新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

CG打ち合わせとかね

2月28日
もう、2月も終わってしまう。
つーか、日記を書いているのは
すでに3月1日だ。
VP1の撮影は目前に迫っている・・・

朝方、いつものようにメールを確認する。
緊急なメールはないか?
見落としている大事な用件はないか?

往々にして『やってくれるだろう』とか
『わかっているはずだ』というのは
間違いなく外れている場合の方が多い。

「わかってるよね?」

「はい!」

と言われて安心していると
酷い目に遭う。
助手の頃から徹底的に確認に次ぐ確認の
方程式ができあがっている俺は
ついつい、同じことを他人にも求めてしまう。

大体の人間の『普通』とか『通常』とか言うものは
その人間がどのような道を歩いてきたかによって
大きく違うことが多い。

『お前の普通は、
   俺の普通じゃねーんだよ!』


と、よく上司や先輩に思わなかっただろうか?
つまり、普通とか通常とか言うもんは
その人の経験であって
同じ経験を通過していない人間にとっては
全く普通でも通常でもないのだ。

だから、
『なんで確認の電話来ないのかなぁ』
と思っていても、グッと我慢しているのだ最近は。
ただ、日程が日程だけにボケボケもしていられない。
やることはやらねばならないからだ。



夕方。
演出することが決まったCMが
全編CG作品になったことで
CG作成会社に打ち合わせに行く。
どんなイメージか?
どんな狙いがあるか?
カットごとにどんな動きがあるかを
打ち合わせていく。
アバウトに言って、

CGは何でもできる、
可能にすると言い切ることができる。


だが、それには必要な時間があり
それ相応の金額も発生してくる。
それにしたがって、CGのクオリティも決まってくる。
時間があればあるほど単純にクオリティはあがる。
しかし、仕事には常に納期があり
それを守る義務がある。


時間内に最高のクオリティを出す会社が
結局のところは売れっ子会社になる寸法だ。
今回担当してくれる会社も
事前に以前作ったCGを見せてもらい
納期の確認もした上でGOを出した。
はっきりいって、
予想以上のものがあがるだろう。

打ち合わせ後は
     楽しみで仕方がない。


問題なのは、作ってもらう間は
何にもできないということ。
ただひたすらに『待つ』のだ。


そして、その『待ち』はありがたいことに
VP1を抱えている俺にとっては
救いの期間というか・・・
待っている間、

VP1のオフライン編集を
      裏で進められるのだ。


この期間は大きい。すごく大きい!


当初、撮影有りだった予定では

VP1のオフライン編集期間中に
CMの撮影をして・・・

ダブルでオフラインなんて
酷いスケジュールだったのだ。


はっきりいって
『助かった!』
と言うべきだろう。
これで、死なずに済む。

さて、CG打ち合わせ後
会社に戻りCGで作るだろうと思われる
アングルで簡易撮影
この簡易撮影でクライアントに
CGの出来上がりをイメージしてもらうためだ。

眼鏡○本君が一生懸命、
会社の会議室でセッティングしている。


「ここで出来るんだったら
         CGなんていらないね」

「そうですね!やっちゃいますか!」

「……」

いや、いや、
そんな甘いもんじゃないよ○本君。


なにやら商品を棒にくくりつけて
ビデオを準備しているが…


「監督!お願いします!」

「え?これ?

「はい!」

確かに簡易撮影だが…
あまりにもの状況に絶句。
いや、状況がというよりも
この方法でうまくいくと思っていることにかな。

眼鏡○本君が懸命に棒をくねくねと
ビデオの前に出して、
あーでもない、こーでもないとやっている。
演出コンテ通りの絵を作ろうと必死になっている。


「眼鏡の○本君さ」

「はい」

「これやっているうちに、
CGできちゃうよ。できあがちゃうよ!

す、すいません…

とか、文句言いながらも
なんとか簡易に、
非常に簡易に撮影を済ます。


「これ見せたら、お客さん、
 企画止めるって言い出しそうですね」

「そうだな。あまりにも酷いな」



それを見かねたのか
元々そういう方針だったのか
プロデューサーが一言。

「静止画でいいから、
        
ムービーいらない

え?いらないんすか?

「いらないよ、言わなかった?

いや、でも、
 この方が
わかり易くないですか?

「そんなことは無い。
     
この方がわかりにくいよ!

はあ…

ごもっともな意見だ。
これであらぬ勘違いが出たら
それこそ
大問題。

わざわざ撮影までして、
編集までして作った労苦は泡。


がんばれ眼鏡○本君!


がんばれと言えば…

VP1で助手として付いてくれるゴリライモ1号だ。
いや、K藤君と改めて敬意を込めて呼ぼう。

このK藤君とはかなり古くからの付き合いだ。
彼が学生の頃に制作助手として仕事を紹介し
そのままフリーの制作部兼演出部として
主にCMとVPで戦っている。
昔から知っている都合上、
彼がどんな方法で現場を作るかは
よく分かるのだが
彼の方は、俺が監督の作品には初なので
不安爆発らしい。


「明日、どこかで打ち合わせしてください!」

「ああ、いいよ」

電話で話しをする限りでは
俺の方からの問題は一切ない。
確実に進歩しているし
的確にポイントを押さえた質問をしてくる。


「問題なさそうだけど?」

「いえ、長谷さんの意向を聞かないと」

ないよ

そんな訳ないでしょう!

わかった、わかった、
  
打ち合わせするから心配するな」



彼とはずいぶん前に仕事をして以来で
何度かオファーしたものの実現せず
ちょうど1年か2年ぶりの仕事。
格段の成長と格段の信頼感がある。


がんばれK藤君!



自宅に帰ると例によって
メールの束が襲ってくる。
チェックのチェック返しメールや
小道具の確認メール。
質問メールに訂正メール。
CMやらVPやら……

一つ一つ確認し返信。
小道具の原稿を作り返信。
質問の答えを返信。





気が付くと24時を回っている。

寒いし、眠い、風呂にも入りたい。
面倒臭い。
でも、入らないと気持ち悪い。

あああああうあうあうあうあうあうあー

じゃ!