読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

万感極まれり

8月27日(日)

■この日記は撮影終了後に香盤表を見ながら
 数ある出来事を思い出しながら書いたもので
 若干の思い違いや誇張や脚色が
 含まれていますのでご了承ください。

映画「Watch with me 卒業写真 夏篇」撮影日記

方法論は同じである。
今日も確実に【奇跡的なもの】を呼び起こし
問題になっていたあの件やあの件もクリアし
今日の分量をクリアするのだ。

祭り撮影は大きく分けて3つのポイントからなっており
昨日はその二つのポイントを撮影した。
都合、今日のポイントはひとつだけ。
しかし、前日までの撮影は
はっきり言ってしまえば
祭りの概要がメインで
芝居の部分は入っていなかった。

そう、芝居のポイントは今日。
A、B、Cとある内のC。
ここの芝居次第では
今日の香盤は破綻する。
いや、難しい芝居ではないと思うが
やはり祭りが絡んでくるし
タイミングや移動など
予想できない事象も起こりうるだろう。

また、夕立の危険性も捨てきれない。

【奇跡】は起こるのか?
【奇跡】を起こすのか?


8月27日(日)【万感極まれり】

11時すぎ
現場に入る。
昨日よりも雲が多い印象。
今日も俺の読み勝ちか?

13時からエキストラが集まりだす。
昨日と違い、今日のCポイントでは
そんなに多くの人数は必要ない。
100人もいればなんとかなると踏んでいた。


「ハセさん!体育館200人越えました!」

「え?まじで?」

「まじっす!」

エキストラ待機場所にいた
セカンド助監督M木からのシーバーだ。
昨日、現場で声をかけただけなのに
こんなにも集まってくれるなんて
ちょっと、いや、かなり嬉しい。
これだけ映画というものに対しての
興味や期待があるのかと
改めて【映画】という魔物に驚きを隠せない。

が、空はどんどんと曇っていく。

今日ばかりは奇跡がどうとか
言っても仕方ないだろう。



「M木。エキストラを連れて来い!準備開始だ!」

「はい。エキストラを誘導します!」

ポイントC
現場では草野風流の
神輿方と雅楽隊が準備を始めている。
雅楽の音色がポイントCを埋める。
ポワ~ワワワ~♪

この雅楽ってやつは
日本人の肝なんだろうか
なんだか力が抜けるような音楽なのに
腹が据わってくるというか
高揚してくるのだ。

ポワ~ワワワ~♪


「エキストラ入ります!」









ポイントC
すでにカメラ周りと俳優部周りは
準備が整っている。
もちろん、エキストラさんたちにも
保存会の皆さんにも芝居はついている。
後は撮影するだけだ。

が、今、俺の目の前で行われている光景。

でかいビニールシートが広げられ
神輿の上に乗せられている。
エキストラの皆さんは
手に手に色とりどりの傘を持っている。
片手に傘、片手にウチワ。



空はドンと曇っている。
やはり、2度の奇跡は起きないものか。
どうあがいても、
この雲がどこかへ行くとは到底思えない。

中止?撤収?

スタッフを含め、保存会やエキストラの視線が痛い。



英断の時が来たようだ。









「・・・一時、撤収!
 エキストラの皆さんは待機場所の体育館へ!」

「保存会とスタッフは現場待機!!!」





200名以上に膨れ上がったエキストラさんを
少し動かすだけでもかなりの時間がかかる。
待機場所まで徒歩3分くらいの距離なのだが
恐らく再集合までにかかる時間は
20分から30分はくだらない。

それまでに雨が止むか
それまでに大雨になるか
それまでに劇的に天候が回復するのか












「草野風流保存会の皆さん!
 お休みの中集まってくれたエキストラの皆さん!
 只今のカットで撮影終了です!おつかっした!」




空は劇的に回復。
俺は2度の奇跡を見た。
予定されていたカットも全て撮影することができた。


1ヶ月近くかけた草野風流再現撮影も終わった。
この二日間にかけた努力というか知力も
今はもう疲れ果てたと言う感じだ。


万感極まる思い。








撤収終了後
夕食場に遅れて入っていくと
保存会の皆さんが出迎えてくれた。
すでにベロンベロンだったが。



「おお!きた、きた、帰ってきよったばい!」

「はせしゃん!はせしゃん!こっちこんかい」

「おお、助監督!」

真っ赤な顔してビールを持ってきてくれる。

【あの、僕、酒、飲めないんです】

なんて言える訳がなかろーもん。
覚悟を決めて飲みましたとも。
で、飲んでも飲んでも
注いでくれるなんて、本当ありがたいことです。


ああ、ああ、このまま
ああ、ああ、眠りにつきたい


ああ、起きたら撮影が終わっていたら嬉しいな。





本日撮影したシーン
S#68
S#68A