りを見て合わせてやり過ごす。
細かい意味では
著しい成長があると思うのだが、
その成長のほとんどは
なんというか、
人間的な逃げというか嘘っぽい何か。

言ってしまえば、
ずる賢くなったと言うべきか。

子どもとはいえ、人間。
嫌なことよりも楽を選ぶ、
辛いことよりも楽しいことを選ぶ。
いや、子どもだからこそ、
そっちを選ぶのだろう。


だからこそ、
子どもは賢い。

ずる賢い。





さて、それから
皆で久しぶりに外食に出て
その後、息子を連れて公園へいく。

どういう気分からなのか、
公園につくなり砂場から一歩も出ない。
ずっと砂団子を作り続けている。

10分、20分、30分…

外は暖かくて眠くなるほど、
少し目をつぶって…

はっ!として砂場を見ると
やっぱり息子は砂団子を作っている。



何か陶芸家のそれを見ているようで、
作っては壊し、作っては壊しを繰り返している。
よく見ると、堅さに納得がいかない様子。
もっとぎゅっと握ってみろと言うが
所詮子どもの握力では、
彼の求める堅さを作ることはできないようで、
ダメだ、あーダメだ、これもダメだ、と
出来たばかりの砂団子を
次々と壊している。

かれこれ1時間も砂団子だ。

少しづつ作り方に変化を加えてはいるが、
見るからに砂に水分が足りない様子で
作り方よりも材料という根本を
見直さないといけないことに
彼は気が付いていない。



それから30分後くらいに
やっと飽きたのか
息子はバケツに砂を入れ始めた。
このバケツはお城っぽい内壁が施されていて
砂を入れてひっくり返すと
お城っぽい砂の塊が出来上がる。
しかし、これも砂に適度な水分が無いと
城のデコボコした部分が出来ず
また、すぐに崩れてしまいかっこ悪い。

何度かトライをして完成。
穴を開けて貫通させる方法を教えたら
今度はそればかり延々と続ける息子。


何度も何度も城を作り、
穴を掘っては崩れる砂の城


一つ貫通させるたびに
報告に来る息子。




そして、砂の城は崩れ落ちる。




明日、また公園に行ったら
まだ残ってるかもしれないよ!


と息子が風呂に入りながら言った。


いや、残ってはいないだろう、
それが砂の城ってものだから。
そして、何度も、何度も作る
何度も何度も崩れ落ちる。

その内に気が付くだろう
砂ではない物で城を築く方法を。
また、同時にわかるのかもしれない、
作ったものは必ず壊れる。
形あるものは別な形になる。
形に永遠は無い。


しかし、作らねばならぬのだ。


それがほんの一瞬のことであっても。








VPの台本構想を考えながら
夜の公園に佇む、
砂で出来た城を思い浮かべた。

それは夜風に吹かれ
ハラハラと砂を落とし崩れ去っていった。

そして、彼はまた作るのだ
砂の城を。




じゃ!