新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

僕は、祈らない。

11月26日
ども、カチンコ日記です。

いきなりですが、
やはり今年はついていません。
ツキがあるとか無いとかは
あまり信じたくないのですが、
ここまでくると自分以外の何かの力が
のしかかっているとしか思いようがありません。
そこまで、今年は全体的に
敗北感でいっぱいです。

実は、夏前までは
最後に笑うのは俺だとばかりに
高笑いの準備をしていたくらいの
勢いが自分でもあったのですが、
蓋を開けてみれば
パンドラの箱
中からはおぞましい
異型の怪物が出てきてしまいました。
危うく食われるところを
某M本監督やD制作会社のIちゃんさんに
助けられた格好です。
しかし、未だ怪物はその辺りをうろついており
いつ大口を開けて食ってやろうかと
虎視眈々と狙っているような感じです。

はい、そんな訳で
今日は昨晩思い立ったので
いきなり営業に飛び出しました。
10年以上前のデビュー当時に
大変お世話になった会社です。
そして、師匠と出会った会社でもあります。
そんな、制作会社なのですが、
ここ数年全く顔を出していませんでした。
それには時代の流れや
会社の行く末的なこと
また、人間の変化に起点があるように思います。
知り合いから聞いてはいましたが、
現在この会社での制作業務は
ほぼ下請けに任せているそうで
以前のようにスタッフが出入りするような
良くも悪くもガチャガチャした会社では
なくなっていました。

ここ数年ですが
制作会社も随分と様変わりしています。
個人情報保護や守秘義務の徹底が
その背景にあると思うのですが、
なかなか用事の無いスタッフが
『近くまで来たもんだから』と
扉を開くわけにはいきません。
だいたい、開きません。
カードキーや暗証番号、
受付でアポイントの確認と対応先への連絡など

ふらりと会社に顔を出すと

『用事も無いのに、何しにきたの?』

的な目、いや、目すら拝めない。
入れないしインターホンだし…
そういうわけで
いきなり飛び込みで会社に行くなど
不可能に近い状態なのです。


さて、今回は
昨晩思い立ったのですから
もちろんアポイントなどは取れていません。
朝電話しようにも、
以前の電話番号では繋がりません。
通常なら諦めるのですが、
その電話をした段階で
すでに僕は会社の前にいたのです。
もう戻れません。

そんな無謀というか
バカなことを何でしたのかというと
自宅でもし、電話して繋がらなかったりしたら
多分二度と連絡をすることはないでしょう。
ええ、二度としません。

そう、したくなくとも
そうなること請け合いです。
僕はそんな人間です。

だから、まず、連絡無しに
会社まで行き、そこで電話。
でも、繋がらない。
じゃ、帰る?

いや、現場まで来て帰るという選択肢はありません。
自宅なら充分にありえる話ですが
すでに現場なのですから
何もしないで帰るなど持っての外です。
そういう自分の性格も含めての
強引な営業です今日は。

だから、すぐに、昔そこで
一緒に仕事をしたスタッフに電話です。

現在、どーなってるの?この会社は?



本題を外れて、
昔話をしてしまいました。


と、昔話をしていたら
数少なくなっている
僕の知り合いが
目の前を通るじゃありませんか!

「あ!お久しぶりです!」

「えー!どうしたの久しぶりじゃん!」

「いやー、
ちょっと近所まで
           来たもんですから」

「へー」


って、嘘をつく。
わざわざ、こんな街のはずれに
フラリと来る用事なんて無い。
しかし、飛び込みで営業にきましたなんて言えば
話の方向がズレると思ったし、
今すぐ仕事くれと思われるのは
マイナス要因だと考えたからである。
確かに、今すぐ仕事くれ!と
大声で耳元で、もしくは脅してでも言いたいが、
あくまでも仕事は
自分で無い誰かが生み出したもの。
それを頂くわけだから
謙虚に謙虚にならなければいけない。

話はズレるが、
毎度僕はある監督から
『長谷くんは謙虚さが足りない』
ことあるごとに説教をされるほど
謙虚さが足りない男だ。

だからこそ、
グッと自分を抑えて堪えて
フラリと来た自分を演じた。
先方もちょっとタバコを吸いにきた的な
数分の休憩中。
長く話しても迷惑千万だろう、
サクサクと近況を話し、
作品集のDVDを渡して会社を出る。

いや、正確には会社には入っていない。
階下にあるロビーで
たまたま知り合いに会い、挨拶し、
名刺とDVDをついでだからと渡したのだ。
決して営業活動ではありません的に。




これが、実るか実らないかは
全くのところ分からないし
実ると思わないとやってられないし
実ると思って実らないと
そのインパクトは大きい。
でも、実らないと初めから分かってるのなら
こうして芝居までして電車賃を使ってまで
行ったりなんかしない。


蒔いた種は必ず芽を出してもらいたい。
そして、収穫時期が重ならないようにしたい。


すぐに芽が出るように祈るのみだ。


いや、祈らない。
祈る先がわからないから。
ただ、願うだけ、思い描くだけ。
良いことも悪いことも、
全て想像の範囲内に収めるために…





願いは必ず叶う。




そう信じている。



じゃ!