新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

私は、鳥になりたい。

10月13日
ほぼ風邪は直りかけた息子。
多少、咳はするものの
幼稚園で培われた
有り余る体力
持て余しており
家の中を暴れまわって
仕方がない。

そして、外は良い天気。

案の定、
片足のゲキトージャを持ってきて

はぁ?」

と、聞いてくる。
昨日、明日以降と言ったが、
このまま元気百倍の息子相手
一日家中で過ごすのは

あまりにも根性が必要そうだ。
で、風邪とは全く関係ない娘も連れ立って

電動自転車

西友を目指すことにした。

自宅近辺の西友
すでに昨日見て回っており
目当てのゲキジャガー(青)
無いことを確認している。
土曜日に入庫される可能性は
極端に薄い
だろうと考えた僕は
ひと駅先ふた駅先にある
西友を目指すことにした。
数あるスーパーから西友
的を絞ったのは
自宅近辺で販売していたのが
西友だけであり
他のブランドでは
棚に存在すらしていなかったからである。
しかし、もちろん他のスーパーに
存在する可能性は捨て切れないが
闇雲に手当たり次第にでは
効率が悪いように思えた。

出発して5分程で
後部座席の息子が寝た。
10分後には前部座席の娘が
船をこぎだした。
そして、そこから更に15分程して
ある間違いに気が付いた。
それは、とっても
重大な間違いであり
基本的に
有り得ない間違いでもあった。

財布?
いや、財布ならジーンズの尻ポッケにある。
商品の名前?
いやいや、僕が忘れても息子が
忘れる訳がない。
西友の場所?
いやいやいや、昨日ネットで確認してあるし
おおよそ分かれば後は現場で捜せば良い。

なら?

恥ずかしながら私、
に走っておりました。
30分もまっしぐらに。
目指すひと駅先は
以前住んでいたとこでもあるので
近くに行けば土地勘が蘇ります。
ですが、行けども行けども
全く見たことの無い景色です。
おかしいおかしいと思いながらも
電動自転車を
フルパワーで走らせました。

バッテリーメーターが
ふた目盛り無くなった
ところで
自転車を止め
記憶の中の地図を広げます。

おい、ここはどこだ?
〇〇区北〇〇って?
もしや?

どんなに考えても
思った場所と住所が繋がりません。
しかし、そうやって5分考えても
僕が真逆を走っているなんて
すぐには思い付きません。

そんな答えは存在しないのです。
これは、頭の地図が間違っている、
もしくは住所の表記が違う、
またはあの先を越えたら
目指す土地のはずだ、と。

その全てが間違いであり
一番導き出したく無かった正解が
”自分が間違っている”でした。

それは、ふた駅先に行く予定が
みっつ先の駅に行くことになった
瞬間でもありました。

全部で6つあるバッテリーの目盛りですが
この段階で二つ減りました。
ひと駅分でふた目盛り…
これから三駅分行き、
帰りにふた駅分ですから、
足りません。
行きしなにバッテリー不足で
自転車が人間を乗せた
鉄の塊になってしまいます。
ちなみに自転車の重量は約30キロで
子供二人合わせてで約25キロ。
そして、僕が…

そんな重量を
僕の貧弱な脚力で
動かすなんて不可能
です。

すぐにエコモードにシフトチェンジです。
バッテリー消費を
抑えて走らなければ待っているのは
筋・肉・激・痛です。

プラスどころかマイナススタートです。
尚且つ、本当に西友
目指す商品があるかも不明です。

敵は商品の有り無しから
バッテリー消費に移り変わりつつあります。
そう、いかに効率よく西友を回るか?です。
一軒目の西友にあれば
万々歳です。
そんな苦労を前後の息子と娘は
知る由もありません。
言ったところで
理解してくれるかどうか…
















しまったぁぁぁぁぁぁぁ!
西友に行く行くと言っておきながら
別なスーパーに入ってしまったのだ。

そして、

案の定、

商品は

無い!

結局、ふた駅先の西友にも
目当ての商品は無かった。

そして、やはり案の定、
ゲキトージャの青でなく
ゲキファイヤーのにすると
息子が駄々をこねはじめた。
青違いだと息子を説得している間
娘は勝手に自分が欲しい商品を
手に取り離さない。
娘から商品を取り上げると
その瞬間、
息子がゲキファイヤーを取り、

商品を取り上げられた娘は泣きだし
娘に商品を返し息子を説得しようとすると
娘が二つ目の商品に手を伸ばす。
その手を払い、
息子からゲキファイヤーを取り上げると
駄々を捏ねくり回し…

「分かった!両方買う!行くぞ!」
















すでにフトモモに違和感を
感じ始めていた。
電動アシストがあるとはいえ
あまりにも長距離ドライブをしたのと
最初のつまづきから
商品が無いことへの苛立ちから
頭も足もプルプルしていたのだ。

残る目盛りは二つ。

三段変速を巧みに操り
バッテリー消費を更に少なくした。

が、無情にも後ひと駅のところで
目盛りが一つ減った。


そして、とうとう自宅近辺の駅で
最後の目盛りが
点滅を始めた。

これは
バッテリーが無いから
充電して下さい

という合図だ。シグナルだ。

んなことは、
分かってる!

俺だって 充 電 したいよ!
充 電 して 楽 になりたいよ!

自宅まで数キロ手前
点滅していた目盛りも消えた。





電動アシスト自転車
単なる人力自転車
に成り下がった。

しかも、重たい。




になりたい。
切実にそう願った。

ああ、私はになりたい。

になって大空を飛び回りたい。



て、
そんなこと思える余裕なんか


ねー!

こちとら必死よ!

じゃ!