新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

ウルトラ

1月7日
昼過ぎにスタッフルームに
監督が入り打ち合わせをするというので
スタッフルーム入り。

打ち合わせ項目はすでに決まっている。

第一にスケジュール問題。
様々な事情から
我々に残された時間はわずかしかない。
準備しかり、撮影しかり。
しかし、撮りきらなければならないのだ。
この期間に。

が、どう考えてみても
分量と日程がつりあわない。
いや、たいていの場合は
そんなことだらけなんだが、
今回ばかりは力業でやり切れる分量ではない。
通常というか、基本的にこの内容のシーンは
何時間で撮影できるという指針はない。
スタッフ編成にもよるし、
一番は映画の内容であり、二番は監督である。
初めて組む監督であると
この辺りが微妙にズレてしまい
とんでもない香盤を書いてしまうこともあるが
今回はそうではない。
「千年火」で組んでいる監督である。
監督のスピードは知っているつもりだ。

そして、今回のスタッフのスピードは
前回の夏篇で熟知している。
多少、スタッフィングが変わっても
それが1時間も2時間も変わるものではない。

で、そういった要因を頭に入れて
撮影スケジュールを弾くわけだが
どうやっても日数と分量が合わない。
書類の上ではいくらでも
撮影できる感じで書くことはできるが
それでは、香盤の意味が全くないし
意味のない香盤で撮影するほど
無謀で無駄なものはない。

で、完全に日数をオーバーした
香盤で打ち合わせをする。

お察しの通り、そんな香盤では打ち合わせはできない。
だって、無駄だから。
しかし、どーして、
こんな香盤を書いたかの説明は必要である。
いちいち説明しなくとも、すぐに伝わったのであるが。



で、ウルトラCの発動である。


このウルトラCにより
ハマらなかった香盤が奇麗に整った。
いやいや、現実にはかなりキツめの香盤だ。
かなり、相当、想像を超えるくらい大変な香盤だが、
ギリギリできない状態ではない。
ウルトラCがなければ
こんな香盤は書けやしないが。


とはいえ、まだまだ問題は山積であり
クリアしていない、クリアの望みのない、
やばい問題も少なからずある。

が、つまりは
ショーマストゴーオンである。

動き出した船は
港を離れようとしており
今更、元には戻れない。
出航してしまったのだから
もう、後は、帰港地まで行くしかない・・・





昨日の夜
遠く離れた子供たちとTV電話で話しをした。
はしゃぐ息子に不思議そうな顔をした娘。
やはり、顔を見られるのは良い。
実際、TV電話なんて必要ないやいと
第三世代電話が登場した際に思ったが
こうして、遠い場所にいる子供たちの顔を見られるのは
TV電話ならではだし、とても楽しい。
同時に必要以上に寂しくもなったが。

で、電話に向かって

「○○ちゃーん!」

と声をかけると
電話の向こうで娘が

「あーい」

と手を上げて返事をしてくれた。
つい、数日会っていない内に
急激に成長したようだ。

とてもかわいい。

そんなことができるのも
TV電話のおかげだ。

素晴らしいぞ21世紀。



ちょうど、子供の頃に想像していた
21世紀とは全く違う未来にはなったが
進化・成長は少しづつ、ゆっくりと
普通にしてたら全くわからないスピードで
進んでいるのだ。
多分、あの頃のままで
今の世の中にいたら
とてもびっくりするのかもしれない。

そんなに小さい電話があるのか!
しかもTV電話だって!
え?コンピュータを皆持ってるの!
CGってなに?
カメラにフィルムがいらないって!
バスがアイドリングストップってどういうこと!
タクシー金額高すぎ!

色々とびっくりすることがあるだろう。

少しづつの変化は
気付きを鈍感にさせるし
鮮度が落ちるのも早い。




こう考えるといいのかもしれない。
少しづつ撮影してると
新鮮な気持ちもなくなり
下手をすると飽きてしまうかもしれない。
でも、急激な変化のある日程での撮影なら
きっと新鮮で忙しくて

とても楽しいんだろうと。


スケジュールにウルトラCは出たが
現実問題のオンパレードである
撮影現場にはウルトラCは起こり得ない。

それが現場。








ウルトラCでなくとも
スーパーCくらいなんとかならないもんかね。



じゃ!