新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

起きた日は帰る日

7月2日
久留米は草野町へ向かう。
のどかな田園が広がり
時間が止ったかのような空気の流れ
小学生はすれ違うたびに挨拶をしてくれ
農家のおばさんは、なぜか
「ご苦労さん」と声をかけてくれる。

”のどか”と言ってしまえば
その通りの町である。

が、僕はそんな観点では
この町を見ることができない。
1ヶ月もすれば、
また、僕はこの町に戻り
大声を出し、
スタッフと撮影をしなければならないのだ。
つまり、ここで仕事をするという観点。


監督と草野町を歩く
ここは撮影するのか?
ここでどんな芝居を想定しているのか?
それに対応するためには
どんな体制で望めばいいのか?
エキストラは何人必要なのか?
我々はどこで休み、
どこで食事をしなければならないか?

そして、尚且つ、
セカンド助監督 M木と
サード助監督 I嵐が
ぎょっとするくらいの宿題を
俺にだしやがったもんだから
写真を撮ったり、
資料集めたり、
監督と相談したりで・・・



ん?雲行きが怪しい。



こんな天気の資料写真は
参考にならないなぁ。
とか、考えつつも
M木とI嵐に怒られちゃ怖いので
バシバシデジカメのシャッターを押す。
しかし、デジカメって便利だね。







夕方、監督と一通りのロケ予定地を回り
映画を支援する会の方に久留米駅まで送ってもらう。

高速バスに乗り福岡へ

少しづつ離れていく久留米。
次に来る時は更に準備が進んだ状態だろう。
しばしさらば、久留米よ。



福岡空港でPCを開くと
ネットが繋がり、たまっていたメールが
どどっどってやってくる。
読むだけでしんどい。
返信は明日にしようか。
それともフライト5分前まで
がんばってみちゃおうか?





飛行機が空港を飛び立つ。
天候が悪いらしくガタガタ飛行機が揺れる。
ジェットコースーターのように
急激に下降したり上昇したりする。

飛行機が大嫌いな監督は
すでに睡眠モードに入っており
この体感ゲームのような揺れを
楽しんでいる様子はない。
普段強気な監督も
飛行機に乗せれば大人しい。


ずっと飛行機に乗って・・・いや、いや、いや。

監督も冗談半分によく言うが
チーフ助監督は常に
監督が病気にならないか、
倒れたりしないかと考える。
それは、イコール大変なことなのだが
出番が回ってきたとも考えられるからだ。

そう、片腕、右腕として存在するチーフは
実は寝首をかくことも考えている存在なのだ。



「はせなんか、
常に俺が倒れないかと考えているもんな」

「ははは!全くその通りですね。でも、監督元気だから
狙うは事故ですよね」

「・・・」

あ、笑えない?



でも、まあ、いつでも監督の
代わりができる心構えがないと
演出部なんてできやしないし
1%も無い希望を持ってないと
こんなに辛くて楽しい仕事なんて出来やしない。








深夜1時帰宅。
明日も打ち合わせがあるのが
妙に腹立たしくなり
M木とI嵐に嫌がらせ電話をしてやろうかと思うが
さすがに、僕も良識ある大人なので止めた。
別なことで追い込んでやろう。

久留米では見かけなかった
アメリカンスピリットライトを買いに行かせるとか
ローソン限定のおかしを買ってこいとか


そんな可愛らしい指令。


ああ、楽しみだ。


じゃ!