新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

狼。少年。

11月20日 予定より数時間早く自宅を出る。 ギリギリに出て交通機関の 遅れに巻き込まれたくないからだ。 また、先に行き、それこそ ギリギリまで対策を練られるからである。 ほぼ、どんな場合においても 決められた時間より早く到着するのが 基本中の基本であり 例外は無い。 会場を目の前にして 喫茶店に入る。 ここでたった15分のために 数時間かけて考えをまとめる。 たいしたプレッシャーはない。 ただ今回は勝ちたいだけ、 いや、 勝ってこの企画を 映像化したい。 丁か半か。 答えはすぐに出る。 嘘を幾度となくついた少年は 信用を無くし無視された。 真実を嘘と判断された少年は 何をを思っただろうか? その後の少年の言葉は 信憑性を持って受け取られただろうか? 羊を狼に食べられてしまった住民は 少年にどんな対応をするのだろうか? 羊たちはどんな思いで 狼に追われたのだろうか? 因みにこの話しのことを ”狼少年”と言うことがあるが それだと狼に育てられた少年 じゃないかと思う次第だ。 ”勝つ”と書いてしまった以上 勝たねばならぬ。 ”狼と少年” にならぬよう… 負けたら何も言わず ひっそりとしていよう。 勝ったら、 それこそ子供が生まれた時 のように喜ぼうじゃないか。 同じことだから… 少年は狼に やってきて欲しかった のかもしれない。 嘘をつくことが 現実に近づく術だと 考えたのかもしれない。 信じることをやめた住民は 羊を狼に食べられた。 × × × × × 嫌な緊張感に包まれている。 人前で喋ることや 考えをぶちまけることなど たやすいと思っていた。 そう公言もしてきた。 それが仕事なら。 今回だって仕事だ。 だから緊張などしないはずだ。 が、震えるほど緊張しているのは 今日が寒いからだけでは無い。 負けることに恐怖を抱いている。 後がない現実を背負っている。 死より恐ろしい事実から 眼を背けている。 マジでヤベーよ。 失敗を恐れずにだって? 無理だろそんなの やれば出来るだ? 出来ない奴は一生出来ないんだよ! 努力は報われる? 報われた時にだけ、 その苦労は努力と呼ばれるんだ! 報われなかった努力は徒労と言うんだ、 無駄だと言うんだ! 誰も無駄には 金を払わない。 × × × × × 携帯電話にDLしてあった音楽を 掻き鳴らす。 頭の中でジェームズブラウンが 高らかにシャウトしている。 朝買ったアメスピが もう半分も無くなっている。 いくらタバコを吸ったところで 全く落ち着かないし JBだってそんな俺を 励ましてくれたりなんかしない。 ただ、モクモクしていて シャウトしているだけだ。 闇雲に思ったまでを書いている。 頭の中を違う別な思考で 埋め尽くしたいからだ。 ああ、勝ちたい。 しかし、勝ちという短い単語を達成するには それこそ膨大な無駄が必要なんだ。 膨大な無駄が膨大な努力となるために。 ああ、緊張している… …ような気がする。 結果が出次第 更新します。 17:00過ぎ。 先方(クライアント)から コンペ参加業者に連絡が行く。 17:05頃。 自宅で子供を 風呂に入れる準備をしていた俺。 携帯が鳴る。 「先ほど、連絡がきました。  今回は残念ながら…と…」 「はぁ。そうですか、  お疲れ様でした。」 「お疲れさまでした。」 電話の第一声で その合否が聞き取れた。 かなり心血を注いだが ダメだなものはダメ。 不合格でした。 残念! じゃ!