新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

FtoT

9月8日
FtoTというのは
フィルムからTVという意味だそうだ。
テレシネとも言い
フィルムで撮影された素材を
ビデオの収録する作業。
その際、色味を調整して収録する。

この作業はカメラマンを中心に
監督はもちろん、
照明技師も参加する(場合が多い)

この作業はCMでは
当たり前の作業である。
いくらフィルムで撮影したところで
TVで放送するためには
ビデオ規格に沿った
素材でなければならないからだ。
映画であれば、
上映が基本フィルムであるため
タイミングと呼ばれる作業で
色味の調整などを行う。
もちろん、これは
フィルムからフィルムの作業である。

簡単に言うと
アナログからデジタルなのがFtoTで
アナログからアナログがタイミングである。

さて、先日参加したCMは
フィルムで撮影したので
このFtoTが必要である。
毎度、あまり参加しないFtoTであるが
今回はどうしても興味があったために
普段聞かないFtoTの
時間と場所を聞いておいた。
では、どうして、
今回は特にFtoTに興味があったかというと
いくつか、初挑戦した事象がある
CMだったからである。
一つは、ジャンル。
もう一つはある機材だ。
そのどちらも詳しく書けば
すぐに分かってしまうので書かないが
確かめるためには
見るしかない。

だから、見に行く。
今日は勉強なのだ。



能ある鷹は爪を隠すと言うが、
爪が生えてなければ意味がない。
爪はそれ相応の
栄養がなければ生えないもの。
つまり、勉強なくして爪は無しだ。
どんな人間であれ
爪の生えて無い部分はあろう
が、深爪程度でも
生えているのと生えていないのでは
雲泥の差があるというもの。
その時がきて
知らないでは遅すぎるのだ。


さて、今回のたった一回で
全てを知ったことにはならないが、
その一端を知ることができた。
これは大きな収穫である。
どんな撮影も
二度と同じ撮影は無いのではあるが
似たような事象にぶつかった際
慌てず騒がず対応することができそうだ。
いや、メモを取ったりした訳じゃないが

見て聞いたことをすぐに忘れるほどじゃない。




しかし、あれだ
フィルムに埋まっている情報ってのは
知れば知るほど計り知れないと思う。
よく、フォトショップなんかで
デジカメとかの写真を処理する時に
レベルを上げたり、下げたりすると
真っ黒だった場所から
輪郭や造形が
浮かび上がってきたりするよね。
それよ、それ。
フィルムは、
その埋まっている情報が
半端じゃないんだ。

それを掘り起こしたり
もしくは埋めたりする作業が
ある意味FtoTなんだと思う。

見ている目の前で
映像に艶が生まれ
真っ白だった空が
青く生まれ変わっていく。
肉眼では見えなかった部分も
鮮明に浮かび上がってくる。

やっぱりフィルムってやつはすげー。




と、いい気分で帰宅する途中。
旧知の制作部から電話。

”仕事やってくれませんか?”

なんだか仕事人への依頼のようだが
聞けば、
その制作部が
プロデューサーデビューするそうだ。

「よし、引き受けた。
 スケジュールは空いている。

 お前のために空けておいたよ。」


「あざーっす!」

こちらこそ、

”あざーっす”だ。



じゃ!