新・カチンコ日記2

根無し草男の映像日記

罠 その5(8) 奪い合う時間たち

2月8日
打ち合わせダブルヘッダー
初戦は

映画『日本の自転車泥棒 JAN』


最終決戦打ち合わせ。
現状残されいる分をどうスケジュールにはめるか
1日で撮り切ることができるか

最終的に…

は、まだ言えないが

楽な香盤にならないことだけは確かである。
しかし、元々予定されていたスケジュールではなかったので
俺にしても、サード助監督岩崎にしても
次の仕事が動き始めていて…

「忙しいの?」

「今、ロケハンだけ手伝ってと言われてまして」

「いや、答えになってない。忙しいの?」

「あ、いえ、はい。」

「どっちよ?」

「ちょ、調整中です」

「君がいないと困るんだよなぁ…」

「はい。頑張ります!」

スケジュール調整をどう頑張るかの言及は避けたが
長い物語のつながりを記憶しているサード助監督岩崎は
何がなんでも必要な存在である。
むしろ俺の方が香盤だしたら用無しというか
現場は他人でも動かせるってもんだ。

頑張れ!岩崎!


さて、映画の香盤をすぐ書きたい気持ちを押さえ
次の打ち合わせに行く。

TVCM企画打ち合わせだ。
考えた企画を出し合い、
今回のCMに必要な企画を更に考える。

そしてまた次回に向けて新たな企画を考える…

新たな企画と書いたが
基本は今日提出した企画を
手直しするのがメインだ。

これが楽そうで、全く楽ではない。

元々、完結した企画を建てていたこともあり
プラスの要素や変更要素などを
加えたり足したりすることは
非常に難しいのだ。

特に、絵コンテであるため
『絵』を描かなければならないのだ。
何度も言うが、俺は絵を書くことに自信がない。
いや、自分でも最近は
ほんの少しだけうまくなったと思うんだが、
たかがしれているレベルだ。
自分が表現したいカットを
どれだけ自分の絵が表現できているかといえば
10%か20%
がいいところで
後は口頭で説明しなければならない。

はっきりいって、それも面倒だから
なるべく絵のみで表現できるようにしたい。

だが、

それは無理な相談っていうもんだ。

だいたい、絵を描く際、
俺は非常にスペースを使うというか
広い場所がないと作業にならないのだ。
だから、打ち合わせ後そのまま会社に残り
コツコツとコンテ作業をする。

目の前では双子パパプロデューサーが
黙々と清算作業やら編集作業やらやっている。
眼鏡の○本君は
なかなかコーヒーを持ってきてはくれない。
三度頼んでやっと一回持ってきてくれる。

彼は関西方面の人間だから
京都のお茶漬けよろしく

コーヒーを三度断ったら
『帰れ』の合図

なのかもしれない。
生憎、俺はそんな風習は知らないし
あるはずもないので
書きあがるまで居座るつもりだ・・・

メールが来た。

このタイミングのメールは嫌な予感がする。

親分からだ。
昨日送ったVP台本の直しのようだ。

『だんだん

  良くなっていると思います!』

どう思う?
素直には喜べない一文だよね。

だんだん・・・

確かに、メールで台本を送ったのは2回目だから
だんだんと2回続けるのは正解だが
この『だんだん』には恐らく・・・

後、数回の直しはするよ、覚悟しな。

やっちまいな!(嘘)


という意味が含まれていると思うのだ。

はっきり言っておく。

もう、時間が無い!


企画案の直しと新規案の作成。
『JAN』の香盤作成。
それにVP台本の直し?

どれも期日が目前なものばかりだ。

尚且つというか
次の週末は親戚の結婚式に出席するために
全く仕事ができる状態にないというか
東京にもいないのだ。

仕事が重なった場合
大事なのは、まず優先順位をつけることだ。
どれが優先順位1位に輝くのか?

僕はまず、VP台本に手をつけることにした。
これが一番時間が掛かるはずだし
PCが無い環境では全く手がつけられないからだ。
それに、締め切りが金曜日ってこともある。

台本を書いたら、今度はすぐに『JAN』の香盤作成
待っている方々が大勢いるのだ。

次は企画案の直しと新規作成だ。
この企画案については締め切りが週明けだし
紙と鉛筆さえあればどこでも作業ができるので
式場でも考えることはできそうだ。

で、今、日記を書いているのは
ちょっとした息抜きのためである。
もちろん、まだVP台本は書きあがってないし
『JAN』の香盤には全く手がついていない。

一日が72時間くらいあったらなら
今すぐ寝て朝起きて考えるんだろうけどね。

ああ、時間が時間を奪っていく感じがする。

ああ、明日も寒いのかな。

ああ、タバコの量を減らさないとな。

じゃ!

■時間は絶対に増えないし減りもしない罠