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新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

18時ギリッ!

2月14日

■この日記は撮影終了後に
 香盤表を見ながら
 数ある出来事を
 思い出しながら書いたものです。
 若干の思い違いや誇張
 脚色が含まれています。

 ご了承ください。

映画「Watch with Me ~卒業写真~」撮影日記
『18時ギリッ!』

2月14日
図らずも今日はバレンタインデー。
本来、今日で芝居部分の大半を撮影し終え
メインの津田さん羽田さんの
アップ日と考えていた。

が、12日から続く連日の早朝深夜作業のため
また、内容の重たさと分量の多さのため
幾分、軽く見たところもあるが
大幅に予定をオーバーした。

常にオーバーしたら撮影できない。
オミットシーンになる。

と、肝に銘じてきた撮影だが…
昨日、発動予告した『奥の手』は
どうなるのか?

6:45ホテル集合出発
今日の最終便には主演である
津田さん、羽田さんを東京に帰さねばならない。
よって、早い時間の集合出発。
最後に余裕が無いよりも有る方が絶対に良い。
病室に入ってから天候が悪い。
今日もトップシーンを変更して望む。
昨日、止む無く残にしたシーンと
今日撮影しなければならないシーン。
全部で12ページほどある。

それを18時までに?

不可能だ!

夏の祭りで、奇跡を二度呼んだ俺であるが
今日の分量ははっきりと言える。
どんなにがんばっても無理だと。
いや、そんなことは昨日の段階で、
いやいや、撮影前の時に判明していた事実。
だからこその、『奥の手』
昼食の段階で現場プロデューサーから連絡が入った。

「例の件、OK取れたから」

「ありがとう。他の俳優部も?だよね?」

「もちろん。逆に今日中に
 撮りきれちゃうって方が困るが」

「それは、逆に大丈夫。
 絶対に全部は撮りきれないから」

「それはそれで…」

「うん。問題ではある。監督を除く
 メインスタッフには連絡しておく」

「ああ、よろしく」

奥の手の裏が取れた。

それは、追加日程のこと。
主演の津田さんと羽田さんの
スケジュールの合間を縫い
当初から模索していた奥の手。

2月18日の
津田さんスケジュールOK

伴い、僕は今日のスケジュールを
発動前から羽田さん押しで組んでいた。
羽田さんだけは今日中に
撮影しきらなければならない。
デットエンドは18時。
分量は10ページ。
結構な分量である。

できるか?

メインスタッフに18日の予定と
今日中に撮り切らなければならない
分量の説明をして回る。

監督以外ね。

何故、監督以外に言うか?
監督の18日スケジュールが
空いているのを知っているからか?
10%はその通りだ。
が、残り90%は違う。
全然違う意味で説明しない。

それは、今日の撮影ペースを
乱さないためでもある。
分量が減ったことで
意識しない部分で安心が生まれ
ペースが変わってしまうかもしれない。
また、言った後と前で
クオリティに差が出るかもしれない。

読みでは、このペースだと
18時までには羽田さんの出演部分を
撮り切ることはできるだろうが
全部を撮り切ることは無理。
しかし、監督は時間内に全部撮ろうとしている。

どこかで、言うつもりではあるが…

少し、撮影に煮詰まり感が漂い始めた頃。

「監督、ちょっといいですか?」

「ん?何?」

「今日、ここまででいいですから」

「え?どういうこと?」

「別日設定できました」

「え?あ、あー、そう。そうか…」

「残りふたシーンで切ります」

「うん、わかった。他に隠し事は?」

「ありません。あっても言いませんが」

少し驚いた様子だったが
安心した様子でもある。
それも、そのはずである。
当初から日程の追加は絶対に無い
こぼれれば、それはオミットになる。
それを覚悟して撮影に望んでください
それ故、撮休はありませんと
毎日のように伝えていたからだ。

17時30分
羽田美智子さんの
全ての出演シーンが終わった。

セカンド助監督I嵐が
少し涙ぐんでいる。
これまで、長きに渡り撮影を守ってきたI嵐。
サードからいきなりセカンドを任され
紆余曲折ありながらも
セカンドの仕事をこなしてくれた。
今日も、一人で病室内のシーンを
睡眠不足の中で八面六臂してくれた。

ありがとう。

そんなI嵐が涙ぐんでいる。
つられるじゃねーかよ!おい!
って、すでに髙木古都は
泣いているじゃねーか!

「只今のカットで上野由紀子役、

 羽田美智子さん
 
 全シーン、全カット、撮影終了です!
 
 お疲れ様でしたぁー!」

「そして!長かった、長かった

 …夏の撮影から参加してくれた、

 萩原ひとみ、ほのか役の

 髙木古都ちゃん!

 全シーン、全カット、撮影終了です!

 お疲れ様でしたぁー!」

ラストコールは実際はもっと素晴らしかったが
文面ではこれ以上書けない、すまんなI嵐。

と、最後の最後に泣かせる演出をしてくたI嵐。

と、突然、羽田さんが大声を出して
マネージャーのF原さんを呼んだ。

「今日は、バレンタインデーです!
 私からスタッフの皆さんに!」

F原さんが持ってきたのは
大量のチョコレート!
とびっきり旨そうなチョコレートだ!

「あ、ありがとうございます!」

「では、本日撮影終了!撤収!
 残になった病室のシーンは18日に撮影します!」

「へーい」

今日撮影したシーン
S#57A 62 79 116 100 25 32 89 122 131